新車約225万円! トヨタ「RAV4級SUV」が凄かった! 3グレード用意の「bZ3X」乗った印象は? 【中国試乗記】
中国で月販1万台を突破し、異例のヒットを記録中のトヨタ「bZ3X」。RAV4同等のサイズに広い室内、約225万円からという衝撃価格が話題の純電動SUVです。右ハンドル版の登場で日本導入も期待される中、ガソリン車のような自然な走りを実現した「純電動版カローラ」の実力を試乗レポートします。
トヨタのSUV「bZ3X」に試乗
中国で異例の大ヒットを見せるトヨタのSUV「bZ3X」に試乗しました。
いったいどのようなクルマなのでしょうか。

bZ3Xは2025年3月に中国で発売されたトヨタの純電動SUVです。
2023年に発表された「bZ FlexSpace Concept」の市販モデルで、北京モーターショー2024にて正式に量産モデル「bZ3X」が発表されました。
製造と販売は広州汽車との合弁会社「広汽トヨタ」が担当します。
これまでは右側通行国の中国のみの販売でしたが、2025年9月には左側通行の香港とマカオにも投入、初めて右ハンドルモデルが登場。
このことから同じく左側通行国の日本にも投入が期待されている一台です。
ボディは全長4600 mm x 全幅1850 mm x 全高1660 mm、ホイールベース2765 mmと、RAV4と同等のサイズ感。
ニデック製の最高出力201 hp/最大トルク200 Nmモーターをフロントに1基配置する前輪駆動で、四輪駆動の設定はありません。
グレードはそれぞれの一充電航続距離(CLTCモード)を冠する「430 Air」「520 Pro」「610 Max」の3種類で構成、バッテリー容量は50.03 kWh、58.37 kWh、67.92 kWhとなります。
全高の低いクーペスタイルのSUVが多い中、全高が高くて角ばった形状を持つbZ3Xは比較的保守的な印象です。全長と全幅は小さめですが、フロントやリアにしっかりと厚みを加えることで存在感を演出しています。
ダッシュボード中央に14.6インチディスプレイを配置、そしてセンターコンソールに携帯端末の無線充電パッドやカップホルダー、収納ボックスを有しているのは中国のトレンドを取り入れた結果です。
物理ボタンはパワーウィンドウの操作やハンドル盤面上のスイッチぐらいにとどめ、メディアやナビ、エアコンの操作はすべてタッチか音声認識で行ないます。
ファミリー層を想定したSUVなため、室内空間はとても広く、身長187 cmの筆者が座っても窮屈さは感じられません。
実際に運転してまず感じたのは「運転のしやすさ」です。出力201 hp・トルク200 Nmに抑えた良心的な設計はどんな人でも扱いやすいスペックと言えます。
アクセルを踏み始めた際の加速感も丁寧で、加速のチューニングはかなりマイルドめな印象です。
一応ドライブモードには「スポーツ」もありますが、それを選択しても初期加速は他のEVのスポーツモードと比べてかなり抑え気味だと感じました。
良い意味でガソリン車らしい、車酔いのしにくい乗り味です。マイルドとは書きましたが、いったん初期の加速を終えたらそこからは力強くスピードアップし、前輪駆動とは感じさせないほどの加速感です。ここの調整を上手くできないメーカーが多い中、トヨタは一枚上手を行っています。
今回試乗したテストコースは狭い路地もありましたが、車体が小さめなのに加えてハンドルも軽いため、狭さを気にすることなくスイスイ走り抜けられたのが印象的でした。
また、ドアミラーが大きいのもbZ3Xの特徴と言えます。最近のEVでは空気抵抗を減らすためにドアミラーを小さくする傾向がある一方、bZ3Xはしっかりと四角い形状をしており、縦の長さも十分にあります。
こうすることで広い後方視界が確認可能となり、交通量の多い道路でも安心して運転できることでしょう。
ファミリー向けSUVは運転手のほか、後ろに座る人の乗り心地も重要です。
bZ3Xはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームという組み合わせのサスペンションです。
低価格帯の車種に使われがちなトーションビームは一般的に乗り心地が悪いと言われていますが、bZ3Xでは特にそのような印象は受けませんでした。
全体的に足回りは柔らかめに作られており、同じ日系電動SUVでもスポーティに脚を硬くしているマツダ EZ-60とは異なるアプローチです。
室内空間は広くて運転もしやすい、なおかつ実用的という点では、bZ3Xはまさに「純電動版カローラ」と言えます。
bZ3Xは2025年3月の発売以来、販売台数の記録をほぼ毎月更新しており、10月には1万13台を販売とついに大台を突破しました。
この人気の裏にはこれまで挙げた数々の良い点に加え、メーカー希望小売価格は10.98-15.98万元(約240.7-350.4万円)というコストパフォーマンスが要因として挙げられます。

また、トヨタらしく車体とバッテリーの安全性にも気をつかっています。
運転支援機能には中国の自動運転ベンチャー「momenta」と共同開発したレベル2+相当のソフトウェアを搭載しており、ハンズオン状態で運転操作の大部分を車両側が担ってくれます。
この機能の使用中に発生した事故や、バッテリー発火事故の際の補償策も広汽トヨタは2025年8月に発表しており、それがさらに販売を押し上げている状況です。
トヨタは現在、中国にて第一汽車との「一汽トヨタ」から「bZ3」「bZ4X」「bZ5」を販売しているほか、広汽トヨタからはbZ3Xに加えて2026年初頭に純電動セダン「bZ7」を発売予定です。
bZ7の正式価格はまだ発表されていないものの、広汽トヨタは発表イベントで「20万元(約440万円)から」であると強調しています。
さらに、いくつかの中国メディアではベースグレードはさらに安い「15万元(約330万円)」から販売されるとも予想しており、bZ3Xに次ぐヒット車種になることが期待されています。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。














