なぜ売れる!? ダイハツ「新型“軽ワゴン”」が軽自動車販売数トップに! “スライドドア”採用&絶妙な価格設定「ムーヴ」が人気な理由とは
2025年10月の軽自動車販売ランキングで、6月にフルモデルチェンジを受けたダイハツ新型「ムーヴ」が首位に立ちました。これまで王者として君臨してきた「N-BOX」や対抗馬の「スペーシア」など、軽スーパーハイトワゴンの牙城を崩し首位に躍り出た理由は、どこにあるのでしょうか。

軽スーパーハイトワゴンじゃなくても使い勝手よし! 価格は135万8500円から
新型ムーヴの登場以前は、王者ホンダ「N-BOX」や対抗馬のスズキ「スペーシア」などの軽スーパーハイトワゴンが販売面での主役でした。しかし、2025年10月に新型ムーブが軽自動車販売ランキングで首位に立っています。
全国軽自動車協会連合会によると、新型ムーヴは、2025年7月に前年同月比222.3%となる1万1299台を記録し、同年8月は同245.0%の1万847台、9月は同351.3%の1万3506台と軽自動車販売ランキングで3位につけていました。なお、販売台数のムーブには、「ムーヴ・キャンバス」も含まれています。
2025年10月は、同308.3%の1万6015台を記録し、スペーシア、ダイハツ「タント」、N-BOXを従えての1位に踊り出ています。ベスト4の顔ぶれは、ムーヴ以外はすべて軽スーパーハイトワゴン。
軽ハイトワゴンである新型ムーヴは、歴代が採用してきたリヤヒンジ式ドア(スイング式ドア)から両側スライドドアに刷新。プラットフォームは、先にデビューしていたムーヴ・キャンバスと同じです。
初代ムーヴ・キャンバスは、全高1700mm以下で初めて両側スライドドアを採用しましたが、新型ムーヴも美点を受け継いでいます。
新型ムーヴのパワートレーンは、電子制御スロットルの開閉特性が変更されていますが、こちらも基本設計は同一。
ムーヴ・キャンバスには、後席下の「置きラクボックス」が備わり、ストラップを使って後席をスライドさせます。新型ムーヴは「置きラクボックス」がないため、座面下には通常のスライドレバーが用意されています。
シートフレーム、シートアレンジ、ラゲッジなど、基本設計や使い勝手は、新型ムーヴもキャンバスも同じ。つまり、大きな違いは見た目ということになります。
また、歴代ムーヴは、男性ユーザーがメインで、女性ユーザーが多いキャンバスとの大きな違いになります。そのため、男性ユーザーを中心に、デザインや走りにこだわる層に支持されているのが好調なセールスの大きな理由といえるでしょう。
また、リヤスライドドアを備えていれば、軽スーパーハイトワゴンほどの背高スタイルでなくても十分というニーズにも応えているはず。
“ムーヴ”というブランド力に、スライドドアという乗降性、使い勝手の良さが加わったことでキャンバスとは異なる層も振り向かせている可能性もありそうです。
また、装備と価格のバランスの良さも光ります。全車標準ではないものの、アダプティブクルーズコントロール(ACC)や電動パーキングブレーキ、前席シートヒーターをグレードごとにきめ細かく設定。
メーカーオプションでは、ワイヤレス対応の「Apple CarPlay」「Android Auto」機能を採用する9インチディスプレイオーディオなどを設定しています。
ムーヴの価格帯(消費税込)は、135万8500円〜202万4000円で、最上級の「RS(2WD)」は189万7500円。上級グレードの「G(2WD)」は171万6000円となっています。
「RS」はACCや「レーンキープコントロール」が標準になり、「G」はセットオプション。街乗り中心であれば「G」で十分というユーザーニーズもつかんでいるでしょう。
さらに、プッシュボタンスタートや左側のパワースライドドアが標準の「X(2WD)」であれば、149万500円と現在ではリーズナブルな価格設定といえます。
2025年4月に一部改良を受けたN-BOXは、173万9100円〜247万5000円という価格帯(消費税込)。スペーシアも153万100円〜219万3400円という価格設定(消費税込)で、軽スーパーハイトワゴンと軽ハイトワゴンの違いは大きいですが、長年、良品廉価を謳ってきたダイハツらしい価格戦略が功を奏しているともいえそうです。
Writer: 塚田 勝弘
中古車の広告代理店に数ヵ月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー用品などのフリーライター/フリーエディターに。軽自動車からミニバン、キャンピングカーまで試乗記や使い勝手などを執筆。現在は最終生産期のマツダ・デミオのMTに乗る。










































