日本最大のカスタムカーの祭典「東京オートサロン（TAS）2026」が、2026年1月に開催されます。

　日産グループで自動車整備専門学校の日産・自動車大学校では、毎年学生が手掛けたカスタムカーを披露しており、次回のTAS2026でも学生によるカスタムカーが披露される予定です。

　そのうち、京都校が現在TAS2026に向けて製作を進めている、カスタムカー「サニスカ」を紹介します。

　サニスカは、その名称の通り「サニー」と「ハコスカ（スカイライン）」を融合させたもの。

　サニーは1966年に登場した日産のエントリーモデルです。トヨタ「カローラ」のライバルとしてデビューし、若々しいデザインや手頃な価格からヒット。初代のファストバッククーペ（KB10）は、軽快な走りなどからスポーティなイメージを与えました。

　かつて京都校の1期生はこの初代サニーをカスタムし、旧車のスタイリングと現代らしいパワフルなスペックを持ち合わせたカスタムカーを製作。このクルマが非常に好評で、復活を望んでいる声も多く寄せられていたといいます。

　いっぽうのスカイラインは、1957年に登場後、日産を代表するスポーツモデルとして長らくラインナップ。なかでも通称「ハコスカ」と呼ばれる3代目は、レーシングカーのエンジンを搭載した「GT-R」をラインナップし、レースで快勝するなど、現在もファンが多いモデルです。

　この2つを融合させ、旧車のスポーツクーペ風に仕上げた１台がサニスカです。

　キャッチコピーは「あの頃の輝きをもう一度」。1期生のサニーの復活とともに、日産の誇るハコスカの2台を輝かせたいという気持ちが込められているといいます。

　ターゲットユーザーは45〜55歳のクルマ好きの男性。ガレージ付きの1軒家に住んでおり、子どもが成人してお金に余裕ができ、趣味車として購入することをイメージしました。

　さて、サニスカは先出の通り、1期生がカスタムしたサニーをベースに製作。すでにワイドボディ化や「シルビア」に搭載される2リッタースポーツエンジン「SR20DE」が搭載されています。

　これをベースに現代風にアレンジしたハコスカの「顔」を取り付け、内装も高級感がある雰囲気に変更。さらに車検に適合させ、公道走行を目標としています。

　まずエクステリアでは、フロントグリルを3Dプリンターで自作。この3Dプリンターの技術は、TAS2025での展示車両製作時で培ったものだといい、学んだ技術が今年も活きているとのことです。

　ヘッドライトはLED化などで最新モデルらしい雰囲気を演出。テールランプはボディの変更に伴い、横にずらして再設置と、大掛かりなカスタムになります。

　さらに、インテリアは木目などを取り入れてレトロ感を残しつつ、タッチスクリーンのオーディオ装着などによって最新のスタイルの融合を目指しています。

　11月中旬時点の製作状況は、すでに完成形が見え始めており、フロントとリアは下処理やマスキングを実施して塗装の前段階の状態。ドアもサーフェイサーの吹付けやミラー、ドアハンドルの取り付けが終了しているとのことです。

　いっぽうフロントフェンダーはイチからの製作となり、発泡ウレタンで形を作った後、FRPで成形し、曲線を出しているところだといいます。

　リアはクラシカルな鉄バンパーが装着される予定で、その取り付けにあたりステーの溶接が行われています。

　インテリアもセンターコンソールの製作が完了し、インパネも塗装完了。このあと木目仕様に仕上がる模様です。

　では、ここまでで一番苦労したところはどこだったのでしょうか。担当した学生は以下のように話しています。

「ほぼ完成に近づいているのですが、車検に適合させるために苦労したところがワイパーでした。

（2期生のサニーには）ワイパーがなかったので、穴を開けてワイパーの機構を干渉せずに動くようにすることが大変でした」

　また今後は一度下ろしてヘッドカバーを塗装したエンジンの搭載が計画され、完成までに急がなければならないと説明します。

　完成までもうしばらくかかりそうですが、1期生のサニーから大変貌を遂げたサニスカの披露に期待が膨らむばかりです。

※　※　※

　東京オートサロン2026は、2026年1月9日から11日にかけ、幕張メッセ（千葉市美浜区）で開催予定です。

　なお、日産・自動車大学校では京都校に加え、愛知校でもカスタムカーを製作中です。