“眩しい”対向車のヘッドライト、なぜ増えた? 「ハイビーム走行が基本」の新常識と信号待ちでの「消さない」理由とは

夜間運転中、対向車のライトが「眩(まぶ)しい!」と感じることが増えていませんか。その背景には、LED化による光量アップだけでなく、法規制の変更による常識の変化があります。安全上の課題も含めて解説します。

眩しさの原因は光量だけじゃない! ヘッドライト使用法の新常識

 夜間運転中、「対向車のライトが眩(まぶ)しい」と感じることが近年増えているのではないでしょうか。LEDライトの普及による光量アップはもちろんですが、法規制の変更や技術の進化により、ヘッドライトの使い方が以前とは大きく変化しています。

 この記事では、眩しさが増した背景にある「ハイビーム走行の原則化」という新常識と、信号待ちでライトを消さないドライバーが増えた意外な理由、そしてそれがもたらす安全上の課題とはどのようなものなのでしょうか。

眩しいヘッドライト、増えている?(画像はイメージ、bee/PIXTA)
眩しいヘッドライト、増えている?(画像はイメージ、bee/PIXTA)

 夜間に走行している際、対向車のヘッドライトの光が強烈で、思わず目を細めてしまう。このようなシーンが増えているのは、単にヘッドライトが明るくなっただけではなく、ヘッドライトの使用方法に関する「新常識」が背景にあります。

 道路交通法では夜間走行時の前照灯点灯が義務付けられていますが、ハイビーム(走行用前照灯)とロービーム(すれ違い用前照灯)の使い分けについては、かつては曖昧さが残っていました。

 しかし、2017年の改正道路交通法の施行に伴い、国家公安委員会が告示する「交通の方法に関する教則」が改正されました。この改正で、教則に「交通量の多い市街地などを通行しているときを除き、上向き(ハイビーム)」という文言が加えられたのです。

 これは、より遠くまで視界を確保できるハイビーム走行を基本とする考え方が、国によって示されたことを意味します。

 この教則改正を受け、首都圏の教習所で指導員だったI氏は、指導方針の変化について次のように説明します。

「教則の改正により、国が『ハイビームでの走行が基本』というお墨付きを与えた形となりました。これに伴い、教習所の指導でもハイビームの使用を原則とするようになったのです」

 国が安全性を高めるためにハイビーム走行を推奨する流れを作ったと言えますが、その一方で、対向車とすれ違う際にロービームへの切り替えを忘れてしまうドライバーが増加したと推察されています。

 ハイビームは良好な視界を確保できるものの、対向車や前走車がいるにもかかわらず切り替えを行わないことは、相手の視界を奪う非常に危険な行為です。

 夜間は常にハイビームで走行して良いわけではなく、交通量の多い市街地や、対向車・前走車がいる場合は、光を減らすかロービームに切り替えなければなりません。

これは法で定められた「減光等義務違反」の対象となる行為であり、悪質な場合は「あおり運転」と見なされる可能性もあるため、注意が必要です。

 また、近年普及が進む「オートハイビーム機能」や「アダプティブヘッドライト」といった先進技術も、状況によっては眩しさの原因となることがあります。

 速度や天候などの影響で、対向車の検知が遅れ、ハイビームからロービームへの切り替えタイミングがずれてしまうことも、ドライバーが眩しさを感じる一因となっているのです。

●信号待ちでヘッドライトを「消さない」意外な理由

 ヘッドライトの眩しさは、走行中に限らず、交差点での信号待ちの際も問題となります。かつては周囲への配慮としてヘッドライトを消灯し、車幅灯(スモール)のみにするのがマナーとされていましたが、近年はこの常識が変わりつつあります。

 信号待ちでヘッドライトを消灯しない理由について、前出の元指導員I氏は、「安全への意識の高まり」を挙げます。

「信号待ちでヘッドライトを消灯して車幅灯だけにしてしまうと、他車や歩行者から見落とされてしまう危険性があります。また、青信号になり再発進する際に、点灯を忘れてしまう可能性も否定できません。そうした不安要素を少しでも減らすために、『ヘッドライトはつけたまま』を基本とする考え方が広まっています」

 これは、安全を最優先に考えた結果であり、信号待ちでヘッドライトを点灯したままのクルマが増えているのは、ある意味当然の流れとも言えるでしょう。

 また、道路交通法第52条では「夜間、道路にあるときは、前照灯をつけなければならない」と定められており、ヘッドライトの点灯は必須であると解釈できます。

 停車・駐車時の規定ではヘッドライトについて明確に言及されていませんが、万が一にも違反とならないよう消灯しないドライバーも多いのが現状です。

 さらに、「オートライト機能」の普及により、ドライバーがヘッドライトのオン・オフに意識を向けなくなり、結果として信号待ちでも「つけっぱなし」のクルマが増えたことも、消灯しない派が多数派となった要因と考えられます。

●安全と配慮の両立が求められる新時代のライト操作

「より安全に」という指標のもと、ヘッドライトの法令も機能も、そしてドライバーのマナーも変化しています。

 技術の進化は夜間の視界を向上させますが、それが他車の眩惑に繋がってしまうという課題も生じています。

 特に、ハイビーム走行が基本となった今、ドライバーには対向車や前走車への切り替え操作を確実にすることが求められます。

 また、オートハイビームなどの先進機能も、過信せずに、自車のスピードや天候、周囲の交通状況を常に確認し、必要に応じて手動で操作する意識が大切です。

 ドライバーひとりひとりが「安全確保」と「他車への配慮」のバランスを取り、適切なライト操作を実践することが、夜間の快適な交通環境を守る鍵となります。

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Writer: くるまのニュース編集部

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