救急車と原付バイクが衝突! バイクの男性がケガ 同様の事故は過去にも! 一体なぜ起きる? “緊急自動車”に対して気をつけたいこと
大阪府岸和田市の交差点で、患者を搬送中だった救急車と原付バイクが衝突する事故が起きました。このような緊急自動車と一般車両の事故はたびたび発生していますが、一体なぜなのでしょうか。
要注意! クルマの遮音性能や走行位置によってサイレンが聞こえづらいことも
先日、大阪府岸和田市の交差点で患者を搬送中だった救急車と原付バイクが衝突する事故が起きました。
このような緊急自動車と一般車両の事故はたびたび発生していますが、一体なぜなのでしょうか。

2025年11月14日の午後11時15分頃、大阪府岸和田市内の交差点において、患者を搬送中の救急車と原付バイクが衝突する事故が発生しました。
これは救急車がサイレンを鳴らしながら交差点を右折したところ、対向車線を直進してきた原付バイクと衝突したものです。
この事故により、原付バイクを運転していた18歳の男性は右足首の捻挫や右手を打撲するなどのケガを負いました。
また搬送中の患者は、宿泊先で胸の痛みを訴えた中国人観光客の66歳の男性で、男性にケガはなかったものの、病院への搬送が30分ほど遅れました。男性の命に別状はなく、現在は治療を終え、すでに帰国したということです。
泉州南消防組合は事故の発生を受け、「救急自動車が救急業務中に交通事故を発生させ、事故により負傷された方、搬送中であった方、関係者の皆さまにご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。事故の検証をおこない、再発防止の徹底を図ってまいります」とコメントしました。
今回の事故に対してインターネット上では、「この事故の原因は分からないけど、最近は救急車が近づいてきても平気で前を走り続けたり、道路の端に寄せたりしないクルマが結構多い」「私も原付乗ってますが、緊急車両が近くを通る時は停止します。車両が対向に居て交差点を通るなら注意しなきゃ」などの声が寄せられました。
なお道路交通法第40条には「緊急自動車の優先」が規定されており、交差点やその付近で緊急自動車が接近してきたときは、車両は交差点を避け、道路の左側に寄って一時停止しなければなりません。
さらに上記以外の場所で緊急自動車が近づいてきた場合、車両は道路の左側に寄り、緊急自動車に進路を譲る必要があります。サイレンを鳴らし、赤色灯を点灯した救急車やパトカーなどが接近してきたら、その動向に注意すべきといえるでしょう。
しかし、緊急自動車と一般車両との事故はこれまでにもたびたび発生しており、11月17日にも山口県岩国市内の国道で緊急走行中の救急車と乗用車が接触する事故が起きています。
この事故は午前10時頃、道路沿いの駐車場から出てきたクルマが国道を走っていた救急車に接触したもので、救急車は現場に向かっているところでした。現場へは別の救急車が向かい、約4分遅れで到着しましたが、傷病者に影響はなかったということです。
また今年5月13日にも大阪府吹田市内の交差点において、患者を搬送中の救急車と乗用車が衝突する事故が発生し、患者の男性と付き添いの女性、乗用車に乗っていた男女2人の計4人がケガをしました。
この事故では、救急車がサイレンを鳴らしながら赤信号の交差点に進入したところ、左方から直進してきた乗用車が救急車の側面に衝突したということです。
このような事故が起きる原因はさまざま考えられますが、最近はクルマの遮音性能が向上したことで、以前よりサイレンの音に気づきにくくなったという点が挙げられます。特に車内で音楽やラジオなどを大きめの音量で聞いていると、救急車の発見が遅れる可能性が高まります。
加えて、救急車のサイレン音は前後に伝わりやすく、救急車との位置関係によっては音が聞こえにくかったり、どの方向から救急車が来るか分かりにくかったりするケースもあります。
そして、「緊急自動車の優先」に対するドライバーの認識が甘いことにより事故につながる事例も散見されます。
“緊急自動車には道を譲らなければならない”ということを念頭に置き、少しでもサイレン音や赤色灯の光が確認できる場合は、車両のスピードを落としたり、窓を開けて周囲の音を聞いたりする心がけが重要です。
※ ※ ※
緊急自動車の通行を妨げると、人命に関わるおそれもあります。
運転中は周囲の音が聞こえるよう車内の音量やエアコンの風量を調整するほか、周囲の安全を十分に確かめながら運転するようにしましょう。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。




























