1リッターで“33km”走れる! トヨタ高性能「MRスポーツカー」! 斬新すぎる“2シーター”に見える「4人乗り」仕様がスゴイ!「走る歓び」&“低燃費”も実現したド迫力モデル「CS&S」に大注目!
トヨタが「第37回 東京モーターショー」に出展して話題を呼んだオープンスポーツカー「CS&S」とは一体どのようなクルマだったのか、その意義を振り返ります。
1リッターで“33km”走れる! トヨタ高性能「MRスポーツカー」!
2025年10月29日から11月9日にかけて開催された「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」では、未来のモビリティが多数展示され話題となり、それと同時に、過去のモーターショーで発表された先見的なコンセプトカーの魅力も、改めて評価されています。
本記事では、トヨタが2003年の「第37回 東京モーターショー」で披露し、大きな話題を呼んだオープンスポーツカー「CS&S」と、その意義を振り返ります。

CS&Sは、当時のトヨタが掲げた「環境と感動」というテーマを具現化したモデルです。
クルマの本質的魅力である「走る歓び」と「使う楽しさ」に、「環境への配慮や人への優しさ」を融合させるという、現代のスポーツカーにも通じる哲学に基づいて開発されました。
パワーユニットには、ミッドシップに搭載した1.5リッターエンジンにハイブリッドシステムを組み合わせ、電動四輪駆動(E-Four)も相まってドライビングの楽しさと優れた環境性能とを両立。
ボディサイズは全長3940mm×全幅1800mm×全高1120mmと、非常に低くコンパクトにまとめられ、スポーツカーらしい迫力と素性の良さを感じさせます。
エクステリアは、4シーター車でありながら、まるで2シーターのように見えるキャノピーと、四輪駆動の力強い走りを予感させるホイールアーチによって構成された、シンプルかつ幾何学的な形状が見どころ。
このキャノピーをスライドさせることで後部座席が出現し、4人乗車が可能になる仕組みでした。
そしてインテリアには、エクステリアと一体化した有機的なデザインを採用。ドライバーと乗員に独立した空間を提供することで、スポーティな運転感覚を強調しています。
また前席のシートバック部が前方に格納され、駐車時のセキュリティカバーとなる「カプセルシート」機構も、CS&Sに採用されたユニークなアイデアでした。
そのほか搭載するインターフェースは、空中に浮かぶように表示される球体を手で触れて直感的に操作する「スペースタッチ」という仕組みで、当時の先進性を象徴しています。
具体的なスペックの開発目標値は、最高速度205km/h、0-100km/h加速8.6秒というスポーツカーとして十分な性能を目指し、同時に燃費も10・15モードで33km/Lという高い環境性能を両立。
2003年当時のハイブリッドカーは、燃費性能が最優先される時代でした。
そんな中で、トヨタが「ハイブリッドでも走りが楽しいオープンカー」というニッチな領域に踏み込んだことは、同社の技術的挑戦心を示すものであり、現代における電動スポーツカーの潮流を先取りしていたと言えます。
現在では、ハイブリッドカーが高い走行性能を持つことが当たり前になっていますが、CS&Sは、その礎を築いた先見的なコンセプトの一つだったのです。
残念ながら、出展から約22年が経過した現在も市販化は実現していませんが、CS&Sの開発を通じて培われた知見は、その後のトヨタのスポーツカー開発や電動化技術にフィードバックされているでしょう。
Writer: パワーボム
関西大学社会学部卒業後、某CS放送局運営のメディアにてライターとしてのキャリアをスタート。自動車ブログの立ち上げから携わり、主にトヨタ車やレクサス車、キャンピングカーを中心に取材記事を多数執筆する。




























