バイクの「すり抜け」運転を大阪府警が一斉取り締まり! 1時間半で13人が検挙 危険な“すり抜け”はどんな違反になる?
大阪府警は先日、大阪市鶴見区でバイクの「すり抜け」行為に対する一斉取り締まりをおこないました。バイクのすり抜け行為は、一体どのような違反に該当するのでしょうか。
SNS上では「バイクのすり抜けマジで嫌」「迷惑だからやめろ」など批判の声も
クルマで信号待ちをしていると、たびたびバイクがクルマの間をすり抜けて前方に出たり、クルマの前に割り込んだりしてきます。
時にはバイクがクルマの横スレスレを通行するため、「ぶつけられるのではないか」とドライバーが肝を冷やすことも少なくありません。

バイクのすり抜け行為に関してはSNS上で「クルマ運転してるとバイクのすり抜けマジで嫌」「信号待ちしてたらすり抜けしてきたバイクに当て逃げされた」との声や「バイク乗ってる自分からしてもすり抜け運転ってのは危ないし、迷惑だからやめろと感じてる」といった意見が上がっています。
そのような中、大阪府警は11月10日の朝、大阪市鶴見区の道路においてバイクのすり抜け行為に対する一斉取り締まりをおこないました。
この場所はJR京橋駅方面に向かう車両などで混雑する片側1車線の道路で、バイクが信号待ちによる渋滞を抜けるため対向車線にはみ出してクルマを追い越すといった違反行為が相次いでいます。
一斉取り締まり当日は、約1時間半の間に、バイクで対向車線にはみ出すなどの運転をしたドライバー13人が検挙されました。
この取り締まりに対しては「こういうのは単発で終わらずに時間帯や場所を変えながらどんどんやってほしい」「全国的にやるべき」など、取り締まりを歓迎する声が聞かれました。
では、バイクのすり抜け行為とは具体的にどのような違反に当たるのでしょうか。
実は、すり抜け行為そのものを取り締まる法令はありませんが、すり抜けの態様によって、さまざまな交通違反に抵触するおそれがあります。
たとえばバイクが前のクルマを追い越すために対向車線にはみ出して逆走した場合(いわゆる右側通行)、道路交通法第17条 第4項に規定する「通行区分違反」に当たります。この違反で検挙されると違反点数2点、二輪車で7000円、原付で6000円の反則金が科されます。
何より、対向車線にはみ出て逆走する行為は対向車との正面衝突といった重大な事故につながるおそれがあり、安易にすべきではありません。
また、バイクがすり抜け時に歩行者のためのスペースである歩道や路側帯を通行した場合もこの通行区分違反が適用されます。
さらに、車両通行帯が黄色の実線で区分された道路においてすり抜けをする際、その黄色線を越えて進路変更をおこなうと、道路交通法第26条の2 第3項にある「進路変更禁止違反」に該当します。
進路変更禁止違反は違反点数が1点、反則金が二輪車で6000円、原付で5000円の交通違反です。
そして、すり抜けをしたバイクがクルマの前方に入り込んだ場合は、道路交通法第32条に規定する「割込み等」の交通違反に当たります。
同条では、信号待ちなどで停止・徐行している車両に追いついたときは、その車両の横を通過して前に割り込んだり、車両の前方を横切ったりする「割込み行為」を禁止しています。
この割込み等違反で検挙されると、違反点数1点が加算されるほか、二輪車で6000円、原付で5000円の反則金が科されます。
なお大阪府警のウェブサイトでは、「二輪車による無謀な割り込み等は違反となり、二輪車死亡事故の原因ともなっています」とした上で、「このような違反の取り締まりを強化することとしています」と明記しています。
そのほか、バイクが横断歩道付近や道路の曲がり角といった場所で追い越しをしたり、前のクルマを左側から追い越したりするようなすり抜け行為をおこなうと、道路交通法第28条~第30条に規定する「追越し違反」に当たるおそれもあります。
この追越し違反では違反点数2点のほか、二輪車で7000円、原付で6000円の反則金が科されます。
※ ※ ※
バイクによるすり抜け行為は様々な交通違反に抵触するほか、クルマとの接触事故の危険性が高まります。
特にバイクは体を保護する装備が少ないため重傷事故につながりやすく、ドライバー自身の安全面からもすり抜け行為をやめるべきといえるでしょう。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。






















