「スゴいGRヤリス」実車展示! ド迫力な見た目&画期的心臓部!? 「GR Yaris Rally2 H2 Concept」とは

ラリージャパン2025に「水素で走る」ラリーカーが登場。TGRが開発中の「GR Yaris Rally2 H2 Concept」です。CO2ゼロを目指しつつも、内燃機関の「音」はそのまま。トヨタが示す未来のラリーの姿とはどのようなものなのでしょうか。

ラリージャパン2025で注目の「水素ラリーカー」

 TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、「ラリージャパン2025」の会場で、コンセプトカー「GR Yaris Rally2 H2 Concept」を展示しました。

 これは、カーボンニュートラル(CN)の実現と、モータースポーツが持つ「音」や「迫力」という魅力を両立させる一台です。

ラリージャパン2025で注目の「水素ラリーカー」
ラリージャパン2025で注目の「水素ラリーカー」

 世界中からトップラリーストが集結する「ラリージャパン2025」。そのサービスパークに展示されているのがGR Yaris Rally2 H2 Conceptです。

 一見すると、TGRの最新のラリー競技車両「GR Yaris Rally2」ですが、その心臓部と燃料系は全く異なります。これは水素を燃料として走る「水素エンジン」を搭載したコンセプトモデルです。

 トヨタは「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」と「カーボンニュートラル社会の実現」を両立させるための取り組みを進めています。

 その中で、走行中のCO2排出をほぼゼロにしながらも、内燃機関ならではの迫力あるサウンドやフィーリングを失わない水素エンジンは、未来のモータースポーツにおける有力な選択肢の一つとして開発が続けられています。

 トヨタの水素エンジンへの挑戦は2021年以降、日本国内の「スーパー耐久シリーズ」という過酷なレースの現場で、水素エンジンを搭載したカローラを走らせ、実戦を通じて開発を続けてきました。

 この取り組みには、TGR World Rally Team(TGR-WRT)のヤリ-マティ・ラトバラ代表も富士24時間レースなどで自らステアリングを握り、ドライバーとしてのフィードバックを開発陣に提供してきました。

 また、2022年のWRC第9戦「イープル・ラリー・ベルギー」では、水素エンジンを搭載した「GR Yaris H2」が欧州で初公開され、当時TGR-WRTチーム代表代行だったユハ・カンクネン氏と、トヨタの豊田章男会長によるデモ走行が実現。ラリーの現場で水素エンジンの可能性を強くアピールしていました。

 今回ラリージャパンでお披露目されたGR Yaris Rally2 H2 Conceptは、これらの活動で得られた知見を活かし、さらに一歩進んだものです。

 このマシンの最大の注目点は、気体水素を燃料とすることで走行中のCO2排出をほぼゼロに抑えながらも、従来のガソリンエンジンのラリーカーと変わらない「内燃機関ならではの迫力あるサウンドやフィーリング」をそのまま維持していることです。

 電動化による静粛性も一つの価値ですが、モータースポーツの魅力である「エンジン音」や「振動」を失うことに寂しさを感じるファンも少なくありません。

 カーボンニュートラルへの道筋としてBEV(電気自動車)が注目されがちですが、トヨタは水素エンジンや合成燃料など「マルチパスウェイ(多様な選択肢)」の重要性を一貫して提案しています。

 開発は、カスタマーモータースポーツ(TGRが開発し、世界中のプライベーターが購入して参戦できる車両)の主力である「GR Yaris Rally2」のシャシを基盤としています。

 開発を担当したのは、WRCのトップカテゴリーで戦うTGR-WRT。フィンランドのユバスキュラにある拠点で開発が進められ、テスト走行は実際のラリー・フィンランドで使われるような未舗装路(グラベル)でも重ねられてきました。このことからも、TGRが本気で「ラリーを走れる水素エンジン車」を開発していることが伺えます。

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Writer: くるまのニュース編集部

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