ダイハツの「“大きな”コペン」は2種類あった! 幻の「コペンZZ」と市販化が期待された「ビジョンコペン」 その夢の行方とは?

「コペンZZ」という名で語られる、軽自動車の枠を超えたコペン。しかし、その正体は18年の時を経て現れた二つの異なるコンセプトカーでした。はたして、それぞれのモデルはどのようなクルマで、その市販化の夢はどうなったのでしょうか。

20年の時を経て進化した「大きなコペン」という夢

 ダイハツ「コペン」は2002年に初代が登場して以来、日本で唯一の軽規格オープンスポーツとして独自の地位を築いてきました。

 ホンダS660が生産終了となった現在では、新車で購入できる軽スポーツはコペンのみとなり、その存在は非常に特別です。そんなコペンの歴史の中で異彩を放つのが、2005年の東京モーターショーで発表されたコンセプトカー「コペンZZ」です。

本革シート採用の豪華仕様! 1.5リッターエンジン搭載の大きなコペンとは?
本革シート採用の豪華仕様! 1.5リッターエンジン搭載の大きなコペンとは?

 コペンZZは「もしコペンが軽ではなく普通車だったら」という大胆な問いかけを体現したモデルでした。

 ボディサイズは全長3550mm×全幅1600mm×全高1260mm、ホイールベース2240mmで、軽規格を明確に超えており、コンパクトカーに分類される大きさでした。それでも車両重量は880kgと1トンを大きく下回り、軽快さを重視するコペンらしい思想を貫いていました。

 外装は丸みを帯びたシルエットにワイドフェンダーを組み合わせ、安定感を強調。内装はMOMO製本革ステアリングやレカロシートを採用し、プレミアムなスポーティ感を演出していました。

 パワートレインには「TOPAZ」ブランドの1.5L直列4気筒エンジンを搭載し、駆動方式はベースと同じFFを採用。205/40R16タイヤを装着し、制動系にはブレンボ製4輪ディスクブレーキを採用するなど、本格的なスポーツ志向が盛り込まれていました。

 軽自動車の660ccターボから大幅に拡大した排気量に加え、足まわりの強化やブレーキの高性能化は「本気の走り」を意識した設計といえます。

 しかし、市販化は実現しませんでした。理由のひとつは採算性だと考えられます。ダイハツは軽自動車やコンパクトカーを主力とするメーカーであり、少量生産のスポーツカーを普通車枠で展開することは経営的リスクが大きかったのです。

 また、当時はトヨタグループ内で「MR-S」や「86」といった小型スポーツカーが存在しており、グループ内競合を避ける意味でも市販化の優先度は低かったと考えられます。結果としてコペンZZは幻の存在となりましたが、その挑戦は後の開発に大きな影響を残しました。

 その影響が形となったのが、2023年のジャパンモビリティショーで発表された「VISION COPEN」です。こちらはFRレイアウトと1.3Lエンジンを採用した全く新しいコンセプトカーで、コペンZZが示した「軽を超える」という方向性をさらに進化させたものでした。

 ボディサイズは全長3835mm×全幅1695mm×全高1265mmと、ZZよりさらに大きく、FR化によって「もしコペンが本格スポーツカーだったら」という問いに答える内容でした。

 当時、SNSでは「FR化は夢がある」「このデザインのまま市販化してほしい」といった期待の声が相次ぎました。一方で「軽じゃなければコペンではない」「価格が上がると手の届く存在でなくなる」との懸念も見られ、賛否が分かれる状況となりました。

 コペンZZの時代から続く「軽の枠を超えたコペン」をめぐる議論が、いまもなおファンの間で熱を帯びています。

 市販化の可能性については、ダイハツの認証不正問題が大きな影を落としているかもしれません。企業の信頼回復と基幹車種の再建が最優先される中で、趣味性の高いスポーツカーは後回しにされやすく、市販化のリスクが高いのは現実でしょう。

 ただし、親会社トヨタのFRプラットフォームを活用し、GRブランドと共同開発される可能性が報じられており、新しい枠組みで実現する道も残されています。もし実現すれば、次期コペンはトヨタ版の兄弟車を持ち、国産ライトウェイトスポーツの新たな流れを生み出すかもしれません。

 コペンZZはコンセプトカーで終わったものの、その存在は「軽を超えた挑戦」という思想をファンの心に強く刻みました。

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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