日本の大動脈「新東名高速」全線開通は“先送り”に 神奈川〜静岡の「最後の未開通部」で難工事 湧き水&脆弱地盤に阻まれ「1年以上遅れます」 27年開通は一旦“白紙撤回”に

NEXCO中日本は、新東名高速の全線開通に向けた連絡調整会議を実施しました。工事はどのように進捗し、いつ全通するのでしょうか。

新東名「最後の未開通区間」 想定以上の「難工事」は変わらず…

 NEXCO中日本は2025年11月5日、新東名高速(海老名南JCT〜御殿場JCT間)の全線開通に向けた関係機関との連絡調整会議(第7回)を開催したと発表しました。

 工事はどのように進捗し、いつ全線開通するのでしょうか。

新東名高速の最新の工事状況(画像:NEXCO中日本/2025年11月)
新東名高速の最新の工事状況(画像:NEXCO中日本/2025年11月)

 新東名高速(新東名)は、圏央道と接続する神奈川県の海老名南JCTを起点に、東名の北側を並行し、愛知県の豊田東JCTで伊勢湾岸道に接続する、総延長約250kmの高速道路です。

 日本の大動脈でかつ関東〜東海エリアを結ぶ既存の東名高速(東名)の副本線として機能していますが、東京〜愛知の間をほぼ直線的に結ぶ走りやすい線形で、一部区間では最高速度120km/hで走行もでき、同エリア間の最短ルートとして機能しています。

 2012年には静岡県内のほぼ全域となる、御殿場JCT〜浜松いなさJCTの広範囲が一気に開通。その後、2016年には愛知県の豊田東JCTまで延伸し、伊勢湾岸道と接続。

 2018年から2022年にかけては、神奈川県内の海老名JCT~新秦野ICまでの区間が順次開通しています。

 しかし、現在も未開通のまま残されているのが、新秦野IC〜新御殿場ICまでの約27kmです。

 御殿場JCT以西は新東名と東名のいずれか2ルートを選択できますが、御殿場より東京側はまだ東名しかないため、御殿場JCTまでは東名を利用するしかありません。

 そのため、せっかくの東名・新東名があるにも関わらず、渋滞ポイントは回避できず、2ルートの本来のポテンシャルを発揮できていない状態です。

 未開通区間周辺にはボトルネックもあり、特に秦野中井IC周辺は急峻なカーブが続く山岳区間で、休日ともなれば20kmを超える大渋滞に発展します。危険な線形であることから事故も多く、ドライバーの悩みのタネとなっています。

 もし新東名が全面開通すれば、ほぼ東京寄りの海老名から東名の交通流が分散され、飛躍的に走りやすくなることが期待されます。

 さて、未開通の海老名南JCT〜御殿場JCT間は工事が進められていますが、当初は2020年度の開通を予定していたものの、度重なる先延ばしにより、最終的には2027年度の全通を目指すこととなりました。

 工事が遅延している最大の理由は、神奈川県山北町と静岡県小山町を結ぶ「高松トンネル」の工事が難航していることです。

 活断層近くの脆弱な地盤を通過するため、トンネルの変形や湧水に見舞われています。こうした対策など多重な工事対策が求められ、工事のペースが低下しています。

 対して、工事の進捗が順調なのは橋りょう部分で、新御殿場IC〜新秦野IC間にある「山北天空大橋」は現在、「トラベラークレーン」と呼ばれる特殊な建設機械を使い、架橋工事が進められています。

 さて、今回の連絡調整会議では、改めて高松トンネルの工事状況が共有されました。

 トンネルの掘進は残りわずか700mを残すところとなっていますが、追加で実施したボーリング検査により、引き続き脆弱な地盤や湧き水が想定されるといい、「安全かつ慎重に工事を進めていく必要がある」としています。

 これらの状況を踏まえると、高松トンネルは2025年秋の時点で、今後の掘削が50m/月程度と順調に進んだとしても、貫通までに少なくともあと1年以上を要し、その後、トンネル覆工、舗装工事や設備工事が必要だといいます。

 具体的な開通時期については、「予定していた2027年度から少なくとも1年以上遅延する見込み」としており、ここへきて再びさらに延期されることになりました。

 高松トンネル完成の見通しが立った段階で改めて開通時期が公表されますが、当初の2020年度開通予定からすでに5年以上が経過。開通までにはかなりの時間がかかりそうです。

【画像】「ええぇぇ…」 これが最新の「新東名高速」神奈川区間の工事状況です!(30枚以上)

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Writer: くるまのニュース編集部

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