トヨタの「ちいさな“超”高級車」に注目! “斬新ドア”×匠が手がけた「超“美麗”」ボディがカッコいい! 25年ルール適用で「海外流出」も危惧される“日本の宝”「オリジン」とは
トヨタの国内生産累計1億台を記念して生まれた、特別な一台「オリジン」。なぜわずか1年でその姿を消し、今になってその価値が再評価されているのでしょうか。
トヨタの歴史と“匠の技”を具現化した一台
トヨタ「オリジン」とは、「トヨタの歴史と匠の技」そのものを唯一の価値として具現化した一台でした。
2000年11月、トヨタの国内自動車生産累計1億台達成を記念し誕生しました。1000台程度の生産を計画し、実生産は1071台(一説には1063台)だったようです。

オリジンのコンセプトは、トヨタが長年培ってきた「匠の技」と最新技術の融合にあります。
価格は700万円に設定され、当時のフラッグシップモデルである「セルシオ」の多くのグレードを上回る一方、最上級グレード(C仕様Fパッケージ インテリアセレクション/730万円)よりはわずかに低い水準でした。
技術志向のセルシオとは異なり、歴史と手仕事の価値を主張する戦略的な価格設定だったといえます。
まず目を引くのは、初代「トヨペットクラウン」をモチーフとした観音開きのドア。
また、彫りの深い丸型ヘッドランプとクラシカルなグリルが、威厳のあるフロントマスクを形成します。
高い品質を実現するため、最高級車「センチュリー」の生産ラインで熟練工が手作業を多用して製造するという、量産車とは一線を画すスタイルで1台1台手をかけて造られていたのも大きな特徴です。
とくにオリジンの象徴である観音開きのドアや、初代クラウンを彷彿とさせるCピラーの造形は、通常の生産ラインでは再現不可能でしょう。
曲線美を持つフェンダーや、センチュリーと同等の品質を誇る深みのある塗装もまた、このクルマが特別なモデルであることを物語っていました。
メカニズムのベースとなったのは、上質なFRセダン「プログレ」です。
心臓部には、名機として知られる3リッター直列6気筒「2JZ-GE」エンジンを搭載。サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーン式で、快適な乗り心地を実現していました。
ボディサイズは全長4560mm×全幅1745mm×全高1455mm。エンジンは最高出力215PS、最大トルク30.0kgf・mを発生し、4速ATが組み合わされました。
販売期間は2000年11月から2001年3月までと極めて短く、計画台数の生産を完了したことで、その歴史的使命を終えました。
現在、オリジンの中古車は、その生産台数の少なさから極めて希少な状態です。市場に出回る台数は常に少なく、状態の良い個体を見つけるのは年々困難になっています。
相場は、走行距離やコンディションに応じて約270万円から630万円超と幅広く、低走行の極上個体は新車時価格に迫る、あるいはそれを超える価格で取引されることもあります。
中心価格帯は400万円台後半から500万円台へ移行しつつあります。
価格は走行距離やコンディションによって大きく変動し、とくに低走行で内外装の状態が良好な個体はコレクターズアイテムとして高値で取引されています。
さらに2025年11月以降、製造から25年を迎える個体から順次、米国の「25年ルール」が適用され輸出が可能になるため、海外コレクターからの需要が高まる可能性も危惧されています。
極上の「ちいさな高級車」を手に入れるなら、いまがラストチャンスとなるかもしれません。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

















