キア新型バン「PV5」日本上陸!2026年春発売! 価格589万円から商用&乗用を展開、ジャパンモビリティショー2025で正式発表
ジャパンモビリティショー2025でKiaが日本市場へ参入を正式表明。新型EV「PV5」を正式発表しました。2026年春に発売予定で、双日との提携により導入が実現します。「PBV(Platform Beyond Vehicle)」と銘打たれた革新的な車両は、日本の社会課題解決も目指す戦略的なモデルです。その詳細に迫ります。
Kia「PV5」日本上陸!2026年春発売、価格589万円から。JMS 2025で正式発表
「ジャパンモビリティショー2025(JMS 2025)」の会場で、日本市場への参入を表明したKia(キア)。
同社はプレスカンファレンスにおいて、新型EV「PV5」を日本市場向けに正式発表しました。日本での販売は2026年春から開始される計画です。

この日本導入は、双日株式会社との強力なパートナーシップによって実現します。
「PBV(Platform Beyond Vehicle)」、すなわち「クルマを超えるプラットフォーム」と名付けられたこの革新的な車両は、単なる移動手段に留まらず、日本の複雑な社会課題の解決を目指す戦略的な一手となります。その詳細と日本戦略に迫ります。
●ジャパンモビリティショー2025で電撃発表! Kiaが双日と組み日本市場で初挑戦
今回のJMS 2025における最大のサプライズの一つが、Kiaの日本市場への本格参入でした。プレスカンファレンスでは、まずパートナーである双日株式会社の会長である藤本氏が登壇しました。
藤本氏は、双日グループが2019年から「サステナビリティチャレンジ」を掲げ、脱炭素社会の実現に取り組んできた背景を説明。その中で、自動車バリューチェーンに深く関わる企業として、モビリティが2050年のカーボンニュートラル達成の鍵を握ると強調。
同時に、「しかし、日本ではモビリティ分野に多くの課題が残っています」と指摘。単なる車両の電動化だけでは不十分であり、高齢化社会、労働力不足、地方の過疎化、物流の逼迫といった日本特有の社会課題を解決する手段として、自動車そのもののあり方が問われていると述べました。
そして、Kiaが提案する「社会機能の向上を目的に設計されたモビリティプラットフォームという発想」こそが、これらの課題を解決する画期的なアイデアであると紹介。「モビリティは地域社会を活性化し、人々を支えるべきもの」という両社共通のビジョンが、今回のパートナーシップ締結の理由であると力強く語りました。
●「クルマを超えるプラットフォーム」EV。Kiaが示す「PBV」の革新性
続いて、Kiaコーポレーションのキム・サンデ副社長が登壇し、Kiaが伝統的な自動車メーカーから「持続可能なモビリティソリューションプロバイダー」へと大胆な変革を遂げている現状を説明しました。
その変革の象徴こそが、今回発表された「PBV(Platform Beyond Vehicle)」構想です。これは文字通り「クルマを超えるプラットフォーム」を意味し、モビリティの概念そのものを再定義しようとする野心的な試みです。その構想の第一弾となるモデルが、今回日本に導入される「PV5」です。
キム副社長によれば、KiaのPBVイノベーションは「ハードウェア」「ソフトウェア」「製造」の3つの柱によって支えられています。
ハードウェア面では、PBV専用に開発された「E-GMP S」プラットフォームを採用。これにより、高い耐久性と品質を確保しつつ、スペース効率を最大化し、多様な顧客ニーズに応える基盤を構築しました。
ソフトウェア面では、データ駆動型のフリート管理システムを活用。これにより、ビジネスオペレーションを最適化し、総所有コスト(TCO)の削減を支援します。
そして製造面では、環境に配慮したPBV専用工場において、セルベース生産の柔軟性とコンベアシステムの効率性を融合させた「ハイブリッド製造システム」を導入。これにより、品質や価格を維持しながら、多品種の効率的な少量生産を実現するといいます。
●まるで“レゴブロック”? PV5の驚くべき柔軟性と実力
アンベールされた「PV5」は、従来の「バン」や「ミニバン」といったカテゴリーには収まらない、独特の存在感を放っていました。キム副社長は、PV5を「単なる新しい車両ではなく、日本の顧客の多様なニーズに応えるために設計された、あつらえのプラットフォーム」と定義します。
その用途は、家族の移動手段としてはもちろん、物流、モビリティサービス(タクシーやライドシェア)、レジャーやキャンプ愛好家、さらにはアクセシビリティを必要とする人々まで、幅広く想定されています。
PV5の最大の特徴は、その驚異的な「柔軟性」です。まるでレゴブロックのように、アッパーボディ(車体上部)を様々なモジュールと組み合わせることが可能で、最大16種類の異なるボディ構成を作り出すことができるといいます。
その実力も折り紙付きです。グローバル市場ではすでに高い評価を獲得しており、最大積載量を積んだ状態で、電気バンとして単一充電での最長走行距離693kmというギネス世界記録を樹立。また、英国「The Sun」紙からは「商用ユーザーにとってのゲームチェンジャー」として「Sun Van of the Year」に選出されています。
もちろん、EVとしての基本性能も充実しています。高エネルギー密度のバッテリーと急速充電能力を備えるほか、外部へ電力を供給できるV2H(Vehicle to Home)およびV2L(Vehicle to Load)機能も搭載。先進運転支援システム(ADAS)やペダル踏み間違い安全アシストによる高い安全性も確保されています。
導入されるモデルのうち、「カーゴ」は広大な荷室空間、作業負担を軽減する低い積載高、荷室へのウォークスルーアクセス、荷室内のV2L電源供給など、徹底して作業効率を追求した設計となっています。
一方、「パッセンジャー」は、誰もが楽に乗り降りできる非常に低いステップイン高(乗降口の高さ)を実現。大型で直感的なタッチスクリーンはOTA(Over-The-Air)アップデートに対応し、機能が継続的に進化します。また、「Add-gear(アドギア)」と呼ばれる専用アクセサリーで室内空間を自由にカスタマイズできるなど、ライフスタイルパートナーとしての機能も万全です。
●2026年春発売、価格は589万円から。日本市場への「本気度」示す販売・サービス網
カンファレンスの最後には、日本での事業展開を担う「キアPBVジャパン」の田島CEOが登壇し、具体的な国内導入計画を明らかにしました。
キアPBVジャパンは、双日株式会社の100%出資会社として、Kia PBVの正規輸入販売代理店を務めます。
注目の「PV5」の発売時期は、2026年春を予定。まずは「カーゴ」と「パッセンジャー」の2つのバージョンから導入を開始し、順次ラインナップを拡大していく方針です。
気になる価格(エントリーモデル基準、補助金前)は、「PV5 カーゴ」が589万円、「PV5 パッセンジャー」が679万円と発表されました。
田島CEOによれば、PV5は各種エコカー補助金の対象となる見込みで、活用すれば表示価格よりもさらにお求めやすい価格での購入が可能になるとのことです。
販売目標については、初年度(2026年度)に1000台、翌2027年には2000台の販売を目指すという意欲的な数字が掲げられました。
この目標を達成するため、インフラ整備にも全力が尽くされます。販売に先立ち、双日が持つ自動車事業の豊富な知見を活かし、まずは全国に8つのディーラーを展開。
アフターサービスについては、信頼できる日本のパートナー企業と連携し、全国約100か所のサービスセンター網の構築を目指します。さらに、国内パートナーとの連携により、全国を網羅する充電ネットワークも整備する計画です。

キム副社長は、「私たちは部外者としてではなく、日本社会の声に耳を傾け、学び、共に成長する献身的なパートナーとしてここにいる」と語りました。
単なる製品の投入に留まらない、販売、サービス、インフラまでを含めた包括的な戦略は、Kiaの日本市場に対する並々ならぬ「本気度」を感じさせるものでした。2026年春の登場が、今から待ち遠しくなる発表でした。
Writer: くるまのニュース編集部
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