トヨタグループ、「センチュリークーペ」「6輪LS」「新カローラ」「ミゼット」など公開へ 「5ブランドの未来」どうなる? 29日に明らかに

トヨタグループは、2025年10月29日午前8時半よりジャパンモビリティショー2025で発表を行います。先に発表されたセンチュリー独立を含む新5ブランド戦略 が、JMSの舞台でどのように具体化されるのか注目されます。

トヨタグループ、「5ブランド再構築」戦略とは?

 トヨタグループは、「Japan Mobility Show 2025(JMS2025)」において、2025年10月29日8時30分よりカンファレンスを実施します。

 これに先立ち、同社は10月13日に「トヨタイムズ」の特別生放送を実施し、センチュリーブランドの独立を含む、ダイハツを含めた5ブランドの再構築という、グループの新たな方向性を発表しています。

 JMS2025の舞台で、この新戦略がどのように具体化されるのか、大きな注目が集まっています。

鮮やかなオレンジ色のクーペスタイル「センチュリー」の姿が!
鮮やかなオレンジ色のクーペスタイル「センチュリー」の姿が!

 今回のJMS2025での発表に先駆け、10月13日にはトヨタイムズの特別生放送で、トヨタの新しいブランド戦略が明かされました。

 この放送では、ダイハツを含むオールトヨタの体制を5つのブランド(CENTURY、LEXUS、TOYOTA、GR、DAIHATSU)に再構築する計画が発表され、それぞれのコンセプトを体現した新しいCMも披露。

 またトヨタの豊田章男会長やサイモン・ハンフリーズCBO(Chief Branding Officer)のほか、各ブランドの広告を手掛けたクリエイターらが出演。番組内では、30日に開幕するJMS2025に出展されるコンセプトカーの一部も先行して公開され、新しいブランド体制が目指す方向性が示されました。

 今回の再構築で最も注目される変化の一つが、「センチュリー」の独立ブランド化です。これまでトヨタブランドのフラッグシップモデルであったセンチュリーが新たに独立。

 このブランド独立に特に強いこだわりを見せていたのが、豊田章男会長です。豊田会長は、センチュリーを独立させる背景として、これまで「センチュリーの居場所がはっきりしていなかった」という問題意識があったと説明しています。

 トヨタの高級車ブランドとしてはレクサスが存在しますが、センチュリーはそれとはまた異なる別格の存在であるにもかかわらず、これまでその位置づけが曖昧だった点を指摘。

 豊田会長は、トヨタグループ内のブランドの成り立ちに触れ、ダイハツ以外は同じルーツを持つ中で、レクサスが「長男坊」としてしっかりしなければならないという意識があったかもしれないと振り返ります。

 その上で、レクサスの上位(アバブ・レクサス)の必要性を感じ、トヨタにはセンチュリーがあるではないかと、その位置づけを明確にすることをアドバイスしたと語りました。

 またハンフリーズCBOは、この再編による役割の違いを明確に示しています。

 センチュリーは「Top of Top、One of One(この世界にひとつを、この国から。)」としてハイエンド層に挑戦し、その結果、レクサスの動きは「ある意味、自由になる」と説明。レクサスは今後、「どんどんパイオニアとしてチャレンジすればいい」と述べ、両ブランドの棲み分けを強調しました。

「LSコンセプト」と名付けられた6輪車が登場
「LSコンセプト」と名付けられた6輪車が登場

 そのレクサスは、「DISCOVER・誰の真似もしない」という方向性を掲げます。センチュリーが最上級のポジションを担うことで、レクサスはより思い切った挑戦が可能になり、その変革を象徴するかのように、CMには「LSコンセプト」と名付けられた6輪車が登場しました。

 LSは本来「ラグジュアリーセダン」の略とされてきましたが、豊田会長は今回、LSの「S」は「スペース」であるという全く新しい解釈を提示。

 セダンという形にこだわらず、これからのショーファードリブン(運転手が運転する車)のフラッグシップとして、6輪のプレミアム3列シートという新しい形を提案しました。

 豊田会長は、レクサスがヨーロッパのプレミアムブランドを追いかけてきた歴史に触れつつも、「もうイノベーション(革新)の段階に来ているクルマもあってもいい」と指摘。「(6輪車は)すごいチャレンジ」としながらも、静粛性や乗り心地といったレクサスに期待される要件を満たし、「必ず実現してくれると思います」と開発陣への強い期待を示しています。

トヨタ、GR、ダイハツそれぞれの役割とは

 いわゆる高級車部門をセンチュリーとレクサスが担う一方、最大のボリュームゾーンである「トヨタ」ブランドは、「TO YOU」というコピーを掲げます。

 CMを担当した篠原誠氏は、フルラインナップで多様な車種を持つトヨタのメッセージとして、「Mobility for All(すべての人に移動の自由を)」という言葉がありつつも、それは「一人ひとりのために」という意味合いが強いことに着目したと語ります。「For All」よりも「For You」に近いが、「あなたのため」とも少し違う、「あなた目がけて」という言葉がまさに的確だと感じたことが、このコピーの由来だと明かしました 。

 放送では豊田会長もこの「TO YOU」という表現を高く評価。「トヨタ(TOYO)があなた(U)を向く」という意味も込められており、「1,000万人というお客さんはいない」「1人ずつの集合体で1,000万人」であり、その一人ひとりに「あなた目がけて」届けるという姿勢が「すごくドーンときました」と語っています。

 モータースポーツ活動を通じて走る楽しさを追求する「GR」ブランドは、今回のJMS2025への出展は見送られることになりました。

 現在は、毎年年始に開催されるカスタムカーの祭典「東京オートサロン」に向けた準備を進めているとのことです。

 しかし、その布石はすでに打たれています。10月10日には、富士スピードウェイの「GRスープラコーナー」の看板が、「THE SOUL LIVES ON.(魂は生き続ける)」というコピーと、2000GT、レクサスLFA、そしてベールに包まれたもう一台のシルエットが描かれた意味深な広告に変更されました。

 この新型車について豊田会長は「私が年末にワールドプレミアをやりますから」と予告し、番組内ではこだわりのエンジン音も披露され、ファンの期待を煽りました。

「トヨタ」ブランドは、「TO YOU」というコピーを掲げる
「トヨタ」ブランドは、「TO YOU」というコピーを掲げる

 そして、5ブランドの中で唯一ルーツが異なる「ダイハツ」は、「わたしにダイハツメイ。」というコピーが打ち出されました。

 CMを担当した小西利行氏によると、豊田会長から最初に与えられたテーマは「おもろいダイハツを復権させて」というものだったと言います。

 大阪の会社であるダイハツにとっての「おもろい」とは、センスの良さやアイデアの豊富さを意味します。小西氏は、ダイハツが「暮らしが主役」であり、時代のニーズや人々の困りごとに応え、小さいクルマだからこそできる技術を詰め込んだ「発明」の歴史を持つ会社だと分析しました。

 豊田会長は、ダイハツが持つ「トヨタには近づかない」という「遠心力」を応援したいと述べ、ライバルであるスズキと切磋琢磨することで、日本の道の風景も変わっていくことへの期待を語っています。

※ ※ ※

 今回、JMS2025の会場では、これらセンチュリー、レクサス、トヨタ、ダイハツの各ブランドが一つのホールに結集して展示を行う予定です。

 とくにトヨタとダイハツのブース間には壁を設けないレイアウトが採用されるなど、グループとしての一体感も示されます。

 ハンフリーズCBOは、JMS2025で展示されるコンセプトカーについて「必ず本気でつくっています」と強調し、市販化については「ショーに出してみて、みんなが『いいね』とリアクションしてくれたら」と、来場者の反応が鍵となると語りました。

 豊田会長は、「世界中の顧客に選ばれ、多くの思い出を作ってもらえるよう、全従業員が心を一つにして商品づくりに取り組んでいる」とメッセージを送りました。

 そんな10月29日のプレスブリーフィングでの発表は、8時30分から8時50分までがTOYOTA・DAIHATSU、9時00分から9時15分までがLEXUS、そして9時25分から9時40分までがCENTURYのプレゼンテーション時間として割り当てられています。

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