国交省 中国製EVバスにアポなし検査 不具合35%・隠蔽疑い
EVモーターズ・ジャパン(EVMJ)製のEVバスで不具合が多発。国交省の指示による総点検では317台中113台(35%)に不具合が判明しましたが、さらに隠蔽の疑いが浮上。国交省は同社にアポなしの立ち入り検査を実施しました。これを受け、大阪メトロなどが該当車両の運行を休止する事態となっています。
国交省がアポなし立入検査行った理由は?
2025年10月17日金曜日に中野洋昌前国交大臣は閣議後の会見で「総点検」の結果を公表しました。
この「総点検」とは、国交省がEVモーターズ・ジャパン(以下、EVMJ)に対して同年9月3日に命じていたもので、EVMJがこれまで販売してきた317台すべてのバスを点検しなさいという指示でした。
EVMJが扱う中国3社(ウィズダム、恒天、愛中和)のEVバスは万博輸送用に大阪メトロに納車されたもの以外に、全国各地のバス事業者に納車されておりいずれも多くの不具合が発生しています。

不具合が原因で事故が起きた場合,人命に関わる事態を引きおこす危険性もあります。
そこでEVMJは国交省の指示を受けて9月9~12日の4日間で全国のバス事業者に社員を派遣して、点検を行いました。
総点検では317台中35%にあたる113台に不具合があったことが報告されています。
113台という数字は驚くものですが、実はこれら以外にも隠蔽された不具合が多数存在。
また、不具合は完全に対応できているという報告も虚偽であることがわかっています。
国交省が20日月曜日にアポなし立ち入り検査に入った背景にはこのような「隠ぺい」された不具合を確認する目的が主体だったのです。
ちなみにEVMJのバスは2023年から本格的な納車が始まっており年毎の納車台数は以下となっています。
現在、日本国内で走っているEVMJのバスは新車から2年程度経過した状態のバスが中心。経年劣化というのはまだ早いと言えるでしょう。初期不良というには重すぎる不具合が多数発生しています。
納車(補助金申請に間に合うよう)を急いだ結果、日本での確認作業や走行テスト、品質管理も十分にできていない状況のまま日本の道路を走りだすことになり、その結果、多くの重大な不具合が次々と発生。なお、2022年からの納車台数は以下の通りです。
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2022年 3台
2023年 50台
2024年 185台
2025年 74台(3月末まで)
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事業者への引き渡しは2023年以降本格化し、2024年は185台、2025年もわずか3か月で74台と非常に多い台数になっています。
大半が新車からまだ2年以も経過していないバスです。それでいて35%の不具合というのはかなり異常です。
なお、4日間の点検で全国の113台を回るにはかなり時間的にも人員的にも無理があるスケジュールでした。
関西のバス事業者によると「EVMJは点検に来たが深いところまでは見ていない。午後からまた別の事業者を回るといっており簡単に済ませた印象だ」とのこと。
そして、複数の事業者が不安を感じ、指摘していることもあります。
「点検の現場で確認していた不具合が、国交省に提出された不具合の中には入っていませんでした。
私たち事業者は総点検の時の点検結果を受け取っていないのですが、総点検以前からEVMJのバスにはとても悩まされてきました。
自動ドアが開かない閉まらないなどはまだ穏やかなものですが、重要保安部品でもあるブレーキホースの不具合は恐怖を感じます。
設計上、ハンドルの部品がブレーキホースに接触して表面の摩耗から損傷という状態になった車両もありました」
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現場のドライバーからもEVMJのバスは大変不評です。
「1日の乗務は朝6時から夜9時までの15時間 その間、ずっと何かトラブルが起こるのではないか?突然止まったらどうすればいいのか?など考えながら運行するのでとてもストレスが溜まって疲れます。
実際、私が在籍する営業所でもEVMJバスは多数の不具合を出していて、交差点で発進できなくなったり、坂の途中で完全に電源が落ちたように動かなくなったり…レッカーを呼んで移動したことも何度かありました」
筆者の取材によると、EVMJのバスは「ハンドル操作がやりにくい」「運転席の座り心地も最悪」「見よう見まねで設計されているからかすべての操作がやりにくい」「表示が中国語のままのものもあり何のことだかわからない」。さらに乗務員からも「できれば乗りたくない」と言われている状況です。


















