2025年10月18日、ドイツ・ミュンヘンの「モーターワールド」で開催された、RMサザビーズ主催のドイツ最大のオークションに、2003年式BMW「M3 CSL」が出品され、落札されました。

　傑作と名高いこのモデルは、どのようなクルマなのでしょうか。

　オークションに登場したM3 CSLは、1986年から続くBMW「M3」シリーズのなかでも特別な存在です。ベースとなるのは3シリーズクーペ「E46型」で、「Coupe・Sports・Lightweight」の頭文字を取って名付けられたこのモデルは、2003年に発売されました。

　その名の通り軽量化と高性能化を徹底的に追求したM3 CSLは、BMW史上最高のM3シリーズとも称されています。

　FRレイアウト（後輪駆動）で、パワーユニットには、3.2リッター直列6気筒エンジン「S54B32HP型」を搭載。

　標準モデルのM3に対し、カーボン製エアクリーナーを含む専用吸気システムやECU制御の最適化が施され、最高出力360馬力／7900rpm、最大トルク370Nm／4900rpmを発揮します。

　トランスミッションは6速SMG IIを採用し、鋭いレスポンスと正確な変速で走りを引き立てます。

　外装色はシルバーグレーメタリック。大人の落ち着きを感じさせるカラーリングが、精悍なボディラインと絶妙にマッチしています。

　M3 CSLの大きな特徴は、徹底した軽量化です。ルーフはカーボン製、各部にはCFRP（炭素繊維強化プラスチック）パーツを採用することで、標準モデルより約110kgの軽量化を実現しました。

　通常は軽量化のためエアコンやオーディオを省略していますが、今回出品された車両はオプションでラジオとエアコンを装備。実用性と快適性を兼ね備えた仕様となっています。

　インテリアも軽さを追求。ドアパネルやセンターコンソールはカーボンファイバー製で、ブラックのアルカンターラを基調とした内装は高級感とスポーティさを両立しています。

　今回出品された個体は、全世界1383台のうちの1台。2003年9月3日に生産され、同年9月6日にドイツ国内で納車されています。

　直近では2025年5月に整備を受けており、走行距離はわずか3万2456km。長年を経ても丁寧に維持されてきた低走行の良好なコンディションです。

　M3 CSLの真価は、実際に走らせてこそ味わえるもの。誕生から20年以上が経った今もなお、その俊敏さと一体感は色あせることがありません。

　この2003年式BMW M3 CSLは、落札予想価格12万〜16万ユーロ（1ユーロ＝約177円換算で日本円にして約2124万〜2832万円）に対し、最終的に予想を上回る17万8250ユーロ（約3155万円）で落札されました。