まさかの「シルビア後継機!?」 日産が「2ドア“FR”スポーツカー」提案してた! 小型ボディדテンロクターボ”搭載で楽しそう! 2013年公開の「IDx」コンセプトは市販化に期待
かつて日産は、大人気スポーツカー「シルビア」の後継モデルと目されるコンパクトカーを提案していました。
話題になった「シルビア後継車」
まもなく開幕する「ジャパンモビリティショー2025」ですが、前身の「東京モーターショー」時代も数多くの名車や話題となったコンセプトカーが披露されました。
なかでも、2013年に開催された「東京モーターショー2013」で、日産が世界初公開したコンセプトカー「IDx(アイディーエックス)」には、当時かなりの注目が集まりました。いったいどのようなクルマだったのでしょうか。

「IDx(アイディーエックス)」は、2ドアFRクーペのコンセプトモデルです。
2013年の東京モーターショー披露時は、ベーシックなスタイルの「IDx Freeflow(アイディーエックス フリーフロー)」と、スポーティなスタイルの「IDx Nismo(アイディーエックス ニスモ)」の2台のモデルが登場しました。
ネーミングの由来となっているのは、アイデンティティの略語「ID」と未知の変数「x」による造語で、日産らしさに加え、開発段階で若者の思想を取り入れたことによるクルマ作りの変革を表しています。
IDx NismoとIDx Freeflowともに、3代目「ブルーバード(510系)」のような旧車らしいデザインを盛り込みました。かつての「シルビア」を彷彿とさせる手頃な若者向けFR車ということで、当時シルビアファンから大きな反響をうけました。
IDx NISMOでは、フルフロントノーズやカーボンパネル、サイドマフラーやエアロダイナミクススポイラー、19インチホイールに225/40タイヤなどが装備され、まるでレーシングカーのようなデザインをまとい、低くワイドなボディがより一層スポーティな印象を与えてくれます。
ボディサイズは全長4100mm×全幅1800mm×全高1300mmです。
内装もレーシーな雰囲気が漂う造りで、赤色のアルカンターラ製シートに、シンプルで洗練された計器類、赤いスエードのトリムにブルーのステッチ、そして金属部分の光沢が独特のコントラストを感じさせます。
パワートレインには、環境にも配慮された1.6リッター直噴ターボエンジンを搭載。ミッションには、シンクロレブコントロール搭載の6速マニュアルモード付きCVTが組み合わされています。
もう一方のIDx Freeflowは、全長4100mm×全幅1700mm×全高1300mmとほぼ同サイズですが、全幅が100mmスリムになっています。
シンプルなデザインですが品のあるプロポーションで、おしゃれに関心のある若者が興味を惹きそうなスタイルを採用。
インテリアも、IDx NISMOと比べて落ち着きのある設定で、運転席には、シンプルなステアリングホイールとアナログ表示の時計が配置されています。
シートには程よく色あせた質感のデニム生地が使用され、ファッション性も感じられる造りです。
IDx Freeflowのインテリアは「リビングルームのような空間」を想定し、オーナーと友人がリラックスできる場所として設計したと説明されています。
パワートレインには、安定した走りを叶える1.2リッターから1.5リッターガソリンエンジンにCVTを搭載しました。
こうしたパワートレインの違いからも、両車それぞれ違ったコンセプトが感じられる一方、「若者がスポーティな走りを楽しめるモデル」「ファッショナブルで少し特別な時間を味わえるモデル」というのは、やはりスペシャリティカーのシルビアとも共通します。
2002年のシルビア生産終了後、いくどとなく復活の噂が流れましたが、IDxの登場時は復活がいよいよ現実のものになると大いに期待が高まりました。
しかし、IDxは残念ながら市販化の計画は白紙で、シルビアもいまに至るまで復活を果たしていません。
当時と今ではクルマに求められるものも変わってきており、現在ではこうしたクルマが受け入れられる市場が小さいことは明確です。
IDxはコンパクトカーともスポーツカーともつかないクルマであり、本格的なコンパクトカーやスポーツカーと市場を競り合うには生産リスクが高い点も挙げられるでしょう。
このまま幻のコンセプトカーとなるのかは、スポーツカーファンの熱い声援にゆだねられているのかもしれません。
ただし、一途の望みもあります。日産のCEOであるイヴァン・エスピノーサ氏は、過去の取材でシルビアについての熱い思いを語っており、「最高のスポーツカー」と称するとともに、「復活させたい」とも語っています。
日産の経営状態が上向きになれば、いつの日かIDxやシルビアが復活するシナリオも、見えてくるかもしれません。
Writer: TARA
トヨタ自動車のある愛知県在住。学生時代にクルマやバイクに魅了される。大手オイルメーカーに就職し、自らもモータースポーツに参戦開始。その後は鈴鹿サーキットで勤務しつつ、カートレースやバイクレースを経験。エンジンやサスペンション、タイヤや空力などの本格的な知識を得る。現在はプライベートでさまざまなクルマやバイクに触れながら、兼業ライターとして執筆活動に勤しむ。現在の愛車はトヨタ ヴォクシー/ホンダ N-BOX。













































