トヨタ新型「コンパクトカー」に注目! “内外装デザイン”大刷新&「センチュリーSUV」譲りの技術も搭載! 制御の見直しで「上質・スムーズ」に…試乗して分かった「アクア」の“深化”とは?

試乗して変わった「見えない深化」

 パワートレインは、1.5リッター直列3気筒エンジンとTHSIIの組み合わせで、バッテリーもバイポーラ型ニッケル水素電池と、ハード面での変更はありません。

 しかし、EV走行の粘り(アクセルを少し踏み込んでもエンジンが始動しにくいこと)が明らかに増していることや、ハイブリッド走行へ切り替わるときの滑らかさ、そしてエンジン音が耳障りに感じない(日常走行ではささやき声程度のイメージ)ことなどを実感しました。

トヨタ「アクア Z 2WD」のセンターコンソール。EPBを採用している。
トヨタ「アクア Z 2WD」のセンターコンソール。EPBを採用している。

 その印象を開発者に伝えたところ、

「制御の見直しにより、より出力を引き出せるようになったため、それをエンジンの始動・停止の“繋ぎ”の部分に活用しました。その結果、モーターがさらに粘れるようになったのが大きいですね。静粛性については、EPB採用によってダッシュパネル部の開口部がなくなり、ノイズの侵入を遮蔽できるようになった効果が大きいです」

 と教えてくれました。

 ドライバビリティ(運転のしやすさ)が向上したことで、カタログ燃費の数値変更こそないものの、無駄なアクセル操作が減り、結果として実用燃費も向上しています。

 今回、一般道から首都高速道路を走行しましたが、特に意識せずに流れに乗った走行で35km/L前後を記録し、相変わらずの燃費の怪物ぶりを発揮しました。ちなみに試乗車「Z 2WD」グレードのカタログ燃費は33.6km/L(WLTCモード燃費)です。

 フットワークは、乗り心地の良さはそのままに、車体の揺れの収まりが良くなり、しなやかなのに芯がある、まさにアルデンテのような乗り心地です。

 それに加え、従来モデルの持つ穏やかだが鈍重ではない落ち着きのある操縦性はそのままに、「よりスムーズに」「より自然に」、そして「よりいいクルマに乗っている感」が増しています。

 筆者は従来モデルを「16インチはドイツ車的、15インチはフランス車的」と評価していましたが、新型は16インチもフランス車的な乗り味、つまり全体的に“優しい”乗り味になっていると感じました。

 これも開発者に伝えると、

「EPB採用による重量バランスの変化と、パワートレインの出力特性の変更に合わせて、ショックアブソーバー(バネは変更なし)とEPS(電動パワーステアリング)のチューニングを全てやり直しています。TNGAをより活かせるセッティングができたため、従来モデルの上級グレード(Z)で採用していたスウィングバルブ式ショックアブソーバーは廃止しました」

 とのことでした。

スムースストップブレーキの採用により、街中の走行でカックンブレーキになりにくいのも魅力。
スムースストップブレーキの採用により、街中の走行でカックンブレーキになりにくいのも魅力。

 停車性能も向上しています。新型では、制御によって滑らかな停止を可能にする「スムースストップブレーキ」を、「センチュリーSUV」、「アルファード/ヴェルファイアPHEV」に続いて採用しました。

 色々と試してみても、ブレーキング時に車体が前のめりになりにくいため、確かにカックンブレーキになりにくいです(ただし、乱暴な操作は禁物)。

 この機能はコスト的には高めのようですが、開発陣は「ストップ&ゴーの多い街中を走る機会が多いアクアにこそ必要でしょ!」と採用を決めたそうです。

 要するに「新技術は普及してこそ意味がある」という考え方です。

 さらに予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」も3.0にバージョンアップ。プリクラッシュセーフティ機能の進化や、PDA(プロアクティブドライビングアシスト)/ドライバー異常時対応システムの採用など、安全に関わる装備の拡充にも抜かりはありません。

 そろそろ結論に入りましょう。

 新型アクアは、見た目のインパクトに目が行きがちですが、実は目に見えない部分も着実に“深化”しています。

 それらを踏まえると、「アクアらしさ」をより一層高めた改良モデルと言っていいでしょう。

 ただ、1つだけ残念なのは「GRスポーツ」がカタログ落ちしてしまったことです。

 開発陣に聞くと、「明言はできませんが、先代も途中で追加していますからね」と意味深なコメント。こちらも期待したいところです。

【画像】超いいじゃん! これがトヨタ新型「低燃費コンパクトカー」です!(30枚以上)

参加無料!Amazonギフト券贈呈 自動車DXサミット BYD登壇 最新事例を紹介(外部リンク)

画像ギャラリー

Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

1 2

実績500万人超!お得に車売却(外部リンク)

新車不足で人気沸騰!欲しい車を中古車で探す

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る

【2025年最新】自動車保険満足度ランキング

最新記事

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー