30分で“5人摘発”…何が? 「自転車です!」供述も…「ペダル漕がず動きます」 街で見かける「モペット」取り締まり強化へ ペダル付き電動バイクとは?
2025年9月、東京都豊島区西池袋の交差点において「ペダル付き電動バイク」に対する交通指導取り締まりが実施されました。ペダル付き電動バイクは形状が自転車に似ているものの、運転免許が必要です。どのような点に注意する必要があるのでしょうか。
ペダル付き電動バイク、利用する際に気をつけたいことは?
警視庁は2025年9月24日の午後2時から約1時間にわたり、豊島区西池袋の西口五差路交差点付近において、ペダル付き電動バイク、いわゆる「モペット」に対する交通指導取り締まりをおこないました。ここはJR池袋駅西口に近く、歩行者の通行も多い場所です。
ペダル付き電動バイクは形状が自転車に似ているものの、運転免許が必要なため、その点に留意しなければなりません。
![ペダル付き電動バイク「モペット」の取り締まりをする警察官/画像は2024年新宿で実施された際のもの[Photo:時事通信フォト]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/10/202411_mopettotorishimarishinjuku-1.jpg)
ペダル付き電動バイクとは、ペダルおよびモーターを備える車両のうち「スロットルが付いていて、モーターのみで走行が可能なもの」「電動アシスト自転車のアシスト比率の基準を超えるもの」のことをいいます。
自転車のような見た目をしているケースが多いですが、自転車と異なりアクセルレバーを操作するとタイヤが回り、運転者がペダルを踏んでいなくても自走することができます。
そのため交通ルール上は「一般原動機付自転車」または「自動車」に分類され、歩道ではなく車道を走行しなければなりません。また運転には原付免許以上の運転免許が必要で、もし免許を持たずに運転すれば無免許運転に該当します。
さらにペダル付き電動バイクにはナンバープレートの設置が義務付けられているほか、保安基準に適合したブレーキやライト、方向指示器などの装置を備え付けていなければなりません。
仮にこれらの装置に不備があれば、「整備不良車両運転違反」に当たるおそれもあります。
それに加え、万が一の事故に備えて自賠責保険(共済)に加入すること、そして運転中はヘルメットを着用することも運転者の義務となっています。
自賠責保険に加入していなければ「無保険運行」、ヘルメットを着用せずに運転すれば「乗車用ヘルメット着用義務違反」で検挙される可能性も考えられます。
このたび警視庁が実施した交通指導取り締まりでは、約30分で交通違反者5人が摘発され、そのうち3人が無免許運転という状況でした。
なお車両がペダル付き電動バイクかどうかを見分ける際は、警察官が持ち主の同意を得た上で車体を持ち上げペダルを回し、車輪が回り続けるかを確認します。ペダルが回り続け、自走できる構造であれば原付以上の車両であると判断されます。
たとえペダル付き電動バイクの持ち主が「自転車だと思って購入した」「免許が必要な乗り物とは知らなかった」などと主張しても、交通違反で検挙されるおそれがあります。
実際のところ10月3日には、静岡県静岡市駿河区の路上において無免許、無保険の状態でペダル付き電動バイクを運転したとして、21歳の男子専門学生が道路交通法違反(無免許運転)と自賠責法違反の容疑で書類送検されています。
この事案は、男性がペダル付き電動バイクを運転中に乗用車に追突され、その後駆けつけた警察官が無免許・無保険に気づいたというものです。男性はインターネットを通じてペダル付き電動バイクを購入しており、説明書には運転免許が必要なことが記載されていました。
男性は警察の調べに対し「免許や保険が必要だとは知らなかった」「説明書をしっかり読んでいなかった」などと話しています。
そのほか警視庁によると、都内では今年8月末までにペダル付き電動バイクが関連する人身事故が9件発生しているほか、交通違反が657件検挙されています。違反の内訳はナンバープレートの未装着が174件、ヘルメット未着用が146件、無免許運転が99件などとなっています。
自転車に似た乗り物であっても、運転免許やナンバープレートなどが必要なものかどうか、各利用者が事前に確認しておくことが大切です。
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今年10月にはペダル付き電動バイクを免許不要と偽って販売したなどとして、大阪府中央区にあるモペット販売店経営の中国籍の女が道路交通法違反ほう助のほか、詐欺や偽計業務妨害などの疑いで書類送検される事案も発生しています。
ペダル付き電動バイクの利用に際しては、運転者が交通ルールをしっかり認識しておくことはもちろん、販売する側にも利用者への真摯かつ丁寧な説明が求められるといえるでしょう。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。




















