「ウインカー」遅すぎ!? 曲がりかけてからの「“後出し”点滅」は「交通違反」に! 実はわかっていない人が多い「ウインカーの目的」とは

信号待ちで、直進すると思っていた前走車が、青に変わった瞬間「ウインカーを点灯」させ、こちらもあわててブレーキを踏むケースがあります。後続車としては「早く知らせてくれれば避けられたのに」と思うところですが、なぜ青になってから点灯させる人がいるのでしょうか。

もしかして「何も考えず」走っていませんか!?

 交差点で信号待ちをしていると、青に変わってからウインカーを点灯させ、右左折しようとするクルマを見かけることがあります。

 危険極まりない行為ですが、なぜ青信号になってから点灯させるのでしょうか。

アナタの「ウインカー」、遅すぎませんか!?[イメージ画像:AdobeStock]
アナタの「ウインカー」、遅すぎませんか!?[イメージ画像:AdobeStock]

 自車の動きを周囲の交通に知らせることで、事故を未然に防ぎ、円滑な交通を守るための装備であるウインカー(方向指示器)。

 道路交通法第53条では「車両の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない」と規定されており、点灯させることはドライバーの義務です。

 合図を行う時期や方法については、道路交通法施行令第21条において、左折や右折、転回の際は「その行為をしようとする地点(交差点においてその行為をする場合にあっては、当該交差点の手前の側端)から30メートル手前の地点に達したとき」、同一方向に進行しながら進路を左方もしくは右方に変えるときは「その行為をしようとする時の3秒前のとき」と定められています。

 これに違反する行為は「合図不履行違反」として、違反点数が1点、反則金6000円(普通車)が科されます。

 右左折転回は「30メートル手前」で点灯させなければなりませんので、交差点で信号待ちをする際も、(場所にもよりますが)先頭または2~3台目前後で停車する場合には、停止する前にウインカーを点けなければなりません。

 また法律に違反する行為というだけでなく、後続のクルマにとっては、前のクルマが直進するのか右折するのか左折するのかを事前に知ることができれば、信号が青に変わった後に自分が発進しやすいよう停止位置を調整できます。

 歩行者もウインカーを見て行動を判断することがありますから、青になってからの点灯は「後出しジャンケン」のようなもの。事故リスクを高める危険な行為です。

 青になってからウインカーを点灯させる心理としては、「早すぎる点灯をして、初心者だと思われたくない」というものがあるようです。

 ちょっと理解に苦しむ思考ですが、ネット上では「自分の行き先を他人に悟られることを避けたい」とか、あるいは「私は右折しますと周囲に宣言するのが照れくさい」という投稿も。

 日本人特有の「他人の視線を気にする文化」や「控えめさを美徳とする地域性」が影響しているのかもしれません。

 なお海外でもウインカーの点灯タイミングについては、国や地域の交通文化に左右される傾向があるようです。

 しかしながら、「後出しウインカー」は、周囲の予測を大きく狂わせます。

 直進すると思った後続車が急ブレーキをしたり、歩行者や自転車が「このクルマは直進する」と判断して横断を始めてしまえば、追突や接触のリスクが一気に高まります。

 後出しウインカーをした本人にとってはちょっとした習慣でも、周囲には大きな危険を及ぼしかねないのです。

※ ※ ※

 早めの合図は、後続車や歩行者に安心感を与え、交通全体の流れをスムーズにします。

 ウインカーは「未来の動きを知らせるサイン」。自分だけでなく周囲の安全のために、正しく点灯させるようにしてください。

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Writer: くるまのニュースライター 河馬 兎

お金と法律に関する複数の資格をもつWEBライター。好きな言葉は「お風呂」と「ハイボール」

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