レクサスは2025年10月1日、ブランドの基幹モデルである新型「ES」を日本で初めて披露しました。

　新型モデルはまず中国市場で展開され、その後2026年春に日本へ導入される予定です。

　同日行われた関係者向けの発表会では、日本仕様として導入されるグレードや詳細な仕様も明らかとなりました。

　1989年の初代登場以来、ESはレクサスの歴史を支えてきた存在です。

　かつてトヨタが日本で展開していた「カムリプロミネント」や「ウィンダム」をベースとし、北米市場でブランドの第一歩を刻みました。

　以降、80以上の国と地域で展開され、中国市場では2024年8月に累計販売100万台を突破するなど、世界中で高い人気を誇ります。

　そして2025年4月に7年ぶりのフルモデルチェンジを受け、通算8代目へと進化しました。

　新型ESが掲げるコンセプトは「Experience Elegance and Electrified Sedan（エクスペリエンス・エレガンス＆エレクトリファイド・セダン）」。

　これは上質さと電動化を融合させ、セダンとしての魅力を新たな次元へ高めることを意味しています。

　開発を統括したチーフエンジニアの千足浩平氏は

「エレガンスとは、余裕ある走りと品のある佇まいを示し、電動化は走る歓びをさらに進化させるもの。

　レクサスが培ってきた静粛性や乗り心地を受け継ぎつつ、五感を刺激する体験を提供したい」

　と語っています。

　外観デザインは、2023年のジャパンモビリティショーで披露されたコンセプトカー「LF-ZC」から着想を得ました。

　新たなフロントフェイスには「ツインLシグネチャーランプ」を採用し、スピンドル形状を正面から側面にまで連続させることで独創的な存在感を強調。

　ボディサイドは流麗なシルエットと低重心のフォルムを組み合わせ、ショルダー部の張り出しが力強さを演出しています。

　リアまわりは一文字型のテールランプと発光ロゴを一体化させ、新デザインの「リヤLシグネチャーランプ」を導入。洗練と安定感を兼ね備えた姿に仕上がっています。

　ボディサイズは全長5140mm×全幅1920mm×全高1555-1560mm、ホイールベース2950mmと拡大され、先代より全長は165mm、ホイールベースは80mm延長されています。

　これにより室内空間は大幅に広がり、着座位置の改善やガラスエリアの拡大、さらにパノラマルーフの採用によって開放感のあるキャビンを実現しました。

　インテリアでは12.3インチ液晶メーターと大型インフォテインメントディスプレイを装備し、物理スイッチは「Responsive Hidden Switches（レスポンシブヒドゥンスイッチ）」と呼ばれる新方式を導入。

　手をかざすと操作部が浮かび上がる仕組みで、デザイン性と機能性を両立しています。

　内装素材には竹をモチーフにした「Bamboo Layering（バンブーレイヤリング）」、シンプルでクリーンな世界観を際立たせる「Modern Bamboo（モダンバンブー）」や、精緻な幾何学模様の「Micro Geometric（マイクロ ジオメトリック）」を採用。

　光や音、香りと連動する加飾も取り入れ、シンプルかつ洗練された空間を演出します。

　走行性能面ではTNGA GA-Kプラットフォームを進化させ、ボディ剛性を高めて応答性を向上。

　フロントにマクファーソンストラット式、リアには新たにマルチリンク式サスペンションを採用しました。

　さらにダイナミックリアステアリング（DRS）を組み合わせることで、安定性と取り回しの良さを両立しています。

　安全面では最新世代の「Lexus Safety System＋（レクサスセーフティシステムプラス）」を搭載。検知範囲の拡大や支援機能の進化により、ドライバーの安心感をさらに高めました。

　パワートレインは日本仕様としてハイブリッドとバッテリーEVを展開。

　ハイブリッドの「ES350h」は2.5リッター直列4気筒を搭載し、システム最高出力182kW（約247馬力）を発揮。前輪駆動と四輪駆動を設定します。

　EVでは、165kW（約224馬力）の「ES350e」と、252kW（約343馬力）の高性能AWDモデル「ES500e」を用意。

　ES500eには電動四輪駆動システム「DIRECT4」が組み込まれ、スポーティな走りと安定性を兼ね備えています。

　BEVモデルの航続距離（CLTCモード）はES350eが約685km、ES500eが約610kmを目標値として掲げています。

　なお、価格についてはまだ発表されていませんが、ESは電動化時代を象徴するセダンとして、新たな顧客層の獲得と既存ユーザーの期待に応えるモデルとなりそうです。