トヨタ「新型カローラクロス」に史上初“走り”の「GRスポーツ」設定! 実際どう違う? パワフル「2リッターエンジン」×専用“スポーツサス”も採用! 注目の「スポーツ仕様」の印象は?
専用の「2リッターハイブリッド」と足回りの“味付け”変更で走りも変化!
パワートレインは、従来のGR-Sシリーズでは基本的にはノーマル車と共通でしたが、カローラクロスGR-Sは日本仕様のノーマル車には設定のない2リッターHEV(ハイブリッド)のTHS IIを搭載。
2リッターエンジンは新世代の「ダイナミックフォース」で、かつモーター出力もアップしているので、システム出力は140psから199psへと向上。絶対的な力強さはもちろんですが、日常域では「+500cc」くらいの余裕があり、クルマがより軽快に感じます。

ちなみにドライブモードの「スポーツ」はGR-S専用制御ですが、実はトヨタHEV初となる、「アクセルオフ時にエンジン停止をしない制御」です。
ノーマルは、「アクセルOFF→エンジン停止→アクセルON→エンジン始動」という動きのため、再加速時にラグが生じ、それが意のままの走りを阻害していましたが、GR-SのそれはアクセルOFFでもエンジン回転数を維持するので、ラグなく加速体制に移れるというわけです。
実際に乗ると、確かにあの“もたつき”が抑えられ、THS IIの中ではリニアな特性に近づいたかなと。6速のシーケンシャルシフトが装着されていますが、欲をいえばDレンジのまま、ステップシフトのようにリズミカルな加速ができると、より心地よい加速になりそうですが、どうでしょうか。
フットワークは、リアバンパーブレースと締結剛性アップ(ノーマルと同じ内容)により体幹を引き締めた車体に、10mmローダウンされた専用サスペンション(スプリングバネ定数アップ&リバウンドスプリング内蔵ショックアブソーバー)、フロントロアアームの高硬度化(GRカローラと同じもの)、225/45R19サイズのヨコハマ「ADVAN FLEVA」を採用。
これらは、GRカローラを担当したトヨタの凄腕技能養成部 大阪 晃弘氏がセットアップを行なっています。
ノーマル車では、クルマの反応や動きはセダン/ツーリングに対して、「薄皮を2〜3枚入れた」ような穏やかさがありますが、GR-Sはその薄皮が外され、より俊敏なノーズの入り、よりダイレクトな応答、より姿勢変化を抑えたクルマの動きが印象的です。
この辺りはGRカローラのそれと良く似ています。その結果、SUVというより「目線の高いカローラツーリング」に近いかなと感じます。
ただし、走り一辺倒というわけではなく、誰でも安心して自然に扱えるという、カローラの懐の深さは不変です。
乗り心地はノーマルよりも硬めですが、入力のカドの丸さや無理に抑え込まないスッキリとした減衰感などから、大径かつスポーティな銘柄の19インチタイヤ装着にしては快適性が高いと思いました。
いっぽう、タイヤは路面のザラつきを必要以上に伝えてしまうのと、路面変化で音の変化が大きいのが少々残念なところ。タイヤは先代の「C-HR」のGR-S用を活用していますが、個人的にはもう少しプレミアムな銘柄のほうが良いと思いました。
総じていうと、カローラクロスGR-Sはファミリーカーとしての実用性を損なうことなく、GRの「もっといいクルマづくり」の知見が色濃く感じられるモデルに仕上がっており、ズバリ「クルマ好きのためのノーマル」と言っていいと思います。
そういう意味では、現代版「カローラセダン 1600GT」のような存在なのかな…と。
ちなみに、カローラクロスGR-Sはメーカーの想定を大きく超える人気で、現在新規の受注が停止されている状況です。
開発陣は「生産キャパシティの増強は工場側と連携しながら進めています」とのことですが、個人的には「待ってでも手に入れる価値のあるクルマ」だと思っています。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

























































