時速約500キロ! めちゃ速い「スーパーカー」世界限定30台発売! BYD「U9 Xtreme」とはどんなクルマ?
電気自動車(EV)の性能が、また新たな次元へと到達しました。BYDのハイエンドブランド「仰望(YANGWANG)」が手掛けたEVスーパーカー「U9 Xtreme」が、ドイツのテストコースで最高速度496.22km/hを記録し、EV世界最速の称号を手にしました。これは単なる最高速の更新に留まらず、世界一過酷とされるニュルブルクリンクでも驚異的なタイムを叩き出しています。世界初の技術を満載し、限定30台のみが生産されるこの特別なモデルの実力に迫ります。
EVの新たな歴史を刻む、最高速496.22km/hの衝撃
2025年9月、中国の自動車メーカーBYDが展開する高級ブランド「仰望(YANGWANG)」が開発したスーパーカー、「YANGWANG U9 Xtreme」が、ドイツのATP Automotive Testing Papenburg試験場において、496.22km/hという驚異的な最高速度を達成しました。
この記録は、ドイツの第三者認証機関であるATPによって正式に認められたもので、電気自動車(EV)における世界最速記録を塗り替える歴史的な瞬間となりました。

わずか1ヶ月前の2025年8月に、兄弟車である「YANGWANG U9 Track Edition」が記録した472.41km/hを大幅に上回るこの数値は、EVのパフォーマンスが内燃機関のハイパーカーが長年君臨してきた領域に、確実到達したことを示しています。
500km/hという、これまでごく一部の内燃機関モデルにしかなしえなかった大台に肉薄する記録をEVが達成したことは、電動化技術の進化の速さを改めて世界に知らしめる出来事と言えます。
「YANGWANG U9 Xtreme」の真価は、その圧倒的な最高速度だけではありません。
仰望は、このマシンを世界で最も過酷なサーキットとして知られるドイツのニュルブルクリンク北コース(ノルトシュライフェ)に持ち込み、その総合的な運動性能の高さも証明しました。
初のアタックで記録されたラップタイムは、6分59秒157。多くの自動車メーカーが目標とする「7分の壁」をいともたやすくクリアしてみせたのです。
全長約20.8km、高低差300m、そして170を超えるコーナーが連続するこの難関コースで好タイムを記録するには、直線での速さはもちろん、加速、減速、コーナリング、そしてそれらを連続して行っても性能が低下しない安定性といった、車両のあらゆる性能が高次元でバランスしている必要があります。
「YANGWANG U9 Xtreme」が達成したこのタイムは、最高速に特化したモデルではなく、サーキットでの走行性能も極限まで追求した、真のスーパーカーであることを力強く物語っています。
では、なぜ「U9 Xtreme」はこれほどまでの圧倒的なパフォーマンスを発揮できるのでしょうか。
その心臓部には、世界で初めて量産車に採用された「1200V超高電圧プラットフォーム」が存在します。
これは、従来のEVの主流であった400Vや800Vシステムを大きく凌駕するもので、より大きなパワーを効率的にモーターへ伝達することを可能にしました。
このプラットフォームを基盤に、1基あたり30000rpmという高回転域まで許容する高性能モーターを4基搭載。
それぞれのモーターは航空機にも用いられるレベルの高強度アルミニウム製ハウジングや特殊なベアリングで固められ、システム全体で3000馬力(PS)を超える途方もないパワーを生み出します。
車両重量に対する出力の比率を示すパワーウェイトレシオは1,217PS/tに達し、異次元の加速性能を実現しています。
さらに、これらの強大なパワーを余すことなく路面に伝えるため、4つのモーターを独立して制御する「e4プラットフォーム」と、インテリジェント車体制御システム「DiSus-X」にもサーキット走行に特化した特別なチューニングが施されました。
これにより、あらゆる速度域で車体を安定させ、理論値を超えるほどの運動性能を引き出すことに成功しています。
また、長時間の全開走行を可能にするため、冷却システムも根本から見直されました。
大流量のオイルポンプと立体的なモーター冷却構造を取り入れることで、システム全体の効率を従来比で133%も向上させ、パフォーマンスの持続性を高めています。
バッテリーには、セル設計から見直されたサーキット仕様のブレードバッテリーを搭載。
新開発の二層冷却構造と組み合わせることで、30Cという極めて高い放電倍率を誇り、急加速や強力な回生ブレーキを繰り返す過酷なサーキット走行においても、安定した性能を発揮し続けます。
時速500km/hに迫る速度域から安全に車両を停止させるためには、制動系統にも究極の性能が求められます。
「U9 Xtreme」には、新たに開発されたチタン合金製のキャリパーとカーボンセラミック製のブレーキディスクを組み合わせたブレーキシステムが与えられました。
軽量でありながら高い剛性を誇るチタン合金キャリパーは、繊細なブレーキフィールを実現。
さらに、熱伝導率が低いという特性により、過酷なブレーキングで発生する高熱がブレーキフルードに伝わるのを防ぎ、沸騰による性能低下のリスクを低減します。
この卓越したブレーキシステムは、ニュルブルクリンクに存在する177カ所のブレーキングポイントすべてで、一切の性能低下を見せなかったといいます。
そして、これらすべてのパフォーマンスを最終的に路面に伝える最も重要なパーツがタイヤです。
仰望は、タイヤメーカーの佳通タイヤ(Giti Tire)とタッグを組み、このモンスターマシンのためだけの専用セミスリックタイヤ「GitiSport e・GTR2 PRO」を共同開発しました。
タイヤの骨格部分には、防弾ベストにも使用される超高強度のアラミド繊維を織り込み、500km/h近い超高速域でもタイヤの変形を抑制。トレッドパターンは高速コーナリングで強力なグリップを発揮する非対称デザインとし、ウェット路面での排水性も確保しています。
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その名が示す通り、「極限(extreme)」を追求し、未知なる領域の境界(X)を突破した「U9 Xtreme」。
その圧倒的な性能と技術的な先進性は、今後のEV開発における重要な指標となるかもしれません。
この自動車史に新たな1ページを加えた特別なモデルは、世界でわずか30台のみが限定販売されます。
Writer: くるまのニュース編集部
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