トヨタに「カローラ“ミニバン”」あった! 史上初の3列シート×新車当時「150万円台」設定でちょうどいい「シンプルモデル」! 斬新「リムジンシート」も採用の「スパシオ」とは何なのか
トヨタの大人気乗用車「カローラ」シリーズ。現在はセダンやハッチバック、ステーションワゴンに加え、SUVも存在しますが、かつては「ミニバン」もありました。
「カローラ」にミニバンあった! ちょうど良かったが…
1966年に初代が登場し、以後は時代に即したさまざまな派生車種が登場してきたトヨタ「カローラ」。
そんなカローラの名を冠したモデルは、過去にも複数の車種が存在してきましたが、実は3列シートを備えたミニバンも存在していました。それが1997年1月に登場した「カローラスパシオ」です。

カローラの現行型は12代目で、現在は基本形となるセダン「カローラ」のほか、ステーションワゴンの「カローラツーリング」、ハッチバックの「カローラスポーツ」に加え、初のクロスオーバーSUV「カローラクロス」、そしてスポーツモデルの「GRカローラ」が存在しています。
いっぽうでミニバンはほとんどなく、歴代カローラとしては、このカローラスパシオ(以下、スパシオ)が唯一となっていました。
1995年にデビューした8代目カローラをベースに誕生したスパシオは、ヒンジドアを備えた5ドアハッチバックのトールワゴンタイプのボディ形状となっています。
いっぽうホイールベースはセダンと共通で、全長に至ってはトランク部分がなくなったことで、セダンよりも100mm短い4185mmとなっていました。
シートレイアウトは2-2-2の6人乗りとなっており、セカンドシートは運転席側に寄せた形状で3列目へのアクセス性を向上させていたのも特徴のひとつ。
なお、3列シート仕様のほか、「2-0-2」と呼ばれる2列シート仕様もラインナップされており、こちらは2列目シートを廃したもので後席の足元が広いリムジン的な仕様となっていたのも面白いところでした。
ベースとなったカローラセダンは1.3リッターや1.5リッターのガソリンエンジンが主流となっていましたが、スパシオは乗車定員が増え、車両重量も増えたことで1.6リッターのみ。
トランスミッションもカローラセダンにあったMTはなく、全車4速ATとなっています。
そして登場から約半年後の1997年7月には、1.8リッターエンジンを搭載した4WDを追加し、シートレイアウトには「2-3」と呼ばれる一般的な2列シートレイアウトを追加。この2-3では、広い荷室スペースでトールワゴン的に使えるものとなっていました。
その後、カローラスパシオは2001年5月に2代目へとフルモデルチェンジ。
基本的なスタイルは初代と同じヒンジドアの5ドアハッチバックボディのトールワゴンで、ベースとなった9代目カローラと共通するデザインが与えられていました。
2代目では複数のシートレイアウトを廃止し、3列7人乗り仕様に統一。3列目シートはあくまでエマージェンシー用と割り切っており、当時のカタログでも3列目シートは格納して荷室スペースとして使っている写真が多く使われています。
搭載エンジンはベース車と同じく新世代の4気筒エンジンとなり、1.5リッターと1.8リッターの2種類を設定(4WDは1.8リッターのみ)。トランスミッションは初代に引き続き4速ATのみが組み合わされていました。
ただ当時カローラを扱っていた販売チャネル「カローラ店」では、コンパクトな3列目シート車として2003年9月に、スライドドアを備えた「シエンタ」が登場。
価格もカローラスパシオが150万円台から200万円台となっていたのに対し、シエンタは20万円ほど低廉な価格で展開。
便利なスライドドアが評価されたこともあり、ヒンジドアのスパシオの需要は徐々に縮小。2007年6月ごろには販売を終了しています。
結局、カローラの名前を冠する3列目シート車は2世代で姿を消すこととなり、現在もカローラミニバンはラインナップされずにいます。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。









































