日野が初公開モデルを5台披露! 物流・輸送の要を担うモビリティの未来は? JMS2025の概要を発表

10月30日から11月9日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「Japan Mobility Show 2025」(JMS2025)に日野は出展することを発表しました。

日野、Japan Mobility Show 2025 に出展へ

 2025年9月18日に日野は、10月30日から11月9日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「Japan Mobility Show 2025」(JMS2025)に出展することを発表しました。

 同社は「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」を出展テーマに据え、移動の未来に対する世の中の「問い」を切り口とした展示を行うとしています。

ポンチョドット(コンセプトカー)
ポンチョドット(コンセプトカー)

 今回の日野ブースについて、渉外広報部 部長 飯島氏は「自動車業界は大変革期にあると言われてきましたが、事業者さん、社会のニーズの多様化、複雑化といったことと、テクノロジーの進化といった外部環境の変化に加え、日野としても個社としてもここ数年は大きな変化に向き合っているところです。そういった時だからこそ、原点に立ち返って社会の声、お客様の声、時代の声をよく聞いて、いい商品を通じて世の中に貢献していく、こういったことをモビリティショーでも皆様にお伝えしていきたい」と語っています。

 では具体的にはどのような内容となるのでしょうか。今回、初展示5台を含む全6台の車両を展示し、全ての車両は搭乗体験が可能となっています。

 ●ポンチョドット(コンセプトカー)※初展示

 デザインセンターソーシャルデザイングループ グループ長の関口氏によると、ポンチョドットは「地域の移動をもっと自由に、もっと柔軟に」をコンセプトに開発された小型BEVトラック「日野デュトロ ZEV」をベースとしたコンセプトカーです。

「コンチョドットは地域内の人、物を例えば朝は子供たちを学校へ。そのまま農作物を地域の販売所へ。そして昼は病院へ送迎しつつ宅配や買い物代行の荷物も運びます。さらに夕方は子供たちのお迎えや習い事と送迎に活躍します」と関口氏は説明します。

 地域内の複数の輸送を1台にまとめることができ、コンパクトサイズながら人も物も一緒に運ぶことが可能です。

 子供たちの送迎では床が低いため乗り降りがしやすく、安心して移動できる先進装備を備えています。

 車椅子は背面扉のスロープから乗り降りすることができ、側方からのスロープ展開に比べ、狭い道幅でも他の交通の妨げになりにくいのが特徴です。

 車内は大型トレイに買い物かごを置くことができ、ウォークスルー構造によってドライバーは車道に出ることなく買い物かごを車内で手に取り、安全にスライドドアから降りることができます。

 ポンチョドットは「公共交通の減少、宅配ニーズの増加、運転ドライバー不足といった課題を教授交通、共同配送で支えていくためのマルチパーパスモビリティ」であり、「ポンチョドット」という名前には「地域の皆さんにもっと近い存在になってほしい」という思いが込められています。

 デザイン面では、外観は地域の皆様が親しみ、安心できるスタイルを目指し、柔らかさ、愛着、優しさを表現。室内デザインは空間を効率的に見せるため、薄く、軽く、広くを表現しています。

 対面型の跳ね上げシートは必要な時だけ座面を展開することで最大限空間を活用できる設計です。

 また、レベル4相当の先進自動運転技術を搭載し、狭い路地での運転サポートによって誰もが楽に運転できるよう設計されています。

 車内安全面では、運行中に車内に取り付けたカメラにより車内全体を撮影し、車内転倒のリスクのある乗客の動きをAIが判定して、ドライバーへ音や画像で通知する機能も備えています。

ポンチョドット(コンセプトカー)
ポンチョドット(コンセプトカー)

 ●日野プロフィア Z FCV(L4コンセプト)※初展示

 プロダクト推進部PZ4電動車事業(大型電動トラック担当)の白石氏によると、9月17日に発売を発表した燃料電池大型トラック「日野プロフィア Z FCV」に、参考展示として幹線輸送を想定した自動運転レベル4相当のデバイスを装着したL4コンセプトを紹介します。

 白石氏は「国内の貨物自動車全体のCO2排出量約60%を大型トラックが占めています。だからこそ、大型トラックのゼロエミッション化は日本全体のカーボンニュートラルに大きなインパクトを与えると考えております」と説明します。

 商用車の電動化においては、環境性能と実用性の両立が求められます。走行距離や積載物、稼働シーンなどに応じて適材適所で最適なパワートレーンを選択していくことが重要であり、幹線輸送に使われる大型トラックについては、十分な走行距離と短い時間の燃料供給が求められます。

 日野では水素を燃料として発電する燃料電池車が有効であると考えています。

 プロフィア Z FCVはトヨタ自動車との共同開発商品で、パワートレインにはトヨタMIRAIに採用しているFCスタックをベースに専用開発した水素タンクを6本搭載。

 リチウムイオンバッテリー、車両を駆動するモーター、車軸を接続しているEアクスルをそれぞれ2基搭載しています。

 FCスタック内では水素と酸素による化学反応により電気を生成し、リチウムイオンバッテリーに蓄電しながらモーターで駆動するため、走行中のCO2やNOxの排出はゼロ、出すのは水のみとなります。

 高速走行距離は650km、水素充填時間は15分から30分で、ミディアムフローツイン充填に対応しており、最短で15分での充填が可能です。

 モーター駆動により発進時より最大トルクを発生し、スムーズな加速が特徴。トランスミッションの変速もないため、トルク断絶のないスムーズな発進となります。また、ディーゼル特有の振動がなく、ドライバーの疲労低減と積載物にも優しい車両といえます。

 積載性能については、水素タンクやリチウムイオンバッテリーの配置を工夫し、車体を専用設計することで荷台スペースの最大化を図り、十分な実用性を確保。車両の寸法・重量は従来の大型トラックと同等で、ボディ仕様はドライバン、ウィングバンとなります。

 自動運転L4コンセプトについては、交通事故死傷者ゼロのビジョン実現のために「セーフティーパートナー」と名付けた交通安全装置の総称の下、自動運転レベル2からレベル4に向けた開発に取り組んでいます。既存のADASセンサーをベースとし、さらなる認識性能向上を図るため高性能レーダー、カメラ、およびライダー等の新規センサーを追加。これにより、より遠方の認識および車両周辺の認識機能の向上を実現しています。

日野プロフィア Z FCV(L4コンセプト)
日野プロフィア Z FCV(L4コンセプト)

 ●日野セレガ(2026年春頃新モデル発売予定)※初展示

 プロダクト推進部PZ3バス事業の向里氏によると、2026年春頃に発売予定の大型観光バス「日野セレガ」は、国内トップレベルの安全装備と、走行性能や静寂性、燃費の向上を実現しています。

 向里氏は「2005年8月、新長期排ガス規制に合わせてフルモデルチェンジを行い、セレガとしては2代目となる現行モデルが発売されました。以降、各種法規対応、安全機能の追加、商品性補強を行ってまいりました。そして来年、2026年春頃に新たなセレガの販売開始を予定しております」と説明します。

 新たなセレガの最大のトピックスは、2005年以降初となる大幅なフロントとデザイン仕様の変更です。

 フロントは風を受け流す流線型ある艶やかなラウンディッシュデザインにより空力性能を向上させ、可変配光型LEDヘッドランプを標準装備し、夜間の視認性向上、ドライバーの負担軽減に貢献します。

 リアも風を受け流すダイナミックシャープエッジデザインにより空力性能の向上を図るとともに、新型LEDリアコンビランプを採用し、後続車からの視認性も高め安全性にも寄与します。

 安全装備として、出会い頭警報、左折巻き込み警報、車線変更警報といった安全デバイスの追加、より制動力の高い流体式リターダーの搭載、周辺の車両以外をハイビームで照らし夜間の遠方視界を確保する可変配光型LEDヘッドランプ、速度標識等をメーターに表示し必要に応じて標識に合わせた速度制御も可能な標識認識システムなど、運転支援装置の拡充を行っています。

 また、新搭載の12段AMTでは、エンジンの回転とギア段の最適制御により燃費向上に貢献し、低燃費タイヤの採用も行っています。AMTの改良により走行性能や車内の静寂性を向上させるとともに、空力性能改善等の相乗効果によって燃費向上も実現します。

日野セレガ(2026年春頃新モデル発売予定)
日野セレガ(2026年春頃新モデル発売予定)

 ●日野デュトロ ZEV(2026年夏頃新モデル発売予定)※初展示

 プロダクト推進部PZ4電動車事業(小型電動トラック担当)の加部氏によると、ユーザーの使い勝手とカーボンニュートラルを高次元で両立する小型BEVトラック「日野デュトロ ZEV」は、2022年6月の新発売から累計1600台以上を販売し、物流のラストワンマイルの現場で活躍しているといいます。

 加部氏は「日野デュトロZEVは物流現場に向け使い勝手とカーボンフリーを高次元で両立するトラックとして2022年6月に発売を開始しました。以来およそ3年間、大和運輸様、西日本を中心に展開するグリーンコープ生活協同組合連合会様をはじめ、多くの事業者様に累計1600台以上、37都府県でご使用いただいている車になります」と説明します。

 デュトロZEVはユーザーの声を反映し、現場での使い勝手を追求したあらゆるドライバーに優しい車両です。

 普通免許で運転可能なコンパクトな車体ながら配送に必要な積載量・室容積を確保し、主に市街地でのラストワンマイルの配送に最適な作りとなっています。全輪駆動ミッドシップのバッテリーレイアウトを採用した新開発のEV専用車台は、車両の使い勝手とゼロエミッションを両立する高性能な車台となっています。

 現場からの声を反映し、26年夏発売予定の新モデルでは、ドライバーの作業性向上に繋がる機能を多く盛り込んでいます。

 特に、駆動用バッテリーの容量アップにより走行距離の延長、また低温環境での性能を向上することで幅広い地域のユーザーが使えるようになっています。

 その他、坂道発進制御の改善、電子インナーミラーやデジタルメーターの視認性向上、バックドアの大開操作性の向上など、物流現場に寄り添った機能をさらに拡充。またサイドアラウンドモニターシステムを搭載し、FCTAと市街地走行に必要な先進安全技術の拡充も行っています。

 また、マルチスタイルフォーシティと名付けた新たな提案では、バッテリーEVと超低床構造を活かし仕様を変えることで様々なニーズへの対応が可能となります。

 例えば市街地での静かな走行と容易な乗り降りを提供するコミュニティバス、災害時の指揮系統として活用できるオフィスカー、災害時のニーズも高い移動式仮設トイレなど、物流現場だけでなく多様な社会課題の解決に貢献することを目指しています。

 JMS2025会場外ではデュトロZEVをベースにした「モバイルオフィス」も展示。

 これは2台の高さと室内の広さを活かして実現したオフィスカーで、電動車の大容量バッテリーを使用することでエアコンやモニターといった家電製品の使用も可能になっています。

 広く平らな床面にはエアラインレールを設定しており、椅子や机を自由にレイアウトすることが可能です。

 また、電動車の充電に関する新たな提案として、株式会社キューブリンクスによる自動充電ユニットも紹介されます。

 ドライバーはモニターのアプリを見ながら駐車位置を確認して車両を停止させると、床下充電ユニットが自動で車両の充電口を検知して接続・充電を行うシステムです。

日野デュトロ Z EV モバイルオフィス
日野デュトロ Z EV モバイルオフィス

 その他、JMS2025では、日野レンジャ(2026年内に新モデル発売予定)が初展示。

 さらにはダカール・ラリー参戦車(2019年参戦車)も展示し、搭乗体験や写真撮影などに加えて、11月1日~2日の2日間、2018年参戦車によるデモランを実施します。

【画像】これは見たい! 日野が展示するモデルを見る!(21枚)

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Writer: くるまのニュース編集部

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