「過去判例では5億円請求も…」 なぜ強制ではないのに「任意保険」は加入する人が多いのか? 自賠責と何が違う?
自動車保険は自賠責保険(強制)と任意保険に分かれます。自賠責は最低限の対人補償(死亡3000万円、ケガ120万円等)のみで、対物補償なし。任意保険は対人・対物補償が充実し、交渉代行や特約も魅力。過去の判例では高額賠償も発生し、任意保険未加入のリスクが大きいため、事実上必須とされています。
「任意保険」は実質「強制保険」?
自動車保険は、自賠責保険(強制保険)と任意保険に大別されます。
ただ、実際には任意保険への加入も事実上必須とされています。
なぜ、こういった仕組みとなっているのでしょうか。

自動車保険には、大きくわけて自賠責保険と任意保険の2種類があります。
自賠責保険は、すべてのクルマに対して加入が義務付けられているため、「強制保険」と呼ばれることもあります。
一方の任意保険は、その名のとおり、あくまで個々の責任において加入するものであり、加入していないことによる法的な罰則はありません。
とはいえ、実際には任意保険に未加入の状態で運転することは一般的ではなく、加入は事実上強制となっている側面があります。
なぜ、日本の自動車保険制度はこのようなかたちとなっているのでしょうか。
その謎を解く鍵は、自賠責保険が義務化された経緯にあるようです。
自賠責保険の根拠となる「自動車損害賠償保障法」は、1956年に施行されました。
戦後の復興のなかでモータリゼーションが進みつつあった当時の日本では、交通事故の増加が問題視されており、被害者の救済が急務でした。
そこで、自賠責保険の加入を義務化することにより、被害者が最低限の補償を得られる仕組みが導入されたというわけです。
一方、任意保険の歴史はさらに古く、1914年には東京海上日動火災保険によって日本初の自動車保険が誕生しています。
すでにいくつかの任意保険が存在していたなかで、強制保険である自賠責保険に強力な補償をもたせてしまうと、国が民間の業務を阻害することとなってしまいます。
そのため、自賠責保険は最低限の補償にとどまり、それ以上の部分は任意保険によってカバーするというかたちが成立したと言えます。







