「過去判例では5億円請求も…」 なぜ強制ではないのに「任意保険」は加入する人が多いのか? 自賠責と何が違う?
任意保険未加入のリスクはあまりにも大きい
任意保険の加入が事実上必須とされている背景には、上述した経緯により、自賠責保険の補償内容が最低限のものになっていることが大きく関係しています。
自賠責保険で補償されるのは対人のみであり、支払われる保険金の限度額も「死亡」で3000万円、「ケガ」で120万円、「後遺障害」は程度に応じた等級によって75万円から4000万円とされています。
しかし、事故の内容や責任の度合いによっては、それ以上の損害賠償が必要となることもめずらしくありません。
実際、過去の判例を見ると、2011年には死亡事故を起こした加害者に対して、約5億2800万円もの損害賠償請求が認定された事例があります。
もし、この加害者が加入していたのが自賠責保険のみであった場合、差額の約5億円は自身の資産から支払わなければなりません。
さらに、自賠責保険では対物に対する補償は一切ふくまれていません。
そのため、事故によって相手のクルマや所有物、公共のガードレールなどが破損した場合には、自賠責保険から補償することはできません。

一方、任意保険では、ほとんどの商品が対人補償を無制限としているほか、対物の補償を無制限とできるものも少なくありません。
また、他人のクルマを運転した際にも補償される「他車運転特約」や、原付を運転していた場合の事故も補償される「ファミリーバイク特約」、弁護士費用が補償される「弁護士費用特約」といったさまざまなオプションも存在します。
さらに、相手との交渉を保険会社に任せることができるというのも、任意保険に加入する大きなメリットです。
自賠責保険との関係から、あくまで「任意」の保険とはされているものの、こうした補償内容を考えると、やはり任意保険への加入は必須と言えます。
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国や公共団体の一部や大手運送会社などでは、任意保険に加入していないケースもあるようです。
ただし、これは国や公共団体による損害賠償は「国家損害賠償法」によっておこなわれるほか、大手運送会社の場合も自社内で補償をされる仕組みが整っているためであり、あくまで例外的なケースと言えそうです。
Writer: Peacock Blue K.K.
東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。







