同じトヨタ「ヤリス」でもハッチバックよりSUVの方が安く買える!? 30万円も高いのになぜ? 「逆転現象」が起きる“カラクリ”とは!

トヨタ「ヤリス」と「ヤリスクロス」は、それぞれハッチバック、SUVとしてラインナップされます。価格はヤリスクロスの方が高いのですが、“とある方法”で購入すると支払額は安く済むという逆転現象が起きるのです。

30万円も高いのになぜ?

 トヨタ「ヤリス」は5ナンバーサイズに収まるハッチバックボディのコンパクトカーで、価格の安さがウリです。

 一方、「ヤリスクロス」はヤリスと共通のプラットフォームを使うコンパクトSUVですが、全幅のワイドな3ナンバー車になることもあって価格も高く設定されています。

 売れ筋グレードの価格(消費税込、以下同)を2WD同士で比べると、「ヤリスハイブリッドZ」は257万9500円、「ヤリスクロスハイブリッドZ」は288万7500円です。

「ヤリスクロス」なぜ安く買える?
「ヤリスクロス」なぜ安く買える?

 ヤリスクロスハイブリッドZには、ヤリスハイブリッドZではオプション設定となるアルミホイールなどが標準装着されることもあり、30万8000円高く設定されています。

 ところが残価設定ローンを利用すると、月々の返済額が逆転して、ヤリスクロスが安くなります。3年間の均等払いで契約した時の月々の返済額は、ヤリスクロスハイブリッドZが5万2500円で、ヤリスハイブリッドZは5万4200円です。

 価格はヤリスクロスハイブリッドZが30万円以上高いのに、月々の返済額は、逆転して1700円安くなるのです。

 このような返済額の違いが生じるため、残価設定ローンを使うなら、ヤリスクロスがヤリスよりも明らかにオトクです。今は乗用車の新車販売では、40%前後を残価設定ローンが占めるため、ヤリスクロスの返済額に魅力を感じるユーザーも多いでしょう。

 残価設定ローンの返済額と車両価格に、このような逆転現象が生じる理由は、残価設定ローンの残価(残存価値)にあります。

 残価設定ローンでは、数年後の残価を設定して、残価を除いた金額を分割返済。残価は支払われないため、返済期間を終えても車両は自分の所有になりませんが、月々の返済額は従来のフルローンよりも安く抑えられます。

 そして返済期間を終えた時には、「車両を返却する」「改めてローンを組んで所有権が得られるまで返済を続ける」「残価を支払って車両を買い取る」という選択肢を設けていることが多いです。

 ヤリスハイブリッドZの3年後の残価は、2025年9月上旬時点で105万7590円です。車両価格は257万9500円ですから、単純にいえば3年間で約152万円を返済します。価格に占める残価の割合は41%です。

 一方のヤリスクロスハイブリッドZでは、3年後の残価が150万1500円と高いです。車両価格も288万7500円でヤリスハイブリッドZを上まわりますが、価格に占める残価の割合は52%に達し、そのため3年間で返済する金額も約138万円で済みます。

 返済期間の終了時に車両を返却する場合は、残価を支払う必要もないため、価格が高く月々の返済額は安いヤリスクロスがトクです。

 残価を支払って車両を買い取ったり、改めてローンを組んで返済を続ける時は、ヤリスクロスの割安度は得られません。

 ただし多くのユーザーは、車両を返却して新たに別のクルマで残価設定ローンを組むため、ヤリスクロスがトクになるのです。

 このような事情があるので、登録台数もヤリスクロスのほうが多いです。2025年1~7月の1か月平均登録台数は、ヤリスクロスが約7600台、ヤリスは約6100台と、1か月平均でヤリスクロスが約1500台上まわります。

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