新車49万円! スズキらしい斬新「“めちゃ小さい”軽自動車」! 全長2.7m「超軽量ボディ」に“5速MT”搭載! 最高に楽しい「ツイン」とはどんなクルマだった?
小型車を得意とするスズキですが、その中でも群を抜いて小さな「ツイン」とは、一体どのようなモデルなのでしょうか。
新車49万円! スズキらしい斬新「“めちゃ小さい”軽自動車」
スズキといえば、軽自動車の「アルト」やコンパクトカーの「スイフト」など、小型車を得意とするメーカーとして知られています。
しかし、その中でも群を抜いて小さなクルマが、かつて販売されていました。
それが、2003年に登場した軽自動車「ツイン」です。

車名が示す通り、乗員を“2名”に限定するという割り切ったコンセプトで開発されたツインは、一般的な軽自動車の全長3395mmに対し、わずか「全長2735mm」と、約70cmも短い極端なボディサイズが特徴でした。
そして通常の軽自動車が規格いっぱいに室内空間を広げようとするのとは対照的に、ツインはシティコミューターとしての役割に特化することで、自由で丸みを帯びた斬新なデザインを実現。
さらに、最小回転半径は3.6mという驚異的な小回り性能を達成し、狭い路地でも安心して運転できるクルマでした。
その小さなボディは、もちろん軽さにも直結しました。
最もシンプルなグレード「ガソリンA」(FF、5速MT)では、わずか570kgという軽量ボディを成立。
この軽さによって、複雑なハイブリッドシステムを持たないにもかかわらず、当時としては非常に優れた“26km/L”(10・15モード燃費、以下同)という低燃費性能を達成していました。
車両価格(消費税抜)も49万円からと非常に安価で、小回りが利き、軽量で燃費が良く、マニュアルトランスミッションも選べるという、まるでライトウェイトスポーツカーのような特徴を持ち合わせることから、発売当初は大きな話題となったツイン。
そのため、街乗りユーザーだけでなくクルマ好きからも支持されるかと思われました。
しかし、現実は厳しいものでした。
割り切りすぎた“ガソリンA”グレードには、なんとエアコンもパワーステアリングも搭載されていませんでした。
一方、ツインの上位グレードにはスズキの市販車史上初となるハイブリッドシステムを搭載し、34km/Lのさらなる低燃費を実現していましたが、バッテリーなどの追加で車重が大幅に増加。価格も129万円からとそれなりの高価なものに。
ラゲッジスペースも圧迫され狭くなるという不便を抱えて得た低燃費でしたが、実燃費はもともと低燃費なガソリン車とそこまでの大差はなく、80万円もの価格差を払ってまで手に入れる価値が見出しにくかったのです。
このような理由から、スズキの予想に反してツインの販売は低迷し、わずか3年後の2005年にはガソリン仕様、ハイブリッド仕様ともに販売が終了してしまいました。
いま振り返れば、ユーザーがツインを「2人しか乗れず、不便な軽自動車」と見なしてしまったことが、販売不振の大きな要因と言えるでしょう。
しかし、ツインを単なる失敗作として切り捨てるべきではありません。ツインが挑んだ軽量化や電動化の試みは、その後のスズキの技術開発に大きな影響を与えました。
現在のスズキは、優れた軽量化技術と低燃費化技術によって、4人乗りのアルトで当時のツインに匹敵する車重や燃費性能を実現しています。
また、独自のハイブリッドシステムを完成させ、環境に優しく、運転が楽しいクルマ作りを続けています。
これらの技術の根底には、ツインという小さなクルマが、将来の軽量化や電動化に向けた重要な実験モデルとして駆け抜けた歴史があったのです。
ツインは、販売面においては成功しなかったかもしれませんが、スズキの未来にとっての「大きな一歩」だった、偉大なモデルと言えるでしょう。
Writer: くるまのニュース編集部
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