約165万円から! ホンダ「最小・最安級コンパクトカー」実車展示! 全長3.8mの“ちょうどいいサイズ”に「5速MT」や「RS」モデルも! 大人気の国民車「ブリオ」インドネシア仕様なぜ日本には導入されない?
インドネシアのモーターショーで、ホンダのコンパクトカー「ブリオ」が展示されました。現地では“国民車”ともいわれるほどの人気モデルですが、日本では販売されていません 。どのようなクルマなのでしょうか。
日本にもピッタリの仕様が魅力!
2025年7月23日、インドネシア国際オートショーの会場で、ホンダは記者会見を開催し、新型「ステップワゴン e:HEV」の正式発売を発表しました。
同時に、今後ハイブリッド車のラインナップをさらに強化する方針を明らかにしました。
ホンダブースでは、コネクティビティ技術「Honda CONNECT」を詳しく紹介する情報展示や、ホンダの多様なアフターサービスを体感できるデジタルインスタレーションが展開されていました。
今回のショーでは、ステップワゴン e:HEVに加え、新型「HR-V e:HEV」や新型「BR-V N7Xエディション」なども展示されたなか、ひときわ注目を集めていたのは、コンパクトカー「ブリオ」です。

ブリオは、インドネシア市場において非常に重要なモデルです。
2022年には同国の年間販売台数でトップを記録し、月によってはホンダのインドネシアでの総販売台数の4割以上を占めることもある、まさに“国民車”とも呼べる存在です。
ブリオは、2011年にアジア新興国のエントリーカー市場をターゲットとした戦略車として初代が登場しました。
2018年に発売された2代目(現行モデル)は、よりスタイリッシュなデザインに進化し、現在はインドネシア市場に特化したモデルとして生産・販売されています。
ボディサイズは全長3810mm×全幅1680mm×全高1485mm、ホイールベース2405mmのコンパクトな5ドアハッチバックです。
エクステリアは、標準グレードの「Satya(サティヤ)」と、スポーティな上級グレード「RS」で明確に差別化されています。
RSは専用のエアロパーツ、ダーククロームのフロントグリル、15インチの大径アルミホイールを装備し、精悍なスタイリングが特徴です。
インテリアもRSではブラック基調にオレンジのアクセントが施され、スポーティな雰囲気を演出しています。
パワートユニットには、最高出力90psを発揮する1.2リッター直列4気筒i-VTECエンジンを搭載。
トランスミッションはCVTに加え、5速MTも用意されています。
インドネシアでの車両価格は、最も安価な「Satya S MT」が1億7040万ルピア(約165万円)から、最上級の「RS CVT」が2億5820万ルピア(約250万円)です。
SNSや海外のレビューサイトでは、「キビキビとした走りが楽しい」「燃費が良い」といった声が多く、特にRSグレードのスポーティなデザインが若者を中心に高く評価されています。
一方で、「荷室が狭い」「高速走行時の静粛性は価格相応」といった実用面での指摘も見られます。
ブリオはかつてインドネシアからベトナムなどに輸出されていましたが、現在はタイやインドなどの主要市場からは撤退し、インドネシア市場に特化したモデルとなっています。
これほどの人気を誇りながら、ブリオが日本市場に導入されないのには、大きく3つの理由が考えられます。
1つ目は、日本の厳しい衝突安全基準や排出ガス規制(ブリオはEURO 4準拠)をクリアするには、多額の改修コストがかかるという「技術的な壁」です。
2つ目は、ホンダの国内ラインナップには「フィット」という強力なコンパクトカーが存在し、商品コンセプトが重複するという「市場の壁」があります。
3つ目は、現在のホンダが国内では先進安全装備「Honda SENSING」やハイブリッド「e:HEV」を搭載した高付加価値モデルの販売に注力しており、低価格帯のブリオはその「経営戦略の壁」と合致しないのです。
これらの障壁がある限り、ブリオが日本市場にそのまま導入される可能性は極めて低いといえます。
しかし、その手頃な価格と運転の楽しさは、現代の日本の自動車市場が忘れかけている魅力を再認識させてくれる存在でもあるでしょう。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。









































