「本当に似てるの?」 トヨタ「プリウス」とホンダ「プレリュード」のデザイン… SNSで話題だけど…デザインを真剣に考えてみた
トヨタ「プリウス」とホンダ「プレリュード」のデザインについて、SNSなどでは「似ている」という声を見かけます。果たして本当に似ているのでしょうか。細部にわたりデザインを考えてみます。
プリウスとプレリュードが似てる…SNSでは話題だけど…デザインを考える
世界初の量産ハイブリッド乗用車である「プリウス」を送り出したトヨタは、初代から現行の5代目まで、エクステリアデザインの面でも挑戦を続けています。
燃費を左右する空力性能とデザイン、パッケージなどを両立させるのは、プリウスに限らない命題ですが、デザインは売れ行きを左右する最重要ポイントです。
一方のホンダが2025年9月に送り出す新型「プレリュード」は、スペシャリティカーの復権を目指すモデルです。
「Honda S+ Shift(ホンダ エスプラスシフト)」を搭載したe:HEVも特徴で、走りと燃費の良さを追求したハイブリッドカーでもあります。
そんな2台ですが、SNSなどではプリウスとプレリュードの「デザインが似ている……」という声もあります。
今回は、真剣に似ていると思われる理由などを考えてみます。

プリウスのデザインを簡単におさらいすると、2代目から「トライアングルシルエット」と呼ぶフォルムを採用しています。
最大の狙いは、空力性能の向上です。
三角形の頂点(ピーク)をどこに持って行くのかは、歴代モデルにより異なりますが、フロントノーズやリヤエンドを低く抑えつつ、ルーフのどこかにピークを設定。
ルーフラインをある程度、なだらかにすることで、後席頭上まわりの余裕を確保するなど、パッケージングとの両立も図られています。
先代プリウスも「トライアングルシルエット」といえるフォルムで、フロントマスクやヘッドランプ、リヤコンビランプなどのデザインが個性的(挑戦的)であったため、一般的にはあまりウケたとはいえないかもしれません。
それでもAピラーの角度や後方視界に配慮されたサイドウインドウとリヤウインドウの一体感のあるデザインなど、当然ながらすべての意匠に理由があります。
「TNGA」化も含めた低重心化による走りの良さは、取り回ししやすいボディサイズなどから人気となった30プリウスと比べると歴然たる差があります。
歴代プリウスの中でもチャレンジングで、個性的に映る先代の40系は、フロント、サイド、リヤでボディがある程度分かれているように見えます(とくにフロントが独立して見えた)。
一方の現行型は、こちらもプリウスのテーマである「モノフォルムシルエット」であることがひと目で分かります。
一筆書きのように見えるAピラーからリヤエンドまで流れるようなシルエット、典型的なワイド&ローが印象的で、いかにも空力性能に優れたフォルムであることも伝わってきます。
ミニバンやSUV、ハイトワゴンなど背が高く、パノラマのような視界が広がるモデルが多い中、現行プリウスの前席に収まるとAピラーが迫ってくるように感じられますが、デザイン性と低重心な走り、パッケージングを実現するためには必然のフォルムといえるでしょう。
一方のプレリュードは、プリウス登場以前にスペシャリティカーとして一時代を築きました。
ホンダが復活を期するにあたり、社是といえる走りの良さは譲れなかったはず。
さらに、燃費も現在のクルマにとって重要なテーマであり、空力性能に優れた低重心フォルムになるのは必然です。
グライダーをコンセプトにしたというプレリュードは、2ドアクーペということで、プリウスよりもキャビンを小さくする(小さく見せる)ことが可能。
プリウスと比べると、Aピラーの角度がより立っているように見えます。
フロントエンドからBピラー付近まで流れるように緩やかに弧を描くプリウスに対し、プレリュードはヘッドランプ後方で一旦ピークを作り、Aピラーがより立ち上がったような造形に見えます。

サイドビューは、ドア枚数の違いに加えて、サイド下まわりの造形がかなり異なります。
エアインテークから後方まで続くえぐられたような造形が目を惹きます。
似ているように思わせる最大のポイントは、プリウスのハンマーヘッドと呼ぶデザインまわりにあるかもしれません。
「コ」の字型ヘッドランプは、造形こそ異なるものの、スバルUが新型フォレスターで採用するなど、トレンドになっています。
よく見比べるとヘッドランプを中心としたフロントマスクは、かなり異なっていますが、ボディ全体のシルエットとともに、一見すると似ているように見えるポイントなのかもしれません。
新型プレリュードのリアまわりは、プリウスよりも「ポルシェに似ている……」という声もあるようです。
横一文字のリヤコンビランプは、ポルシェに限らず世界的な流行で、フォント間の距離を少し開けたブランドや車名のロゴやエンブレムを配置するのもトレンドになっています。
前後のディテールなどに新しさを感じさせる新型プレリュードは、そのフォルム(シルエット)を眺めていると、いい意味で典型的な2ドアクーペのそれであり、この時代に送り出すホンダの意気込みを感じさせます。
Writer: 塚田 勝弘
中古車の広告代理店に数ヵ月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー用品などのフリーライター/フリーエディターに。軽自動車からミニバン、キャンピングカーまで試乗記や使い勝手などを執筆。現在は最終生産期のマツダ・デミオのMTに乗る。


























































