「エンジンブレーキがウザいです!」 なぜそう感じた!? 大議論になった“運転方法のクセ” もしかすると「周囲の迷惑」になることも? 一体何が問題なのか

うまく使えばスムーズに減速できる「エンジンブレーキ」ですが、少し間違えると周囲に迷惑をかける可能性があります。どういうことなのでしょうか。

エンジンブレーキの減速時「ブレーキランプ」は点灯しません

 フットブレーキとうまく併用すると、スムーズな減速ができる「エンジンブレーキ」。

 しかし、周囲への配慮を怠った使い方をすると、思わぬ弊害につながることもあるので注意が必要です。

「エンジンブレーキ」 使い方で迷惑になることも?
「エンジンブレーキ」 使い方で迷惑になることも?

 クルマの運転の仕方は人それぞれです。

 隙あらばレブリミット(エンジン回転上限)までエンジンをぶん回す人がいるかと思いきや、ひたすら「ECOランプ」が点灯している状態にこだわる人、さらには極力フットブレーキを使わない人。

 そんな価値観の違いを「個性」と呼ぶわけですが、多くの場合は周囲や他人に極力迷惑がかからないよう、一定の配慮をしながら運転をしている(はず)です。

 しかし以前、SNSで「エンジンブレーキがウザい」といった内容の投稿があり、物議を醸したことがあります。どういうことでしょう。

 そもそも「エンジンブレーキ」とは、アクセルを離したり、低いギアに入れたときに、エンジンの回転抵抗を利用して、クルマの速度を落とす方法です。

 ブレーキペダルを踏む、いわゆるフットブレーキとは異なり、エンジンブレーキはあくまでも「摩耗が少なく安全性を高める補助的な減速手段」という位置づけです。

 つまり、減速する際の主な方法はフットブレーキが担っています。

 そして、フットブレーキを使用しているとき(ブレーキペダルを踏んでいるとき)は、ブレーキランプが点灯し、後方に「減速中であること」を伝えます。

 しかし、エンジンブレーキ単体はこのランプが点灯せず、後続車にとっては「フットブレーキもなしにいきなり減速した」と見なされるわけです。

 一般的に、排気量が大きく、なおかつ高回転型のエンジンは内部抵抗が大きいためエンジンブレーキがよく効く傾向があり、本人は気持ち良く減速しているつもりでも、後続車にとっては大迷惑になっている可能性もあるのです。

 これが「エンジンブレーキがウザい発言」の要因となっていると考えられます。

 先述したように、極力フットブレーキを使わず、エンジンブレーキで減速をするドライバーも存在します。

 特に3ペダルのMT(マニュアルトランスミッション)車であれば、自分の意思でシフトダウンしつつ、アクセルペダルをあおって(ブリッピング)エンジンの回転を合わせて減速するといった一連の動作も、運転の醍醐味ともいえます。

 絶妙なタイミングでアクセルペダルをあおり、スムーズにシフトダウンできたときの手応えは何ともいえない満足感です。

 また、近年のMT車や一部のAT車では、パドルシフトを操作することで自動的にブリッピングをしてエンジンの回転を合わせてくれるので、実にイージーに、そして巧みにエンジンブレーキを効かせた減速を体感することができます。

 後続車にしてみれば、前を走るクルマがやたらアクセルをあおってるし、ブレーキランプが点灯するわけでもなく急に減速するので、「ウザい」と感じるわけです。

 本人にはいたって悪気はなくとも、結果的に迷惑行為につながっている典型的な例のひとつといえるでしょう。

 知らず知らずのうちに自分がこのような運転をしていると気づいたら、フットブレーキを併用することで後続車に対して「減速中であること」を伝える配慮が必要です。

 また、前方を走るクルマがエンジンブレーキだけで減速を繰り返している場合は、できるだけ車間を取り、急にスピードが落ちても対応できるようにしてみてください。

 時間的な余裕があれば、コンビニなどに立ち寄ったり、赤信号のタイミングで物理的な距離をとるなど、できるだけ離れることをおすすめします。

 前方を走るクルマの「エンジンブレーキノリノリ運転」が原因で、うっかり追突してしまっても、前方不注意や車間距離が短いと見なされ、双方のクルマの修理代の一部を負担することになりかねません。

 ちょっとした配慮で事故やトラブルを未然に防ぐことができますし、決して難しいことではないので、自分自身への戒めを込めて、心掛けておきたいところです。

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Writer: 松村透

株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。

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