“ダイハツ”ノポルシェ!? “軽規格”超え&1300ccエンジン搭載の「コペン」がスゴイ!? まさかのクーペモデルCLS/STANCEMAGIC「COPERCHE 887 GT-K」とは
東京オートサロン2025で注目を集めた一台のカスタムカー「コペルシェ 887 GT-K」。その正体は、ダイハツ「コペン」をベースにした驚愕のワンオフマシンでした。はたして誰が、なぜこのクルマを生み出したのか。その背景と驚異的な作り込みを紐解きます。
ポルシェの魂を宿した「GT-K」?
2025年1月に開催されたカスタムカーの祭典「東京オートサロン2025」。数ある出展車両の中でも、ひときわ来場者の視線を集めたのが「コペルシェ887 GT-K(以下、コペルシェ)」と名付けられた一台です。

このマシンのベースとなっているのは、ダイハツ初代「コペン(L880K)」です。659ccの直列4気筒ターボエンジンを搭載した、日本を代表する軽オープンスポーツカーが、この野心的なプロジェクトのキャンバスとなりました。
特筆すべきは、この変身が市販のボディキットではなく、完全なワンオフ製作によるものである点です。製作者によれば、Aピラーやドアなど一部を除き、ボディのほぼ全体がワンオフで作られています。特に、コペン本来の開閉式ルーフを廃し、完全なクローズドボディのクーペへと作り変えた点には、極めて高度な板金技術がうかがえます。
製作者は、ポルシェ「911」(タイプ997)のデザインを軽自動車の骨格に自然に落とし込むため、フェンダーアーチの造形や全体のバランス調整に苦心したと語ります。そのこだわりは細部にも表れており、リアライトにはレプリカではなく「ポルシェ996/997」用の純正部品が使用されています。
驚きは外装だけではありません。心臓部であるエンジンは、オリジナルの660ccから「ダイハツ」製の1300ccエンジンへと換装されています。この複雑なエンジン換装と、公道走行を可能にするための公認取得は、チューニングショップ「プロバイル」が担当したことが明かされています。
このマシンの製作者は、大阪府羽曳野市に本拠を構えるカスタムショップ「株式会社ESB」です。同社は「CLS」というブランド名で、特に車高を低く見せる“スタンス”系のカスタムで高い評価を得ています。
しかし、このクルマの背景には、もう一つの企業が関わっています。ESBがプロモーションするホイールブランド「スタンスマジック」の窓口をたどると、埼玉県の「株式会社パンドラ」に行き着きます。そしてこのパンドラ社は、かつてコペンをポルシェ風に変身させる「コペルシェ TYPE887 EVO II」というボディキットを販売していました。
これらの事実から、「コペルシェ887 GT-K」という名称の秘密が明らかになります。「887」という数字は、ビジネスパートナーであるパンドラ社の歴史的な製品「TYPE887」への敬意を示すオマージュなのです。そして末尾の「GT-K」は、このマシンが市販キットの次元を超えた、究極のワンオフモデルであることを宣言しています。
一人の職人の情熱と、プロショップの専門技術が融合して生まれた「コペルシェ」は、日本のカスタムカー文化の奥深さを象徴する傑作といえるでしょう。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。
























































