増加する外国人による重大事故! 国籍別では「韓国・朝鮮」「中国」が同件数で最多に! 裏に潜む「外免切替」の危険性とは 【警察庁のデータから見る】

2025年上半期、外国人ドライバーによる死亡・重傷事故が急増し、その背景にある「外免切替」制度の甘さが浮き彫りになっています。警察庁が公表した最新データによると、今年上半期だけで外国人ドライバーによる死亡事故は22件、重傷事故は236件にのぼり、これは全重大事故の約2.1%を占めています。この問題の根源とされているのが、日本の運転免許への切り替え手続き「外免切替」です。

警察庁が公表!外国人運転者の事故実態とは? 外国人による事故をめぐっては「外免切替」手続きの容易さが問題に!

 2025年7月29日警察庁は、「令和7年上半期における交通死亡事故の発生状況」という資料を公表しました。

 その中では外国人運転者による死亡・重傷事故にも言及されていましたが、どのような事故実態があるのでしょうか。

警察庁が公表!外国人運転者の事故実態とは? 外国人による事故をめぐっては「外免切替」手続きの容易さが問題に!(画像は警察庁の資料より)
警察庁が公表!外国人運転者の事故実態とは? 外国人による事故をめぐっては「外免切替」手続きの容易さが問題に!(画像は警察庁の資料より)

「令和7年上半期における交通死亡事故の発生状況」によると、2025年上半期(1月~6月)における交通事故の死者数は1161人であり、単純計算では1日あたり6人以上もの人が事故によって亡くなっていることになります。

 なお同資料では外国人運転者による事故の統計もまとめられており、2025年上半期は外国人運転者による死亡事故が22件、重傷事故が236件発生。

 これはあくまで上半期のデータであるため、下半期でさらに事故件数が増加する可能性もあります。

 このような外国人による死亡・重傷事故は近年増加傾向にあり、2025年中は死亡・重傷事故のうち約2.1%が外国人運転者によるものでした。

 さらに死亡・重傷事故を起こした外国人を国籍(地域)別にみると、「韓国・朝鮮」が51件、「中国」も51件であり、この両者で全体の39.6%を占めています。

 次いで「ベトナム」が31件で全体の12%、「ブラジル」が25件で全体の9.7%、「フィリピン」が17件で全体の6.6%と続きます。

 また運転資格別に死亡・重傷事故件数をまとめると、「日本の運転免許証」を持つ外国人による事故が218件で全体の84.5%でした。

 次いで「国際運転免許証」が16件で全体の6.2%、「外国の運転免許証」が5件で全体の1.9%となったほか、運転資格のない「無免許等」による事故が16件発生していました。

 そもそも外国人が日本で自動車を運転する際は、次のいずれかの運転免許証を保有していなければなりません。

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1 日本の運転免許証
2 ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証
  アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダなどが対象
3 日本と同等レベルの免許制度を有している国または地域の運転免許証(大使館や領事館などが作成した日本語の翻訳文が添付されているものに限る)
スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、台湾などが対象
ーーー

 ただし上記2や3の運転免許証の場合、基本的には「日本に上陸した日から1年間」または「運転免許証の有効期間」のどちらか短い方が日本で運転できる期間となり、それ以降はその運転免許証を使用できません。

 加えて、上記2や3に該当しない国・地域の外国人が日本で運転する場合は、日本の運転免許証を取得する必要があります。

 そのような事情によって外国の運転免許証を日本の運転免許証に切り替える外免切替(がいめんきりかえ)という手続きの件数が年々増加傾向にあり、2024年中は外免切替で日本の運転免許を取得した外国人が6万8623人にのぼったということです。

 外免切替の手続きは原則として「書類審査→適性試験→知識確認→技能確認」という流れで実施され、日本の交通ルールを問う知識確認に合格すれば、運転技能をチェックする技能確認に進めるという仕組みです。

 そして、技能確認を通過すれば日本の運転免許証が交付されます。

 しかし上記の知識確認については問題がイラスト・○×形式でわずか10問しか出題されない上、7問以上正解で合格できるほか、日本語以外の20数か国の言語で受験できるということもあり、「外国人が日本の運転免許証を簡単に取得できてしまう」と懸念されてきました。

 また観光で来日した外国人が、一時滞在先のホテルを住所地として日本の運転免許証を取得する事例もあり、書類審査の厳格化を求める声も上がっていました。

 これらを受けて警察庁は今後法令を改正し、外免切替の際には原則として「住民票の写し」を求め、観光客といった短期滞在の外国人が日本の運転免許証を取得できないようにする方針を明らかにしています。

 このほかにも知識確認の問題数を10問から50問まで増やし、45問以上正解で合格(正答率90%以上)という基準まで引き上げたり、技能確認の採点を厳格化したりする改正がおこなわれる予定です。

※ ※ ※

 2025年5月には埼玉県三郷市で中国籍の男による小学生4人のひき逃げ事件や、三重県亀山市の新名神高速道路でペルー人による逆走事故がそれぞれ発生しており、いずれの外国人も外免切替によって日本の運転免許証を取得していたことが明らかになっています。

 警察庁は外免切替について、関係法令の改正案に対するパブリックコメント(意見公募)を実施した後、10月1日から新たなルールでの運用を開始する方針です。

【参照サイト】

警察庁 令和7年上半期における交通死亡事故の発生状況等

警察庁 令和7年上半期における交通死亡事故の発生状況(令和7年7月29日)

警察庁 外国の運転免許をお持ちの方

警察庁 外免切替手続の見直し(案)

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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