映画「サマーウォーズ」登場の「国産スポーツカーの皇帝」どんなクルマ? 流麗ボディにパカッと開く「リトラライト」がリアルすぎて凄い! 「夏の大人気映画」に登場したモデルとは
細田 守監督の映画「サマーウォーズ」では、実在するクルマがリアルに描かれています。一体どのようなクルマが登場するのでしょうか。
長野・上田を爆走するクルマは「大人気スポーツカー」
細田 守監督が手がけるアニメ映画シリーズでは、現実ではありえない壮大なストーリーに、実に精緻に描かれたリアリティのある景色や町並みが合わさり、あたかも現実世界であると感じさせる作品が多くあります。
その「実在性」の演出に一役買っているのが「クルマ」です。2009年8月に公開された映画「サマーウォーズ」でも、細かく再現されたクルマが登場しました。

同作の主人公、小磯 健二(こいそけんじ/CV:神木隆之介)は冴えない高校2年生。
物理部に所属しており、引っ込み思案で内気な性格ですが、数学に関しては「数学オリンピック」に出場するほどのずば抜けた能力を持ちます。
そんな健二ですが、校内のアイドル的存在で容姿端麗な憧れの先輩 篠原 夏希(しのはらなつき/CV:宮内ひとみ)に「フィアンセ」の“バイト”を頼まれます。
というのは、長野県上田市にある夏希の曾祖母 陣内 栄(じんのうちさかえ/CV:富司純子)に会うため。実は夏希の本家は、室町時代から続く戦国一家の「陣内家」。その当主である栄の誕生日を迎えるにあたり、「彼氏を連れてくること」が必要になったのです。
そんな棚ぼたな幸せを手に入れた束の間、健二のケータイに謎の数字のメールが届きます。
超人的な数学脳の健二は、一連の数学が表すものを突き止めようと、自慢の頭脳で計算して解読しますが、数字の答えは世界のあらゆるインフラを担うソーシャルプラットフォーム「OZ」の重要なパスキーでした。
パスキーは健二になりすました悪質人工知能「ラブマシーン」にわたり、プラットフォームの内部をハッキング。鉄道や道路などの交通や、警察・消防などの主要機関のシステムもOZで構築されていたことから、これらも機能不全に。世界は大混乱に陥ります。
健二と夏希、さらに健二の友人や夏希の家族たちは団結し、この巨大なラブマシーンに挑みます。
そんな本作ですが、中盤ごろに実在するクルマが登場します、それがマツダ「RX-7」(FD3S型)です。
RX-7は1978年に登場したスポーツカー。流麗なスタイリングに小型・高出力を誇るマツダ独自のロータリーエンジンを搭載し、高い走行性能を実現。国産スポーツカーの代名詞として知られています。
このうちFD3S型は1991年に登場した3代目。流れるようなラインを強調したグラマラスなボディや、斬新なブラックガーニッシュ一体のテールランプなどを採用し、スタイリングの良さが支持されています。
搭載ユニットは654ccの2ローターシーケンシャルツインターボで、最後期モデルでは国産スポーツカー最高峰の280馬力を発揮します。
延べ5回の改良などを経た2002年、排気ガス規制やスポーツカーの不人気などから生産が終了し、後継はロータリーエンジンを搭載する4ドアの「RX-8」にバトンタッチしました。
生産終了から20年以上が経過しても、特にこの3代目は国産スポーツカーのなかで突出して人気が高く、さらに近年ではマンガや映画などの影響から、北米をはじめ海外での人気も急激に高まり、日本車人気の筆頭車種になっています。
本作でRX-7に乗っているのは、警察官なのにヤンチャで早合点な性格の陣内 翔太(しょうた)。夏希の大叔父の孫(つまりまたいとこ)です。ただし、物語終盤では、栄の養子でキーパーソンとなる陣内 侘助(わびすけ)もRX-7を駆ります。
描かれたRX-7は、バンパーがアグレッシブな大開口ロアグリルとなり、リアウイングが大型化されていることなどから、1999年1月以降のモデルと推測できます。
インテリアもリアルに描かれており、ホワイトのメーターを装備しています。このことから翔太のRX-7は2000年10月に発売された通算5回目の改良モデルで、FD3S型最終モデルの通称「6型」であることがわかります。ボディカラーは「ピュアホワイト」です。
作中では大混乱に陥った上田市内を走行するシーンや、MTを操作する場面、ルームミラーにぶら下がっているお守りが揺れる演出もあるなど、非常に躍動的に描かれているほか、最終的には陣内家の敷地内でスピンして停まり、廃車寸前のボロボロになってしまいます。
侘助の焦りが如実に描かれた印象的なシーンといえ、その後物語はクライマックスに向かっていきます。
※ ※ ※
映画やアニメに登場するクルマは、単純にリアリティを演出するための道具というわけではなく、ストーリーを引き立てる印象的なシーンにもなりうるほか、登場人物のパーソナリティや複雑な感情を強調するという役割ももちます。
作品によっては、本作のように実在するクルマを巧妙に描いているものもあり、クルマ好きも思わずグッとくる演出もあります。
ストーリーを楽しみつつ、こうした劇中車に注目してみると、新たな発見があるかもしれません。



























































