追跡中パトカーと軽自動車が衝突!? 45歳女性が胸の骨を折る重傷に… 緊急車両が接近どうする? 元警察官が解説
兵庫県三田市において、交通違反車両を追跡していたパトカーと軽自動車が衝突し、軽自動車を運転していた女性が重傷を負う事故が発生しました。緊急自動車と一般車両との事故はこれまでにも発生していますが、一体どのような点に注意すべきなのでしょうか。
インターネット上では「最近のクルマは遮音性が高く外の音が聞こえづらい」との意見も
7月22日午後2時半すぎ、兵庫県三田市の市道の交差点で、赤信号無視の軽自動車を追跡していた緊急走行中のパトカーと交差点に入ってきた別の軽自動車が衝突する事故が発生しました。
緊急自動車と一般車両との事故はこれまでにも発生していますが、一体どのような点に注意すべきなのでしょうか。

これはパトカーが交通違反車両を追跡するため、赤色灯を点灯した上でサイレンを鳴らし減速して交差点を東方向に通過しようとしたところ、交差点を南進してきた軽自動車と衝突したものです。
この事故により、軽自動車を運転していた45歳の女性が胸の骨を折る重傷を負ったほか、助手席に座っていた女性の娘が両膝に軽いケガをしました。
パトカーが交通違反車両を追跡した距離は100メートルほどで、兵庫県警は「現在のところ、必要な追跡行為だったと考えています」と話していますが、当時の状況などを詳しく調べる方針です。
なお交通違反をした車両は現場から走り去っており、現在警察で行方を捜査しています。
このニュースに対してはインターネット上で「今回の事故がどのような状況だったかは分からないけど、サイレンの音が聞こえるように窓を開けたりオーディオの音量を下げたりした方がいいよね」「日頃から緊急車両が来たらどうするか考えて運転すべき」などの意見が寄せられました。
その一方で「最近のクルマは遮音性が高く外の音が聞こえづらい」との声や「自分も似た経験があります。違反者を追ったパトカーが急に私のクルマの横を猛スピードで追いかけて行って、危うく運転操作を誤り事故りそうになりました」といった警察の運転方法の問題を指摘する声も上がっています。
加えて、「アメリカに住んでいたときに、初めて見た緊急車両の音量と光量でその『圧』にビックリしましたが、日本でもそれくらい大音量とピカピカの大光量でやったほうがいいですね」など、緊急自動車の赤色灯やサイレンをより目立つものにすべきという意見も聞かれました。
実は今回の事例のように緊急自動車が一般車両と衝突する事故はたびたび発生しており、現場への到着や傷病人の搬送などが遅れてしまうことから、これまでにも事故防止が呼びかけられてきました。
では、一体どのような点に気をつければ良いのでしょうか。
そもそも道路交通法第40条では「緊急自動車の優先」について規定しており、交差点またはその付近で緊急自動車が接近してきたときは、基本的にクルマは交差点を避けて道路の左側に寄って一時停止しなければなりません。
さらに、それ以外の場所で緊急自動車が近づいてきた場合は、クルマは道路の左側に寄って、緊急自動車に道を譲る必要があります。
これらのルールを守らずに緊急自動車の走行を妨害してしまうと「緊急車妨害等違反」に当たり、違反点数1点のほか、普通車で6000円の反則金が科される可能性があります。
緊急自動車が近づいてきた際には慌てず、緊急自動車を先に行かせるという意識を持って対応すると良いでしょう。
また緊急自動車の接近に気づくためには、日頃からカーオーディオの音量やエアコンの風量を大きくし過ぎないこと、サイレン音が聞こえたと感じたらすぐに窓を開けて確認することなどが重要です。
そのほか、トヨタやレクサスの一部車種には「緊急車両存在通知」と呼ばれる緊急自動車の接近を知らせる機能が搭載されています。
この機能はITS Connectを搭載した緊急自動車にしか反応しないものの、搭載車両は順次拡大しており、今後事故防止の一助になるものとみられます。
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緊急自動車だからといって何でも免除されるわけではなく、歩道通行や急ブレーキ、左側追い越しなど一定の運転行為は通常の車両と同様に禁止されています。
一般ドライバーはもちろん、警察や消防などの職員もその点に留意しながら安全に緊急自動車を運転することが求められます。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。








































