5速MTもあり! ホンダ「斬新”カクカク”SUV」がスゴかった! めちゃ「ユニークすぎデザイン」&パカっと開く“観音ドア”採用! タフすぎる「エレメント」は登場が早すぎた1台
かつてホンダが販売していたクロスオーバーモデル「エレメント」は、「時代を先取りしすぎた」1台といえます。どのようなクルマだったのでしょうか。
北米では大ヒット…も国内では不振で終了
個性的なモデルを定期的にリリースするイメージのあるホンダは、過去にも時代を先取りし過ぎた車両を多く世に放っていました。
そのでも大きなインパクトを与えてくれたのが、2003年4月からわずか2年ほどの短い期間だけ、日本で販売された「エレメント」ではないでしょうか。

エレメントは、もともと北米市場で20代前後の若いユーザーをターゲットに開発されたクロスオーバーSUV。
デザインのコンセプトとなったのは、ビーチにあるライフセーバーの詰め所である“ライフガード・ステーション”。珍しい観音開きのドアなどは、そのイメージが色濃く反映されている部分でした。
実際、そのイメージ通りにビーチなどのマリンスポーツで使われることを前提とし、10フィート(3m超)のサーフボードが積めるような室内空間を実現していました。
リアシートにはミニバンの3列目シートのように左右に跳ね上げて広い空間とすることもできるようになっていたほか、汚れたままの道具も気にせず積める、水拭き可能なワイパブルフロアを採用。
さらに濡れても拭き取れる防水シート表皮、撥水ルーフライニングなども装備していたのです。
ボディは先出の通り、ピラーレスの観音開きのサイドドアに加え、リアゲートも上下に分割して開くことができるクラムシェル・テールゲートとなっており、ロアゲートには200kgもの耐荷重が与えられ、大人2人が座っても大丈夫な設計だったのも特徴でした。
エクステリアのデザインは道具のように使い倒すことができるよう、前後バンパーだけでなくフェンダーやグリル周り、サイドシル部分なども無塗装樹脂を使用。ツートンカラーのような個性的なルックスとなっていました。
日本仕様では2.4リッターの直列4気筒エンジンと4速ATの組み合わせで、4WDモデルのみというモノグレード展開で、価格は259万円。北米では5速MT仕様も設定していました。
北米ではスマッシュヒットを記録し、2011年の生産終了までに30万台以上を販売する人気者へと成長。
ただし、日本では当時まだ今のようなクロスオーバーSUVのブーム以前であり、樹脂パーツが多く使われたエクステリアのデザインが「安っぽい」と評価されてしまったことで国内販売は伸び悩み、2005年末に2年という短さで販売終了となってしまったのです。
しかしクロスオーバーSUVブーム全盛の現在では、状態のよい中古車は当時の新車価格を上回るものも存在しているほか、オフロードタイヤにルーフキャリア、アースカラーにリペイントなどのカスタムがなされて高値で販売される人気車種へと変化。
まさにエレメントは時代を先取りしすぎてしまった1台と言えるのではないでしょうか。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
































































