420万円! アルファロメオ「新型コンパクトSUV」発売! ターボ×ハイブリッド搭載した「新型ジュニア」は独自の“味付け”がスゴイ! 元気で楽しい“新・入門モデル”は「戦略的プライス」にも大注目!【試乗記】
乗るとちゃんと「アルファロメオ!」
パワートレインは、直列3気筒の1.2リッターターボエンジン(136ps/230Nm)+モーター内蔵の6速DCT(21.8ps/51Nm)+リチウムイオンバッテリーで構成されます。
このメカニズムはステランティスのリソースをベースに、アルファロメオ流の“味つけ”を行ったもの。
単なるアシストだけでなく、極僅かですがEV走行も可能で、言うなれば「限りなくフルハイブリッドに近いマイルドハイブリッド」と言った感じです。

実は筆者はこの試乗の前に、同ユニットを搭載したプジョー「5008」(改良型:日本未導入)にフランスで試乗していました。
大柄ボディの3列シートSUVを過不足なく走らせるパフォーマンスは体感済みでしたが、ジュニアのそれはスペック以上に元気な印象です。
発進時は基本EV走行で、すぐにエンジンは始動。そこからはハイブリッド走行ですが、アシストはメリハリがあります。
ちなみにプジョーのそれはどちらかと言うとシームレスな印象だったので、これは意図的な演出なのかもしれません。
モーターアシスト効果により、低回転から排気量を感じさせない豊かなトルクを発揮しますが、そこからアクセルをグッと踏み込むと3000回転前後から力強さが増し、6000回転のレッドゾーンまでシッカリ回ってくれます。
もちろん、エンジンとモーターの連携やエンジン再始動時のショック、回生ブレーキの制御・フィーリングには粗削りな部分もあり、走行状況によってギクシャクするシーンもありますが、総じて言うと「ハイブリッドでも楽しくなければ」と言うアルファらしいフィーリングに“味つけ”られています。
3気筒とは思えない雑味の少ないスッキリしたサウンドも予想外の驚きでした。
プラットフォームにはステランティスの「eCMPプラットフォーム」を採用し、サスペンションはフロント・ストラット、リア・トーションビーム式です。
これはプジョー208やフィアット600ハイブリッドなどと共用しているモノですが、サスペンションのセットアップが違うだけでなく、実は構造やジオメトリーもジュニア専用仕立てとなっています。
その走りは基本的にはスポーティですが、ジワーッとロールをさせながら軽やか&自然に曲がる印象です。
もう少し言うと、クルマの動き自体には自由度を持たせつつも、絶妙な所でそれをピタ―ッと抑える絶妙な塩梅でコーナリングを披露します。
同じFFのアルファロメオで例えるならば、ステアリングを切るとヨーがギュッと立ち上がる解りやすいスポーツの「155スポルティーバ」ではなく、いなしの効いたしなやかスポーツの「155スーパー」のようなイメージでしょうか。
そのため新型ジュニアは、個人的には目を三角にして走らせるより、7~8割の所で走らせるのが一番気持ち良いと思います。
乗り心地はやや硬めの味付けで大きな段差の乗り越え時はショックを伝えますが、それ以外は想像以上にしなやかな足の動きも相まって、ファミリーカーとしても十分活用できる快適性と言えるでしょう。
※ ※ ※
そろそろ結論に行きましょう。
実は正直に言ってしまうと、新型ジュニアの試乗前は「他のクルマと共用部分が多すぎて、アルファとは名ばかりなのでは?」と疑っていたフシもありましたが、乗るとちゃんとアルファロメオでした。
聞く所によると、新型ジュニアの走りのセットアップはアルファロメオ開発陣の中でもエースが担当したとか。
恐らく、限られた材料でアルファロメオにするためにはこの“味付け”がキモであり、そこに関しては今までのモデル以上に知見・ノウハウが注ぎ込まれたと予想します。
そんな新型ジュニアの価格は420万円から468万円と、現在の為替の中でかなり戦略的な設定となっています。
アルファロメオに興味はあるけど、自分事ではないと思っていたあなた、小さいけど元気で楽しいジュニアは、ズバリ「自分事になれるアルファロメオ」だと思います。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。



























































































