6月販売54台…ホンダ「スポーツSUV・S7」苦戦、なぜ? トヨタ、日産、マツダ好調の中、ホンダに何が? 「頑張って欲しいが…」 中国市場の現状はいかに
新たな「イエシリーズ」投入! イェS7とイェP7投入するも…
e:Nシリーズやリンシーに加え、ホンダは2024年に新ブランド「イェ(火へんに華)」からSUV 2車種「東風ホンダ イェS7」「広汽ホンダ イェP7」と5ドアクーペ「GT」を発表しました。
イェS7とイェP7はそれぞれ2025年頭に発売されましたが、発売直前になって「イェ」のブランド戦略を大幅に変更、車名から「イェ」の名前を消すなど紆余曲折を経たものでした。
S7/P7は「BEVならではの運転の楽しさ」を念頭に開発され、スポーティなボディやデジタルアウターミラーの採用、上下2枚構成のセンターディスプレイなど、独自性も申し分ありません。
満を持して投入されたましたが、残念なことに2025年6月の販売台数はS7が54台、P7が166台と早くも低迷しています。
現在も月間6000台前後を販売しているトヨタの「bZ3X」や日産の「N7」と比較すると、ホンダの状況はお世辞にも良いとは言えません。

S7/P7販売不振のもっとも大きな要因は価格にあります。
両者とも価格は19.99から24.99万元(約414.3~517.9万円)ですが、同じ金額でよりサイズが大きく、運転支援機能やインフォテインメント機能が充実している中国メーカー車種はたくさんあります。
また、そもそものコンセプトである「運転の楽しさ」も大半の中国の消費者層にとってはそこまで関心は高くなく、それよりも運転支援機能やコックピット周りの物理ボタンの少なさなど「いかに先進的か」が評価軸となります。
クルマの購入が初めての層は「0-100 km/h加速の数値」や「急速充電の速さ」、「冷温庫の搭載数」、「ディスプレイの数と大きさ」といったわかりやすいカタログスペックも重視する傾向にあります。
今後ホンダは2025年中に5ドアクーペBEV「GT」を発売すると見られます。
GTでは「イェ」シリーズの特徴であるスポーツ性能に加え、中国の人工知能ベンチャー「DeepSeek」の人工知能機能や、ファーウェイのインフォテインメントシステム、そして自動運転ベンチャー「momenta」と共同開発した高度な運転支援機能も搭載するとしています。
すでに販売されているS7/P7よりも先進性においては十分にアピールできるでしょうし、今度こそは中国の消費者に受け入れられる一台になることを願いたいです。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。






























































