NEXCO中日本は2025年6月30日、公式SNSで「車両制限令違反車両」の取り締まりを強化していると発表しました。

　投稿について、高速道路ユーザーなどからさまざまなコメントが寄せられています。

　車両制限令とは道路の構造を保全し、交通の危険を防止するため、道路を通行する車両の大きさと重さの最高限度を定めた法令です。

　道路法第47条に基づいており、同条には以下のように書かれています。

「道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、道路との関係において必要とされる車両の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、政令で定める」

　車両制限令で定められた車両の大きさや重量（一般的制限値・最高限度）は、長さ12mまで×幅2.5mまで×高さ3.8m（高さ指定道路は4.1m）まで、総重量は20t（高速自動車国道または指定道路は25t）まで、軸重10tまで、最小回転半径12mまでです。

　これを超えた車両は通行できませんが、運行経路や道路管理者の許可、車両の詳細を記した説明書などの書類を集めて「特殊車両通行許可」を受ければ、特別に通行することができます。

　場合によっては、後ろに誘導車をつけたり、通行車両を規制してほかのクルマといっしょになって走らなくするなどの措置が必要になります。

　では、なぜこのように車両の大きさや重さが制限されているのでしょうか。

　長さや幅、高さを超えた場合、道路本体や標識、トンネル、料金所などの設備を破壊したり、周囲の車両にぶつけたりする可能性があります。

　道路が細くて先に進めなかったら、何度も切り返して戻る必要があり、周囲の交通を完全ストップさせ、大ひんしゅくを買います。

　重さを超えた場合、橋や高架などを傷めつけて寿命を低下させるほか、道路の穴を拡大させたり、通行時に大きな騒音や振動をたてて、周囲の交通や近隣住民に迷惑をかけます。

　上り坂では重すぎて速度が落ち、渋滞を発生させたり、追突事故の原因になります。

　NEXCO中日本では、この車両制限令の違反車両に対する取り締まりを強化しています。

「車両制限令等違反車両取締隊」（通称：車限隊）を配置し、違反車両がいれば、「措置命令書」を交付し、積荷を減らして軽くさせるなどの措置を講じるといいます。

　悪質な違反や常習者に対しては、通行禁止や警察への告発、有料道路の割引の拒否、さらに特殊車両通行許可の取り消しなども行うとしており、違反車両の通行を断固として許さない考えです。

　NEXCOは「道路保全のため、法令の遵守をお願いします」としています。

　この投稿に対し、SNSなどでは多くのユーザーが反応。主に高速道路を日常的に使っている人などから、多数のコメントが寄せられています。

「取り締まり強化、毎日やって下さい！」「AIカメラ設置して無人でドンドン検挙すればいい」「運行している会社に罰与えないと止めないよ」など、さらなる取り締まり強化や最新技術の活用による取り締まりの導入を求めるコメントもあります。

　また、「過積載車両が交通事故を起こすとかそんな話ではなく、もっと我々にとって身近な危険と関わっている問題」「以前、重量物を運ぶトレーラーが高速料金所で横幅が広いので左側をゴリゴリ削りながら通過してました」など、実際に危険を感じた人も。

　いっぽう、「昔よりは少なくなったとは言え、まだまだオーバー気味の大型車見るので、いろいろ運送業界も運賃や時間の条件厳しいんだろうな」「運転手だけでなく荷主にも高額な罰金と会社名公表、営業停止処分をしないと減らない」など、運転手や運送会社だけでなく、法令違反車両多発の背景には過酷な労働条件があるのではないかという見方もあるようです。

　一部の高速道路路線では、建設から数十年が経過したことで劣化が顕著になっており、トンネル壁の崩落や高架基礎部の劣化などが発生。

　車両制限令違反車両の通行がさらに追い打ちをかけており、その危険は身近に迫っているといえそうです。