ハンドルの概念が変わる!? 豊田合成の完全電動ステアバイワイヤがついに始動

「人とくるまのテクノロジー展2025 名古屋」において、豊田合成は最先端のステアバイワイヤシステム用ステアリングホイールや環境配慮型素材技術など、次世代車両に向けた取り組みを紹介しました。

先進のステアリング技術やリサイクル素材などで自動車の未来を提案

 公益社団法人自動車技術会が主催する「人とくるまのテクノロジー展 2025 名古屋」が、2025年7月16日から18日の3日間にわたってAichi Sky Expo(愛知県常滑市)で開かれ、豊田合成は最先端のステアバイワイヤシステム用ステアリングホイールや環境配慮型素材技術など、次世代車両に向けた取り組みを紹介しました。

2025年秋以降の発売が予定されている新型「レクサス RZ」に搭載される「ステアバイワイヤシステム用ステアリングホイール」
2025年秋以降の発売が予定されている新型「レクサス RZ」に搭載される「ステアバイワイヤシステム用ステアリングホイール」

 同社の「ステアバイワイヤシステム用ステアリングホイール」は、2025年3月にベルギーで発表された新型のレクサス RZに搭載され、同年秋以降、各地域で順次発売が予定されています。

 このシステムは、従来の機械的なステアリング接続機構を廃止し、電気信号で操舵(そうだ)を行う革新的な技術です。

 これにより、ハンドルの切れ角は目標値で約180度に抑えられ、最小限の操作で確実な旋回が可能になります。実際の切れ角は200度程度、最大280度まで対応しており、安全性と操作性のバランスを確保しているそうです。

 また、ハンドルの上部を取り除いた斬新なデザインにより、運転中の視界が広がり、快適性・安全性が向上しています。

 さらに、高速走行時と低速走行時で操舵比を自動的に変化させることで、ドライバーはどのような状況でも最適な操作感が得られるとしています。これまで他社製品では機械的なバックアップが必要でしたが、豊田合成のシステムは完全な電気制御型として実用化されている点も注目です。

 同じくステアリングホイールの出展アイテムとして「ドライバー通知イルミハンドル」も展示されていました。こちらには通知用のイルミネーション機能が搭載されており、運転状況(自動/手動運転時)の状態を直感的に伝える工夫が施されています。

 ハンドルを離してもよい状態では緑色、危険時や手動操作への切り替えが必要な場合には赤色に点灯し、メーター表示よりもわかりやすく警告を提示してくれます。

環境へ配慮した「廃車由来の再生プラスチック」の展示も

 一方で、環境への配慮として、廃車から回収した樹脂を再利用した「廃車由来の再生プラスチック(内外装部品)」も出展されました。

 使用済みバンパーや内装パーツを再生し、新たな車両の内外装部品として活用するこの技術では、再生材を最大50%配合し、部品全体の40%にリサイクル材を使用しているそうです。

廃車から回収した樹脂を再利用した「廃車由来の再生プラスチック(内外装部品)」。画像はセンターコンソールの内側部分
廃車から回収した樹脂を再利用した「廃車由来の再生プラスチック(内外装部品)」。画像はセンターコンソールの内側部分

 すでにトヨタ カムリの海外モデルでは、コンソールボックスやグローブボックス内部、ラジエーターグリルの内側などに採用実績があるとのことでした。

 リサイクル材特有の課題としては、匂いやVOC(塗料や接着剤、インクなどに含まれる溶剤や、ガソリンなどから揮発する常温で蒸発しやすい有機化合物の総称)の問題、衝撃吸収性の低下、色合わせの難しさなどがありますが、同社ではこれらの課題への対応を進めているとしています。

 現在は目立たない部分への使用が中心ですが、将来的には外装などの目に見える部分への展開を進めるそうです。

 そのほか、燃料電池車MIRAI向けに培った高圧水素タンク技術を応用し、持ち運び可能な水素カートリッジの展示も行われました。

 このカートリッジはトヨタ自動車と共同で開発しており、調理器具や小型電源装置への応用が期待されています。水素社会の実現に向けた一歩として、多方面での活用が注目されています。

【画像】「人とくるまのテクノロジー展2025 名古屋」豊田合成ブースを画像で見る(20枚)

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Writer: くるまのニュース編集部

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