“9年ぶり”全面刷新! マツダ新型「CX-5」世界初公開! 美麗すぎる「デザイン」どう進化? 新モデルに見る「魂動デザイン」の変化とは
マツダが新型「CX-5」を2025年7月10日に世界初公開しました。9年ぶり全面刷新を遂げたCX-5で、魂動デザインはどのような進化を遂げたのでしょうか。解説します。
新型CX-5初公開…魂動デザインどうなった?
マツダが新型「CX-5」を2025年7月10日に世界初公開。2025年末の欧州投入を皮切りに、2026年中に順次各市場で発売する予定だと公表されました。新型モデルは、従来型から「魂動デザイン」と「人馬一体の走り」を継承し、それらをさらに深化させるだけでなく、それに室内の広さや使い勝手の良さ、快適性などが高められていると説明されています。
とはいえ、新型CX-5の最大の魅力となるのは、やはり魅惑的な“魂動デザイン”であることは間違いないでしょう。そこで、今回は、マツダの“魂動デザイン”の歴史を振り返り、新型CX-5の現在位置を確認してみましょう。

そもそも魂動デザインの誕生は、2000年代後半のリーマンショックが契機となっています。リーマンショックの景況で経営危機に陥ったマツダは、復活のために「スカイアクティブテクノロジー」や「モノづくり改革」「一括企画」といった方策を導入します。
そのひとつとして2010年に発表されたのが「魂動(こどう)~SOUL of MOTION」、いわゆる「魂動デザイン」でした。同時に、それを体現したコンセプトカー「マツダ靱(シナリ)」も登場します。鉄板の持つ反発力や動物の動きをイメージさせた「マツダ靱(シナリ)」は、大絶賛となりました。ちなみに、マツダは、そのエッセンスを凝縮したオブジェを製作し、それを「御神体」とも呼んでいます。
その大絶賛を受け、マツダは「魂動デザイン」と「スカイアクティブテクノロジー」を全面的に採用した初代CX-5を2012年にデビューさせます。そんな初代CX-5は日本カー・オブ・ザイヤーを獲得するなど高い評価を得るだけでなく、マツダを支えるヒットモデルとなります。発売後、わずか3年で世界累計生産台数100万台を突破したのです。
その後、マツダは、「魂動デザイン」を、ラインナップ全体に展開します。2012年の「アテンザ」をはじめ、2013年の「アクセラ」、2014年の「デミオ」、そして2015年の「CX-3」「ロードスター」が、魂動デザインをまとってデビュー。どれもが高い評価を得ています。
その一方で、マツダは「魂動デザイン」を、さらに進化させてゆきます。マツダは、それを「深化」と呼びます。その深化した姿は、2015年の東京モーターショーで披露されました。
それがFRスポーツカーコンセプトの「マツダRX-VISION」です。日本ならではの引き算の美学を具現化したもので、極限まで要素を削り落とした機能美を持っています。ボディサイドのプレスラインが排除され、面のわずかな起伏でデザインされているのが分かりやすい特徴です。
そして、2年後の2017年の東京モーターショーでマツダは、同じコンセプトの「マツダVISION COUPE」を発表します。艶やかなスポーツカーのマツダRX-VISIONと、凛としたクーペセダンのマツダVISION COUPEの2台をもって、「魂動デザイン」は第2章に突入してゆくことになります。
実際に、マツダは、この2台のコンセプトカーを発表した後、2019年にデビューした「マツダ3」から、「魂動デザイン」がフェーズ2になったと説明しています。
しかし、問題となるのが、先代のCX-5のデビューが2017年であったことです。つまり、「魂動デザイン」の第2章が完成しようという真っただ中でのデビューであったのです。
そのためか、2017年のデビュー時には「日本の美意識に着目した」と説明されていましたが、ボディ側面には、まだ微妙にプレスラインが残っていました。マツダ3ほど、極端な面での表現に至っていなかったのです。それでも2代目CX-5はヒットモデルとなり、マツダを支える大きな幹に成長します。
その後、マツダは2022年デビューの「CX-60」を筆頭にラージ商品群をリリースします。FRプラットフォームを採用した大型SUVモデル群です。CX-60の広報資料を読むと、そのデザインは、はっきりと「魂動デザイン」の第2章であることが宣言されており、CX-60のデザインは「凛としたSUVの力強い骨格と、艶を感じるエレガントな面質表現」と説明されています。
ちなみに、その後、マツダから発表されたコンセプトモデルは2023年のジャパンモビリティショー(元・東京モーターショー)の「マツダICONIC SP」となります。
この小さなスポーツカーは、電動化時代に向けたマツダのスポーツカー像を示すものでした。マツダ全体のデザインの方向性を示すものとは言えません。そういう意味では、今のマツダのデザインは、2019年のマツダ3から始まった「魂動デザイン」の第2章が続いていると言えるでしょう。
そうした目で見ると7月に公開された新型CX-5のデザインは、ラージ商品群と同軸線上にいるように感じます。ただし、よくよく見れば、ボディ側面にはフロントからリヤのフェンダーにまで続く、1本のプレスラインがあることが確認できます。
魂動デザインの深化が止まることはないはずですから、もしかすると新型CX-5から、何か新しい動きがあるのかもしれません。どんな狙いや考えがあるのでしょうか。新型が正式に発表された後のデザイナーの説明に注目です。












































































