豊田章男自工会会長、「自動車の税金はすべて軽自動車レベルに!」日本は米国の31倍
電動化、自動化等、急激な新技術の波が押し寄せ、自動車業界は100年に1度の過渡期と言われています。いったい日本の自動車業界は今後どうなっていくのでしょうか? 自工会会長に就任したトヨタ自動車社長の豊田章男氏にお話を伺いました。
自工会の豊田章男新会長にズバリ何をしていくか聞いてみた!
電動化、自動化等、急激な新技術の波が押し寄せ、自動車業界は100年に1度の過渡期と言われています。いったい日本の自動車業界は今後どうなっていくのでしょうか?
2018年、日本自動車工業会(乗用車、トラック、バス、二輪車など国内において自動車を生産するメーカーを会員として設立され、自動車メーカー14社によって構成。以下:自工会)の2度目となる会長に就任したトヨタ自動車社長の豊田章男氏にお話を伺いました。
――自工会会長として、「クルマの維持費問題」どうお考えですか?
「自工会の役目は、絶対”税金”、これを何とかしたい思いです」
と、強い口調で話す豊田会長。とにかく多種・多額の自動車関係諸税を世界基準にしたいという意気込みが強かったです。
「日本のクルマは維持費がかかり過ぎ、これをなんとかしたい。『決算発表を見たけど自動車メーカー各社、みんな良い決算してるじゃん。それなら自動車メーカー各社が税金を多く払えばいいじゃん』と思っている人は多いと思います。でも実態は違いますよね?
実態は税金を一番多く払っているのは自動車(保有)ユーザーですよ。政治家は自動車ユーザーから取りやすいからと取っています。しかし取り上げた税金は世界的にみてどうでしょう? 世界でみると(日本の自動車保有税)とんでもなく高いです」
確かに、自工会が調べた国際比較の表を見てみると、日本はかなり高いように感じます。ちなみに、この表は自家用乗用車ユーザーが、車両価格180万円の普通車を13年間使用した場合の負担額を自工会が試算した表です。
それによると、フランスは保有税ゼロ、米国に対しては31倍。ちょっと多いレベルではないのがわかります。豊田会長は、続けて言います。
「今年は特にこれ(自動車の”税金”)を何とかしたい! 全部”軽自動車”に合わせたいです。軽は地方に行ったら、公共の乗り物ですから、軽の税金を上げるなんて、絶対ダメです。そして、普通車も軽自動車に合わせれば、ようやく国際基準になります」
自動車の税負担が減れば、もっとカーライフを楽しむユーザーが一気に増えるかもしれません。ここは新会長に就任した豊田新体制の自工会に期待したいところです。
クルマの「自動化」どう対応していく?
自動車業界は新たな課題にも直面しています。これまでクルマは自動車メーカーが製造・開発が当たり前でした。しかし、「クルマの自動化」によってその流れも変わってきました。これについても、聞いてみました。
――自工会として自動化にどのようなサポートをしていく予定ですか?
「『クルマの自動化』というとクルマ開発競争の中でどこが先に出すの? というように多少煽られているところがあります。それを宣伝に使っているところもあります。自動化というと、自動車会社だけではなく、テクノロジーカンパニー等、色々なところが開発しています。ただ、自動車会社出身の人が自動化と考えるときには、やはり安全第一というところは共通認識として考えていると思います。
また、自動車会社にすぐ自動運転車を作りなさいと言われますけど、果たしてそれが正しいでしょうか? 法整備、インフラ整備、この辺がしっかりしてこない限り、自動運転を安全・安心のモビリティとして、本当に皆さんが使いますかね? そこはまだ、わからないところだと思います。
そうなると、自工会としては、インフラ整備、ルール作り等をやっていく必要があります。実際、事故を起こしたときに、クルマを作っているメーカーの責任か、それとも所有者なのか、誰の責任かというところすら、何も決まっていないのです。
自動運転でテストコースを誰よりも早く走る、これはすぐにできると思います。しかし、実際の道というのは、分岐・合流をしています。人もクルマもバイクも、いろんなものが重なっていくときに、例えば方向指示器を出して、今の法律では3秒まってから行け、となっています。実際に3秒待っている人いますか?
法規を守る自動運転では3秒待ってからでないと法令違反なんです。ところが、安心・安全というものを重要視した時には、”誰にもストレスを与えずに合流する”これは今、人間がやっています。法律だけを守っていればではなく、『安心・安全な交通流をみんなで作りましょうよ!』それを声を挙げていくのが自工会の役目だと思います。
絶対にやっちゃいけないことは、あの会社は(自動運転車)出しますけど、おたくは遅れているよね? と煽ることです。これをやってしまうと大変なことになると思います。
クルマの自動化は安心・安全の先に『交通事故ゼロ』にしようよ、という思いで取り組みたいです。交通事故ゼロへの道のりはまだまだ遠いと思いますが、『ゼロにしようよ!』これだけは絶対にブレてはいけないと思います」