全長3.7m“ちょうどいいボディ”で「430馬力超え」! 斬新「コンパクトカー」に注目! めちゃ“ワイドボディ”&極太マフラーの「本気(マジ)仕様」! 専用内装も魅力のアストンマーティン「V8シグネット」とは?
毎年7月にイギリスで開催される「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」では、一風変わったクルマも登場しています。そのなかで2018年にアストンマーティンが手掛けたモンスターマシンが一躍話題となりました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
スポーツカーのエンジンを搭載した爆速コンパクトカー!
毎年7月にイギリスで開催される「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」は、自動車愛好家にとって夢の祭典です。
世界中の最新モデルや名だたるスーパーカー、そして歴史的な名車が集結し、丘陵を駆け上がるヒルクライムでその性能を披露します。
そんななか、ひときわ異彩を放つ小さなクルマが注目を集めたことがあります。

それが、アストンマーティンの「V8シグネット」です。
アストンマーティンは、F1やル・マン24時間レースなどモータースポーツでの輝かしい実績を持つ、イギリスの名門自動車メーカーです。
特にF1では、2023年シリーズから2度のワールドチャンピオンに輝いたフェルナンド・アロンソ選手が同社のマシンを駆り、話題を呼びました。
日本でも馴染み深い市販車には、「ヴァンテージ」や「DB12」といったアストンマーティンを象徴するスーパーカーがあります。
しかし、そんな同社のイメージとは一線を画す、街乗り向けのコンパクトカーが2011年に登場しました。
それが「シグネット」です。
シグネットは2011年から2013年まで生産され、日本では限定台数が販売されました。
外観は2008年に登場したトヨタ「iQ」に似ており、実際トヨタのiQをベースにOEM供給を受けたモデルです。
日本にあるトヨタの工場で製造された後、アストンマーティンが内外装を独自に仕上げて完成させていました。
一目でアストンマーティンと分かるエレガントなデザインが特徴で、ルーフやドアパネルを除くほとんどの部分に専用のパーツが採用され、ベースとなるiQとは大きく差別化されています。
生産終了から約5年後の2018年7月、シグネットをベースにした特別なモデルがグッドウッドで公開されました。
それが「V8シグネット」です。
このクルマは、アストンマーティンのオーダーメイド部門「Q by Aston Martin」が顧客の要望に応じて製作した、たった1台の特別なモデルです。
ボディサイズは全長3708mm×全幅1920mm×全高1500mm、ホイールベース2020mmで、特に全幅の広さが目を引きます。
左右に大きく張り出したフェンダーと、リア中央に備えられた2本の大型エキゾーストパイプが、特別なモデルであることを物語ります。
さらに、強力なエンジンに対応するため、タイヤは16インチから19インチに大型化され、フロント235/40R19、リア275/35R19のサイズが採用されています。
室内はレースカーを彷彿とさせる仕様で、2シーターのレカロ製シートには4点式ハーネスが装備され、ロールケージや取り外し可能なアルカンターラ製ステアリングホイールが備わっています。
パワートレインには、3代目「ヴァンテージS」に搭載されていた4.7リッターV型8気筒自然吸気エンジンと7速ATが採用され、最高出力430bhp(約436PS)、最大トルク490Nmを誇ります。
駆動方式はFRで、0-60mph(約96km/h)加速は4.2秒、最高速度は約274km/hに達します。
日本で販売された標準仕様のシグネットは当時475万円(消費税込)からでしたが、競技使用も視野に入れたハイパフォーマンスモデルであるV8シグネットの製作には、膨大なコストが投じられたことは想像に難くありません。
Writer: 山城颯太
理系国立大学を卒業後、自動車メディアを中心にフリーランスのライターとして活動中。TOEIC 925点。クルマから電車、飛行機まで乗り物大好き。主に新型車のグレードに焦点を当てたモデル紹介、海外車の執筆などを担当。















































