キヤノンが暗闇でも歩行者を認識する「SPADイメージセンサー」を発表! 米国規制強化にも対応か 2031年に量産目指す

キヤノン株式会社は2025年6月8日から12日に京都で開催された半導体デバイス回路技術の国際学会「2025 Symposium on VLSI Technology and Circuits」で「SPAD(Single Photon Avalanche Diode)」イメージセンサーを、発表しました。

月明かりでも120m先の歩行者を認識するSPADセンサー、車載分野でも活用可能

 月明かりの下でも120m先の歩行者を認識できる高ダイナミックレンジを実現した「SPAD(Single Photon Avalanche Diode)」イメージセンサーを、キヤノン株式会社が開発しました。

 同社はこの新技術を2025年6月8日から12日に京都で開催された半導体デバイス回路技術の国際学会「2025 Symposium on VLSI Technology and Circuits」で発表しましました。

キヤノンが暗闇でも歩行者を認識する「SPADイメージセンサー」を発表!
キヤノンが暗闇でも歩行者を認識する「SPADイメージセンサー」を発表!

 現在イメージセンター市場の全体としては2023年で3兆円規模となっています。

 これが2029年になると約4兆円規模になると予測されており、中でも注目されているのが車載向けのイメージセンサーで、2025年でも4400億円規模となっています。

 そうしたなかで、キヤノンが開発した新しいSPADセンサーは、従来型のイメージセンサーが苦手としていた「暗所での撮影」と「明暗差の大きい被写体の同時撮影」を克服したものです。

 特に注目されるのは、月明かり程度の低照度環境(0.1ルクス)でも120m先の歩行者を認識できる能力です。

 この技術の応用分野としては、監視・車載・デジタルカメラ等、多岐に渡ります。

 そのため車載に特化して開発したものではなく応用分野のひとつですが、前述の学会発表では、技術の特徴をわかりやすく示すことができる車載分野に着目して行われました。

キヤノン株式会社のデバイス開発本部 デバイス開発統括部門 半導体デバイス第一開発センター 所長の松野靖司氏

 ひとつの例として、米国市場では衝突被害軽減ブレーキ(通称:自動ブレーキ)の規制強化が話題になっているといい、キヤノン株式会社のデバイス開発本部 デバイス開発統括部門 半導体デバイス第一開発センター 所長の松野靖司氏は次のように話しています。

「米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が2029年9月以後発売の全自動車に対して自動緊急ブレーキ(AEB)搭載を義務付けることを発表しています。

 その規制では、0.2ルクス(月明かり)の環境で時速73km走行中に100m先で車道を横切る歩行者を検知してブレーキをかけるという厳しい条件を設けるとされていました。

 それに対し、米国の自動車メーカーが参画する米自動車イノベーション協会が『利用可能な技術では実質的に不可能』として見直しを求めましたが、NHTSAはこの要請を退けているというのが現状です」

 こうした世の中の動向において、今回のキヤノンのイメージセンサーは、この難しい条件をクリアできる可能性を示しています。

【画像】「SPAD(Single Photon Avalanche Diode)」とは?(11枚)

参加無料!Amazonギフト券贈呈 自動車DXサミット BYD登壇 最新事例を紹介(外部リンク)

画像ギャラリー

1 2

実績500万人超!お得に車売却(外部リンク)

新車不足で人気沸騰!欲しい車を中古車で探す

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る

【2025年最新】自動車保険満足度ランキング

最新記事

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー