ヤマハ「NIKEN」開発陣に聞いた  宮本武蔵のような二刀流?

ヤマハから注目の車種が年内に発売されます。バイクの常識を打ち破るアイデアはどこから生まれたのか?「NIKEN(ナイケン)」と名付けられた三輪スポーツモデルの秘密を開発陣に聞いてみました。

「NIKEN」は、何故大排気量スポーツモデルに……!?

 ヤマハはスクータータイプのシティコミューターとして、フロント2輪+リア1輪のスリーホイール機構「LMW(Leaning Multi Wheel=リーニング・マルチ・ホイール)」を持つ「TRICITY(トリシティ)」を2014年から発売しましたが、この3輪テクノロジーを用いたスポーツモデル「NIKEN(ナイケン)」を年内に発売予定です。

三輪スポーツモデル「NIKEN(ナイケン)」

 そのネーミングはフロント2輪を支持する2本のフロントフォークが宮本武蔵のような二刀流に見えることから「二剣」=『NIKEN』と命名したとのことです。現代で言えばメジャーリーグで活躍する大谷翔平選手のようですね。

 発売前の実車をヤマハコミュニケーションプラザ(静岡県磐田市)で見ながら、開発チームにお話しをうかがうことができました。インタビュー記事を2回に渡ってお届けします。

「NIKEN」は排気量847ccの直列3気筒エンジンを積む「トレーサー900GT」をベースにしているように見えますが、どうしてこのモデルにLMW機構をと考えたのでしょうか。それが知りたくて、まずはプロジェクトリーダーの鈴木貴博さん(ヤマハ発動機株式会社モビリティ技術本部)に、お話を伺ってみました。

 青木タカオ(以下:青木):トリシティから始まったLMW機構ですが、車体を傾けて旋回する楽しさ、エキサイティングな走りはコミューターでありながらも強烈に感じることができました。スポーツモデルへの発展は待望でしたし、然るべきだと思っていましたが、なぜ「MT-09」系(トレーサー900GTがもっとも近い模様)ベースなのかが気になりました。

 250ccや400ccのロードスポーツバイクでもよかったように思いますが、いきなり大排気量ロードスポーツモデルというのは、チャレンジングですよね?

筆者(青木タカオ)と「NIKEN」プロジェクトリーダー 鈴木貴博さん

 鈴木貴博さん(以下:鈴木(貴)さん):LMWは安定感ある走りが楽しめ、生活に採り入れていく価値のある技術だと知っていただくことが、第1弾としてリリースした「トリシティ」の狙いでした。そこからLMWを使ったコミューターを少しずつ増やしていくという戦略もあるかと思いますが、今度は一気に「LMWというのは、相当面白いね」って思っていただけるよう三輪スポーツへと舵を切りたかったのです。

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