クルマを運転する場合、「道路交通法」など関係法規を守らなければなりません。

　それとは別に、地域ならではの「ドライバーの走りグセ」を揶揄する言葉として「ご当地走り」というものがあります。一体どういうものなのでしょうか。

●青になった瞬間「茨城ダッシュ」

　茨城ダッシュは、青信号に変わった瞬間、対向車が向かってくる前に「強引に右折をする」行為だとされています。

　国道など交通量の多い道路では、信号が青になったとしても、対向車がどんどん通行していくので、右折ができません。結局、赤信号に変わる直前の「右折矢印」まで待つ必要があり、ほんのわずかなチャンスしか残されていません。そこで、青信号の瞬間に無理に右折するというわけです。　

　この行為、当然ながら大変危険であり、右折車と直進車が衝突する「右直事故」と呼ばれる事故の発生原因となっています。

　全国交通事故弁護士団によれば、右直事故は、交通事故の類型のなかでも、バイクが直進している場合の発生件数がことさら多くなっているといいます。

　クルマの左をすり抜けて直進してくるバイクや、クルマの隣で停止しているバイクは、対向車の死角であるため発見できません。

　そのため、青信号と共に交差点に進入したバイクと、「茨城ダッシュ」したクルマが衝突し、右直事故に至るケースが少なくないようです。

●うおおおお！市役所も苦言「松本走り」

　同様に「強引な右折」が問題になっているのが、長野県松本市です。

　こちらは信号のタイミングに関わらず、わずかなチャンスさえ伺えば急発進・急ハンドルで右折していこうとします。象徴的なのが「対向車が左折するタイミングをチャンスと捉え、合わせて右折してくる」という動きです。

　しかしもちろん、対向左折車にとって、こちらへ急突進してくるクルマは恐怖でしかありません。さらに左折車の後ろからどんどん直進してくるクルマやバイクと、右直事故を起こす危険があります。

　なお道路交通法第37条では「交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない」と定められていますので、松本走りは明確な違反行為となるため注意が必要です。

　取り締まられた場合「交差点優先車妨害」として違反点数1点、反則金は6000円（普通車）が科せられます。

　さらに「松本走り」の真骨頂と言えるのが、「ウインカーを出さずに進路変更する」というものです。

　こちらは道路交通法第53条に違反する行為で、取り締まられると「合図不履行違反」として、違反点数1点、反則金は6000円（普通車）が科せられます。

　こうした悪いイメージを払拭するため、松本市も2019年3月に市広報誌でまるまる2ページの特集を組み、啓発しているほどです。

　松本市がこうした悪名をとどろかせるほどである背景として、もともと城下町であり狭い道路や信号機が多いためだともいわれています。

　なお、四国でも同様の強引右折行為が「伊予の早曲がり」（愛媛県）として認知されています。