渋滞の「先頭で合流」ズルくない? 実は「大正解」? むしろ“地獄の大渋滞”の「救世主」に!? 全ドライバーが理解しておきたい「ファスナー合流」とは
高速道路で渋滞が発生すると、合流地点の対応に迷うことがあります。いわゆる「先頭まで行って合流」は、ズルい行為なのでしょうか。
「ファスナー合流」は高速道路で推奨されるマナーだ
高速道路を走行していると、合流地点で加速車線の先頭まで進んでから本線に合流するドライバーを見かけることがあります。
こうした行為を「ズルい」と感じる人もいるかもしれませんが、実はこれはNEXCO各社が推奨している「ファスナー合流」という正しい合流方法です。
![車線が合流するポイントはこの先だけど…いつ合流するのが「正解」なのでしょうか[画像はイメージです]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2025/04/20240417_Traffic_Jam_AdobeStock_000_156010282.jpg?v=1713343100)
ファスナー合流とは、加速車線の先端で本線と交互に1台ずつ合流する方法を指します。
ファスナーの歯が順番に噛み合うようなイメージから名付けられました。
この方法は、従来のばらばらなタイミングでの合流に比べ、交通の流れをスムーズにし、不要なブレーキや減速を減らす効果が期待できます。
実際、NEXCO中日本が名神高速道路の一宮JCT付近でファスナー合流を促す対策を講じた結果、交通量がほぼ変わらないにもかかわらず、渋滞による損失時間は約3割減少したと報告されています。また、渋滞区間の平均通過時間も約3分短縮されました。
渋滞中に加速車線の途中で合流すると、本線を走行する車両に急ブレーキや減速を強いることになり、さらなる渋滞を招く原因となります。これを防ぐためにも、加速車線を先頭まで使い切るファスナー合流が効果的とされているのです。
しかしながら、現状ではファスナー合流が十分に浸透しているとはいえず、手前で早めに合流しようとするドライバーも多く見られます。
これは、先頭まで進むことに対して申し訳ないという心理的な抵抗感や、周囲からズルいと見られることへの懸念が影響していると考えられています。
このため、各高速道路会社ではファスナー合流の重要性を周知するため、標識や看板での呼びかけや、ラバーポールによる加速車線と本線の分離措置など、さまざまな取り組みを進めています。
ファスナー合流を意識することで、混雑の緩和だけでなく、接触事故の防止や安全性向上にもつながると期待されています。
さらに、ファスナー合流は日本だけで推奨されているわけではありません。
たとえば、ドイツでは「Reisverschlussverfahren」(ライスフェアシュルスフェアファーレン:ファスナー方式)と呼ばれ、交通ルールとして明確に法制化されています。
加速車線が終了する地点付近で交互に1台ずつ合流することが義務づけられており、違反した場合には罰金が科されるほど、社会全体で浸透しています。
オーストリアやスイスなど他の欧州諸国でも同様に、渋滞時には加速車線の先端で交互に合流することが基本とされており、ドライバー教育や交通標識によって積極的に周知されています。
こうした背景からも、ファスナー合流は単なるマナーではなく、世界的に見ても合理的かつ標準的な交通ルールといえるのです。






































