高速道路を走行中、トンネルの手前に信号機が設置されているのを見かけます。
　
　いったい、なぜ高速道路に信号機が設置されているのでしょうか。また赤信号の場合はどうすればいいのでしょうか。

【動画】「えっ…！」 これがトンネル信号「赤」の異常事態です！

　トンネル手前の信号「トンネル用信号」は、先にあるトンネル内で事故や火災といった災害が起きているなどで、異常を知らせるためにあります。

　主に5000m以上の長大トンネルや、トンネルが断続して合計5000m以上の距離となる場合の入り口や途中に設置されています。

　基本的に高速道路の本線では、渋滞時や危険を避ける場合を除いて停車することはなく、通常時は青信号のままですが、トンネル内で異常があれば、通常の信号のように黄→赤へと切り替わり、進入禁止になります。

　もし信号がなければ、火災などがあった場合でも先の様子がわからないため、後続車がどんどんトンネルに入ってきてしまい、現場で鬱滞して被害が広がる可能性があります。

　1979年7月に発生した東名高速の日本坂トンネル火災では、内部で大火災が発生していたにも関わらず、多数のクルマが先の様子を知らずに進入したことで、170台以上が全焼する大災害に発展しました。

　トンネル手前で赤信号にすれば、被害を最小限に抑えることができるとともに、救出や復旧作業をスムーズに行うこともできます。

　また、トンネル用信号は黄色の点滅になることもあります。

　これは、トンネル内での渋滞が発生しているときや、工事により車線規制が行われているとき、落下物があるときなどで、車線規制や落下物の場合は、該当する車線の信号だけが黄色になることがあります。

　いずれの場合でも、トンネル内へ進入はできますが、注意して走行することが必要です。

　では、もし赤信号になっているのを見かけたら、どうすればいいのでしょうか。NEXCOの担当者は過去の取材で次のように話します。

「トンネルが（赤信号の）進入禁止となった場合は、緊急車両の通行の妨げにならないよう、道路の左側にクルマを寄せてトンネルの手前で停車してください」

　先出の通り、赤信号はトンネル内部での異常を示しています。そのまま進行してはいけません。

　信号とともに停止線があれば、そこで停車し、停止線がなければ信号機の直前で停車します。後続車が多数いる場合はハザードを点灯させて、停車することを伝えましょう。

　同時に、消防や警察など緊急車両が来ることが想定されるため、通行の妨げにならないよう、左もしくは右によせて、緊急車両の進路を確保しましょう。

　トンネル内の信号が赤の場合は、状況によってはクルマを置いて避難することが必要になることも考えられます。その場合は、ラジオをつけたり、トンネル内の緊急放送をよく聞いて、指示にしたがって避難することが必要です。

　もし避難する場合、エンジンを切り、窓を閉め、キーはつけたままロックはせずに離れます。これは自車が緊急車両の通行の妨げになった場合に、誰でも動かせるようにするためです。

　なお、トンネル用信号とともに、トンネル情報板（警報板）が設置されていることもあります。その場合、異常があれば赤信号と同様に、「火災発生　進入禁止」と表示されます。

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　直近では2025年4月29日、首都高湾岸線 空港北トンネルの内部で車両火災が発生し、進入禁止措置として赤信号とトンネル警報板による進入禁止の指示が出されました。

　首都高によると、このとき多くのドライバーが正しい判断したことにより、二次被害が防止され、早期の通行止め解除につながったといいます。

　基本的には青のままが通常のトンネル用信号ですが、赤になった場合にどうするべきかを事前に知っておくと、万が一のときに慌てずに済むとともに、道路ネットワークの早期の復旧が可能になるのです。