「(日本で)左ハンドルがそんなに売れると思えない」石破総理、発言。 トランプ大統領「日本でアメリカ車が売れていない」に対して… 人気「ジープ」はアメ車だから売れているワケではなかった

アメリカ市場の特殊性も問題? どういうこと?

 視点をさらに広げると、アメリカ市場の特殊性があげられる。

 市場全体の7割強を、ライトトラックが占める。これは、SUVとピックアップトラックを指す。

 1990年代半ばのジープ「チェロキー」ブームを起点に、1990年代後半から2000年代にかけて、当時のビッグ3(現在のデトロイト3)、日系メーカー、ドイツメーカーが相次いでミッドサイズSUVとフルサイズSUVのモデルラインアップを拡大した。

 また、乗用車ではC/Dセグメントと呼ばれる中小型セダンで、「カローラ」「シビック」「カムリ」「アコード」が、高い品質と高いリセールバリュー(再販価格)からアメリカ人にとっての安全パイという傾向が長らく続いた。

米国市場ではいまでも「ピックアップトラック」が高い人気を誇っている(画像はトヨタ「タンドラ」)
米国市場ではいまでも「ピックアップトラック」が高い人気を誇っている(画像はトヨタ「タンドラ」)

 それが近年、「RAV4」「CR-V」など、C/DセグメントでのセダンからアメリカでのコンパクトSUVへシフトが加速している。

 こうしたアメリカ市場の特性が、ミニバンや軽自動車が主流の日本市場にマッチしにくいという根本的な課題がある。

 また、EVについてはEV充電インフラの適合性なども、非関税障壁だという指摘があるが、これはグローバルEV市場における充電インフラ標準化の問題であり、日米間だけの課題だとは言えない。

 いずれにしても、日米政府双方が、それぞれの国での自動車の状況を再認識しながら、フェアな貿易交渉を続けることが望まれる。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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