三菱が「画期的“ビッグセダン”」を実車公開! 堂々「3ナンバーボディ」×V6エンジン搭載! すごすぎる“制御技術”搭載で大ヒットした「ディアマンテ」は今も技術が活きる1台
「オートモビル カウンシル2025」で、コンセプトカーを含む新旧モデル6車種を展示した三菱。その中には、アラフィフ以上の世代は懐かしさを感じる初代「ディアマンテ」の姿がありました。どのようなクルマだったのでしょうか。
「あのクルマとは違う」 3ナンバーのハードルを下げた立役者
2025年4月11日から3日間開催された自動車イベント「オートモビル カウンシル2025」では、各自動車メーカーは「過去から見た未来」という共通テーマで展示を行いました。
なかでも三菱自動車工業(三菱)は、2024年秋に大幅改良を行った最新の電動SUV「アウトランダーPHEV」と、同社が一貫して目指してきた「4輪制御技術」のつながりを示す過去のモデルを用意。初代「ディアマンテ」も、その1台として選ばれていました。
![三菱「ディアマンテ」[オートモビルカウンシル2025]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/04/20250423_mitsubishi_diamate_000.jpg?v=1745395400)
初代ディアマンテを語るには、まずは登場前夜の時代背景を説明する必要があります。
日本の自家用乗用車には、排気量に合わせた自動車税制があるのはご存知のとおりです。2025年4月現在、軽自動車以外はおおむね500cc刻みで税額が上昇していきます。
また軽自動車以外では、車体のサイズ・排気量によって、5・7ナンバーと、3ナンバーに分かれています。
5ナンバーの条件は、ガソリン車で排気量2000cc以下、ボディサイズは全長4700mm×全幅1700mm×全高2000mm以下と決められており、これらの数値をどれかひとつでも超えると、3ナンバー車となります。
ところが1989年3月31日までは、3ナンバー車の税金は、排気量3000cc以下が8万1500円、3000cc超〜6000cc以下は8万8500円など、もはや「3ナンバーのクルマは買うな」といわんばかりの「禁止税」的な額が課されていました。
そのため国内メーカーは、一般的には流通しないVIP用高級乗用車のトヨタ「センチュリー」、日産「プレジデント」などを除き、最上位を担うトヨタ「クラウン」や日産「セドリック/グロリア」、マツダ「ルーチェ」などの高級車も、基本的には5ナンバーサイズで設計。
2リッター以上のエンジンを載せる3ナンバー車では、ボディは5ナンバーサイズそのままで、バンパーの延長・サイドモールの大型化を行なって「大きく見せる」のがふつうでした。
しかし、税制が今のような「排気量500ccごとにあがる」方式に変わると、2リッター以上のクルマの税額が大きく下がり、車体も5ナンバー“しばり”から脱却したことから、各メーカーは3ナンバー車を続々と生み出していくことになりました。
その先鞭をつけたのが、1990年5月に発売された「ディアマンテ」です。
5ナンバー枠を超えた全長4740mm×全幅1775mmという数値は、これまでの国産高級車のような長いバンパーやモールなどの付加物によるものではなく、車体自体の大きさで実現。
逆スラントノーズ風のフロント、どっしりさと伸びやかさを併せ持つフォルムは好評を博しました。
エンジンも従来の高級モデルのスタンダードだった2リッターだけでなく、2.5リッターおよび3リッターのV型6気筒が搭載されました。
従来は、2リッター以上のクルマは税制を鑑みて「3リッター」という不文律がありましたが、ディアマンテは新たに2.5リッター市場を創出しました。
直接的なライバルは、トヨタ「マークII/チェイサー/クレスタ」、日産「スカイライン/ローレル/セフィーロ」などのアッパーミドルサルーンで、ボディサイズ・排気量に比べて比較的低廉な価格で販売されました。
こうしたライバルのモデルの多くはFR(後輪駆動)を採用していましたが、ディアマンテはFF(前輪駆動)で登場したことも、小さくないトピックです。
ディアマンテは、その絶妙なキャラクターと価格設定などが、これまで3ナンバー車の購入を躊躇していた層に刺さり、4WDの設定やワイドバリエーションも功を奏して月販3500台という目標を軽々と超える大ヒット作に。
さらに1990-1991年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」も獲得しています。
そしてディアマンテで忘れてはいけないのが、当時の最先端技術を数多く搭載したことです。
エンジンは電子制御可変吸気機構を備え、足回りでは4輪ABS・トラクションコントロール・アクティブECS(電子制御サスペンション)・4輪操舵システムなどを統合制御するアクティブ・ツー・システム(2WD)およびアクティブ・フォー・システム(4WD)を搭載。
このほかにもディアマンテには、ドライバーに合わせてシート・ステアリングの位置などを自動的に調整する「三菱インテリジェントコクピットシステム(MICS)」や速度感応式スポイラーが採用されるなど、その先進性の高さは枚挙にいとまがありません。
これらのテクノロジーは、現在の三菱が誇る数々の先進技術につながっているといっても過言ではありません。
今回のオートモビルカウンシルで、アウトランダーPHEVとディアマンテが同じブースに並んでいることの意味を知ると、変化する時代の中でも、三菱の哲学が一貫していることに気づきます。
つぎの「オートモビル カウンシル2026」では、同社はどんな展示を見せてくれるのでしょうか。今から楽しみです。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
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